今日のクイズ

 以下のA社~D社は全てPERが8倍です。この4社の株価は本当に割安なのでしょうか? 各社についての説明を参考に、割安な銘柄を一つだけ選んでください。

 なお、PERは、以下の方法で計算しています。

<PER(8倍)>=<10月2日株価>÷<1株当たり利益(2027年3月期会社予想)>

【A社】2027年3月期業績(会社予想)は以下の通り。

売上高(会社予想)=1,000億円
経常利益(会社予想)=10億円
純利益(会社予想)=100億円

【B社】今期最高益を更新する予想だが、利益の中心となっている製品の特許が今期で切れることから、来期以降は、大幅値下げが想定される。

【C社】今期最高益を更新する予想だが、ライバル各社が一斉に巨額の増産投資をするため、先行き競争が激化することが予想される。

【D社】今期は10期連続最高益の予想。来期以降も、緩やかながら増収増益が続くと予想されている。

 正解をお伝えする前に、株式投資にとってとても大切な指標、PERについて、基礎知識を解説します。

PERは、株価割安度をはかる最も代表的な指標である

 PERは、日本だけでなく世界中の投資家が見る重要指標なので、PERの見方をきちんと理解しておくことは、株式投資をやる上で大切です。

 PERは以下のように計算します。

PER=【株価】÷【1株当たり利益】

 株価を、1株当たり利益(親会社株主に帰属する最終利益)で割って計算します。言い換えると、PERは、「1株当たり利益の何倍まで株価が買われているか」を示しています。一般的に、倍率が高い方が株価は「割高」、低い方が「割安」と判断されます。

 PERについて、最低限、ここまで知っていれば十分ですが、念のため、さらに詳しい説明を追加します。

 PERには、別の計算方法もあります。以下です。

PER=【株式時価総額】÷【純利益】

 PERは、株式時価総額が純利益の何倍かを表しています。これで、前の式で計算したのと同じ数字が出てきます。

【株式時価総額】=【株価】×【発行済株式総数】
【純利益】=【1株当たり利益】×【発行済株式総数】

 1株当たりの価値からPERを計算するか、総額から計算するかの違いで、どちらでも同じPERが出てきます。

「何年で元が取れるか」という考え方から、PER評価が出てきた

「PER10倍は、PER20倍より割安」といっても、どういう意味か、少し分かりにくいですね。そこが、分かるように説明します。

 PER10倍は、「もし毎年同じ純利益が得られるならば、10年で元が取れる」という意味です。株価が1,000円で、1株当たり利益が100円ならば、PERは10倍です。毎年100円の純利益を10年間得られれば、10年で1,000円の利益が得られます。投資元本(1,000円)と同額の利益を回収できるわけです。

 同様に、PER20倍は、「同じ利益を上げ続ければ、20年で元本を回収」という意味です。PER40倍は、「同じ利益を上げ続ければ、40年で元本を回収」という意味です。他の条件が同じならば、PER10倍が一番割安で、20倍が次に割安で、40倍が一番割高となります。

 ところが、現実には、毎年同じ利益が出続けるということは、あり得ません。将来的に利益が増えていく会社も、減っていく会社もあります。だから、PERの数字だけを見て、割安・割高を判断することはできないわけです。

 さらにいえば、会社には、倒産リスクがあります。近年、上場企業の倒産はまれですが、昔は、もっとたくさん倒産がありました。「何年で元が取れるか」という評価は、いつ破綻するか分からないリスクの高いビジネスに投資する際に重要です。PERは、投資元本を回収するのに必要な年数の目安を示しているわけです。

 株式会社は、17世紀のオランダや英国で誕生しました。英国からインド、オランダから東南アジアなどに貿易船を出すのは、リスクが極めて高いビジネスでした。途中で、船が難破する、あるいは海賊に襲われると、投資したお金がゼロになることもあります。その代わり、無事、航海を終えると、莫大(ばくだい)な利益がもたらされました。

 そのようなハイリスクのビジネスへの投資リスクを、たくさんの投資家で分担する仕組みが、株式会社です。ハイリスク投資において、「貿易船が何回無事に帰ると投資元本が回収できるか」が、投資のうまみを知るのに重要な指標でした。

 このように、かつて「航海が成功する確率」を基に投資の良しあしを判断した考え方は、現代の株式会社の評価にも受け継がれています。そのため欧米では、投資元本の回収期間を示す指標として、PERを用いて株価の割安度を測るのが一般的となっているのです。