5月のトランプ訪中に続く習近平訪米。9月24日に首脳会談
私は本稿を、日本時間朝7時ごろ(現地時間23日18時ごろ)、習近平夫妻を乗せたエアーチャイナ(中国国際航空)が米国に到着。習近平夫妻がトランプ大統領夫妻に出迎えられた映像を基に執筆しています。
今回、国賓として米国を訪問する習近平氏は、軍人歌手であり、夫人の彭麗媛(ポン・リーユエン)氏の右手を握りながら飛行機から降りてくると、敷かれた赤絨毯の上で、トランプ大統領と通訳を交えて数分間雑談をしていました。
その後、少年が習近平氏に花束を手渡し、赤絨毯を歩いていくと、中国、米国の順番で両国の国歌が流れ、その後、トランプ大統領が習近平氏を中国国産車「紅旗」まで見送りました。
現地時間23日夜から朝にかけては、米中双方それぞれ最後の準備と確認をした上で、24日ホワイトハウスで行われる首脳会談に臨みます。
本稿では、習近平訪米で注目すべきポイントを五つの視点から読み解いていきます。
習近平訪米で注目すべき五つのポイント
(1)トランプ大統領と習近平国家主席の「個人的関係」演出
習近平氏が国賓としてホワイトハウスを訪問するのは2015年オバマ政権時以来11年ぶりになります。米国への訪問は、サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席した際、バイデン元大統領と首脳会談を行った2023年11月以来となります。
第2次トランプ政権発足(2025年1月)後においては、同年10月に韓国で行われたAPEC首脳会議で習近平氏とトランプ大統領は首脳会談を行い、今年5月にはトランプ大統領が北京を訪問し、両者は再び面と向かって会談に臨み、今回の習近平氏訪米につながりました。
トランプ大統領と習近平氏は過去1年の間に3回目となる首脳会談に臨み、かつ過去半年の間に両国間を、国賓として相互訪問することになります。記憶に新しいのが、トランプ大統領が5月に訪中した際、習近平氏夫妻が主催した晩餐会(5月14日)にて、「9月24日に習近平氏を国賓としてホワイトハウスに招き入れる」と宣言したことです。
当時私は、4カ月以上先のことなのに、ここまで具体的かつピンポイントに日時を設定し、公言して、仮に何らかの理由で実現しなかったらどうするのだろうと気をもみましたが、ふたを開けてみれば、4カ月前の宣言通りに、習近平夫妻は国賓待遇で米国の地に足を踏み入れています。
米中関係は本質的に競争関係であり、経済、軍事、先端技術、人権、勢力圏争いなどさまざまな構造的課題を抱えていますが、それでもこれだけ頻繁に、予定通りに首脳同士が対面で会談する背後には、トランプ大統領と習近平氏の「個人的関係」が相当程度作用していると考えられます。
今回の訪米期間中も、二人がどのような関係性や親密性を演出するのか。逆に、それにヒビが入るような事態が発生するのか、注視したいと思います。
アンドルーズ空軍基地に到着したとき、習近平氏の表情は和やかで、トランプ大統領とも友好的な雰囲気の下、会話をしていました。
(2)習近平氏が現地で受ける待遇、アジェンダ、成果
習近平氏は中国の最高指導者であり、特に近年、極力外遊を控えており、今年に入ってから、北朝鮮、キルギス、エジプト、インドの4カ国にしか外遊していません。その習近平氏が、太平洋を渡って米国東海岸まで足を運んだ事実は重いと私は捉えています。
特に、習近平氏が訪問先でどのような待遇を受けるのか、より踏み込んでいえば、習近平氏の中国最高指導者としての「メンツ」をどう担保するか、という問題は、おそらく習近平氏に同行する関係者、在米大使館のスタッフたちにとっては、最も緊張感のあるイシューになるでしょう。
間違っても、例えば、反中抗議デモなどによって習近平氏に恥をかかせるわけにはいかないからです。
私が把握している限り、24日午前、トランプ大統領がホワイトハウスで習近平氏と彭麗媛夫人を出迎え、両首脳はローズガーデンでの軍事栄誉礼に移動し、その後、首脳会談を開始する予定です。メラニア夫人と彭麗媛夫人はワシントンD.C.地域で別の行事に出席します。
夜には、トランプ夫妻がホワイトハウスのイーストルームで習近平夫妻を国賓晩餐会に招き、冒頭ではトランプ大統領と習近平氏がそれぞれ演説する予定です。北京での晩餐会では両国からの企業家代表が出席しましたが、ワシントンD.C.ではどうなるかにも注目です。
最終日に当たる25日には、トランプ夫妻がホワイトハウスで習近平夫妻を茶会に招く予定です。北京でも、中南海で非公式の茶会が設定され、散歩なども交えながら、両首脳は議論を深めるべく向き合いました。今回の茶会では何が語られ、詰められるか。
その後、一行はワシントンD.C.の国立公文書館を訪れ、米国の建国、および米中関連の文書を見学する予定です。私の理解では、習近平氏は歴史的な文書(アーカイブ)を見学、閲覧することに関心を抱いており、今回の采配もそういう習近平氏の性格や好みを一定程度くみ取ったのではないかと個人的には考えます。
その後、習近平夫妻はアンドルーズ空軍基地へ向かい、米国を出発する予定です。
これらの過程で、両首脳がどのような距離感と雰囲気の中で互いに向き合い、会話をするか。首脳会談の成果として、何らかの声明やリストが発表されるのかどうか、注目されます。