「結局、何を信じればいい?」迷わないための投資軸
トウシル:たこやきさんが、投資において大切にしている考え方は何ですか?
たこやきさん:一番大切なのは「投資軸」を持つことだと思っています。株って、とにかく選択肢が多いじゃないですか。日本株も米国株もありますし、成長株、高配当株、インデックス投資もある。人によって言っていることも全然違います。
そんな中で自分の軸がないまま情報を集め続けると、結局「誰を信じればいいんだ」と迷ってしまうんですよね。だから、自分は投資で何を大切にするのかを言葉にしておく必要があると思っています。
トウシル:「自分の投資軸」は、どうすれば見つかるんでしょう?
たこやきさん:僕は「投資は始める前が9割」だと思っています。投資というと「何を買えばいいですか?」「今おすすめの銘柄は何ですか?」という話にすぐ行きがちですよね。でも、そこって最後の1割くらいなんです。
まず、自分には将来いくら必要なのか、生活を守るためにどれくらい現金を持っておくのか、どれくらいの値下がりなら耐えられるのかを考える。それから、自分の性格や生活スタイルも大事です。
僕自身、何時間も株価を見続ける投資はできません。そこまで考えて初めて「じゃあ自分にはどんな投資が合うのか」が見えてくると思っています。
トウシル:たこやきさん自身は、どんな軸で株を選んでいるんですか?
たこやきさん:基本はすごくシンプルですよ。株価収益率(PER)が高すぎないこと、連続増配していること、1株当たり利益(EPS)が堅調であること、時価総額が大きいことです。
ほかにも競争優位性や営業利益率、配当性向などは見ます。ただ、あまりルールを増やしすぎると続けられないので、できるだけシンプルにしています。銘柄数も増やしすぎません。試行錯誤してメインの保有株は8~16銘柄くらいに落ち着きました。
トウシル:ひいおばあちゃんの「本当に大切なものだけ持ちなさい」という言葉にもつながりますね。
たこやきさん:そのとおりです! 物も株もたくさん持てばいいわけじゃありません。銘柄を増やしすぎても管理しきれないという理由もありますが、「自分にとって大切なものは何か」を軸にするという考え方は、かなり影響を受けていると思います。
目標額は決めない。投資は「究極の他力本願」
トウシル:投資を始めて約5年で資産3,300万円まで増えています。次はいつまでにいくらまで増やすか、目標額は決めているんですか?
たこやきさん:実は、資産額の目標はないんですよ。よく「40歳までに5,000万円」「50歳までに1億円」と目標を立てる人は多いと思います。もちろん、それがモチベーションになる人はいいんですが、僕の場合は目標額を決めることで無理をしてしまう気がするんです。
あと5年で1億円にしないといけないとなったら、リスクを取りすぎたり、本来なら買わない株に手を出したりしてしまうかもしれません。
トウシル:ちょっと意外なお答えでした。資産形成では、目標額を決めることが大事なのかと。
たこやきさん:もちろん、いつまでにいくら必要か分かっているお金は別ですよ。子どもの教育費など、必要な時期と金額が決まっているなら、その分はきちんと現金で準備した方がいいと思います。
一方で、株価は自分ではコントロールできません。僕は投資を「究極の他力本願」だと思っているんです。僕が「今年は20%上がってください」とお願いしても、相場は聞いてくれません(笑)。自分でコントロールできるのは、買うのか、売るのか、その判断くらいです。
だからこそ、自分で決められることに集中するためにも、投資軸やルールが必要なんだと思っています。
トウシル:その半面、ルールを決めて長期保有を続けていると、反動で派手に売買したくなりませんか?
たこやきさん:なりますよ(笑)。人間なので、気になる株が出てきたら買いたくなるんですよね。だから、その気持ちまで全部押さえ込まなくてもいいと思っています。
僕の場合、資産の大部分は今まで話したような堅実な投資に置いていますが、ごく少額だけ遊びの枠があります。マイクロン テクノロジー(MU)やエヌビディア(NVDA)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)などを少し持ったりしています。
トウシル:「買いたい!」という気持ちを、小さな金額で満たしているんですね。
たこやきさん:そうです。1株でも持っていれば、自然とその会社を見るようになりますし、それ自体が投資経験にもなります。大切なのは、下がった時に生活や資産形成へ大きな影響が出ない金額にしておくことです。投資を楽しみたい気持ちを否定するのではなく、リスクを限定して付き合えばいいと思っています。
「投資のために人生があるんじゃない」株を売って選んだ家族旅行
トウシル:長期保有を基本にしているとのことですが、途中で株を売ることもありますか?
たこやきさん:もちろんありますよ。以前、妻から「夏休みに子どもたちと高知へ旅行に行かない?」と言われたことがありました。長男も飛行機に乗りたがっていたので、行こうという話になったんです。
ただ、家族で行くと20万~30万円くらいかかります。その時は必要なお金をつくるために、保有していた株の一部を売りました。
トウシル:旅行のために? せっかく積み上げた株を売ることに、抵抗はありませんでしたか?
たこやきさん:そこはあまりなかったですね。投資額を減らしたくないから、「旅行はやめよう」と家族に言うのは違うと思うんです。投資は人生を豊かにするためにやっているのであって、投資するために人生があるわけじゃないですよね。
今、目の前にいる人と楽しく過ごすことの方が大切です。僕にとって投資は、人生そのものではなく、人生を支えてくれるパートナーのような存在だと思っています。
2歳と5歳、誕生日には「自分で選んだ株」をプレゼント
トウシル:お子さんには、投資について何か教えているんですか?
たこやきさん:実は、誕生日に、子どもたちに株を選ばせています。まだ2歳と5歳なので、PERやEPSを見せても分からないじゃないですか(笑)。だから、僕がいくつか候補を出して「いつも乗っている電車の会社だよ」とか「車を造っている会社だよ」と説明して、その中から選んでもらいます。
もちろん、今は意味が分かっていないと思います。でも大きくなった時に、「自分が選んだ会社の株を小さい頃から持っていたんだ」と気付いてくれたら面白いですよね。
トウシル:とても自然に株式に触れられる入り方だと思います! 将来は、株のことを本格的に教えていくんですか?
たこやきさん:株については教えたいです。でも、株だけになってほしくはないですね。前編でお話したとおり、僕自身、大学院時代は株より自己投資を優先しました。今振り返っても、あれは間違っていなかったと思います。
100円を投資して将来150円にすることも大事ですけど、今の100円を使ったからこそ得られる経験もあります。
旅行先で「ここでしか食べられないものがあるなら、今食べた方がよくない?」みたいな話もします。お金をためること、増やすこと、使うこと。その全部を考えられるようになってほしいですね。