8~9月の東証REIT指数は、日銀利上げで年初来安値を更新

東証REIT指数 チャート
楽天証券「東証REIT指数」より著者抜粋

 東証REIT指数は、8月初旬の高値(1,900ポイント台)から調整が始まり、8月中は1,800ポイントを挟んでもみ合った後、9月に入ると一段と下値を切り下げる展開となりました。

 週足では連続陰線(始値よりも終値が低い「陰線」が連続して出現。下落トレンドが強く売り手が優勢な状態)という厳しい地合いが続いています。9月18日には引け間際に大きく下げ、終値は1,730.69ポイントの年初来安値を更新して週を終えました。

 下落を決定づけたのが、9月18日の日本銀行(日銀)による追加利上げです。日銀は政策金利をこれまでの1.0%から1.25%へ引き上げることを決定。1995年以来、およそ31年ぶりの高水準となりました。原油高、円安、AI関連需要による物価上昇圧力への警戒が背景にあり、短い間隔での追加利上げです。

 この日、日本の長期金利の代表的な指標として広く注目されている「10年国債利回り」(満期が10年の日本国債を市場価格で購入した場合に得られる、1年あたりの実質的な収益率)は2.985%まで上昇。

 日経平均株価が+1%以上と堅調だった一方で、東証REIT指数はマイナス1.19%と大幅安となり、明暗が分かれました。借入金への依存度が高い不動産投資信託(REIT)にとって、金利上昇は調達コストの増加や物件取得・借り換え負担となるため、売りが広がった形です。

 ただし、悲観一色で見るのは早計かもしれません。歴史的に見れば、現在の1,730ポイント台は「安値圏」にあります。投資口価格の下落に伴い、REIT全体の平均分配金利回りは5%台前半まで上昇し、指標面では割安感が強まっています。

 都心オフィスの賃貸需要や賃料は堅調で、業績そのものは底堅く推移しています。今後、金利上昇観測が一巡(ピークアウト)すれば、高い利回りを求める資金が再び流入する可能性も十分に考えられます。「値動きが荒い今こそ、長期目線で仕込む好機」と捉える投資家にとっては、投資方法の選択肢を整理しておく良いタイミングといえるでしょう。

REITに投資するには三つの方法がある

「REITに興味はあるけれど、実際どうやって買えばいいの?」という相談やコメントをよくいただきます。今回はREITへの投資方法について、解説していきましょう。REITへの投資方法は、大きく分けて次の三つがあります。

[1]REITの個別銘柄に投資する

[2]REITの上場投資信託(ETF)に投資する

[3]REITを対象とした投資信託(ファンド)に投資する

REITへの投資方法比較
筆者作成

 特定の不動産や投資法人に投資したいなら個別銘柄、REIT市場全体にまとめて投資したいならETFか投資信託、というのが基本的な考え方です。それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。

[1]REITの個別銘柄に投資する

 最もシンプルなのが、個別のREIT銘柄を選んで買う方法です。国内の不動産投資信託(J-REIT)は東京証券取引所に上場しており、現在58銘柄(2026年9月時点)が上場されています。株式とまったく同じように、リアルタイムで売買できます。

 銘柄ごとに、分配金利回り、投資対象エリア、不動産の用途(オフィス、住宅、物流、商業、ホテルなど)が異なります。そのため、「都心の高品質オフィスに投資したい」「物流施設の成長に期待したい」といった、自分の考えに合った銘柄をピンポイントで選べるのが最大の魅力です。

 前回の連載で取り上げた森ヒルズリート投資法人(3234)のように、「地震に強い物件」といった特定のテーマで選ぶこともできます。

 資金に余裕があれば、値動きの異なる複数の個別銘柄を組み合わせて持つことで、自分だけの分散ポートフォリオを作ることも可能です。

メリット:投資先を自分で選べる、リアルタイムで売買できる、分配金利回りが比較的高い

デメリット:1銘柄あたり数万〜数十万円の資金が必要、銘柄選びに知識と手間がかかる、1銘柄集中だと個別リスクを負う

[2]REITの上場投資信託(ETF)に投資する

 ETFは、株式、債券、REITなど複数の資産を一つのパッケージにまとめた投資信託ですが、証券取引所に上場している点が一般的な投資信託と大きく異なります。つまり、株式と同じようにリアルタイムで売買できる投資信託です。

 REITのETFの多くは、東証REIT指数などの指数に連動することを目指して運用されています。1銘柄買うだけでREIT市場全体に分散投資できるため、個別銘柄の値動きの影響を受けにくいのが特徴です。「どの銘柄を選べばいいか分からない」という初心者にも向いています。

 ETFにも分配金の仕組みがあり、決算日ごとに運用損益が計算されて分配金が支払われます。決算回数は銘柄によって異なり、年2〜6回程度とさまざまです。

 また、ETFは投資信託に比べて、保有中のコストである信託報酬が低めに設定されている傾向があります。取引時間中は価格が刻々と変動するため現在の値段が把握しやすい半面、値動きに一喜一憂しやすい点は留意しておきましょう。

メリット:1銘柄で市場全体に分散投資できる、信託報酬が比較的低い、リアルタイムで売買できる

デメリット:売買単位が決まっており、少額(数円単位)では買えない、自動積立の設定ができない場合がある

楽天証券で購入可能なREITのETF(一部)
楽天証券で購入可能なREITのETF(一部)

[3]REITの投資信託に投資する

 三つ目は、複数のREITをパッケージにした「投資信託」を購入する方法です。証券会社や銀行などの金融機関で購入でき、多くの商品が100円から1円単位で買えるため、少額から気軽に始められるのが大きな魅力です。売買単位が決まっているETFに比べ、投資のハードルが低いといえます。

 投資信託を一つ買えば、複数のREITに分散投資したのと同じ効果が得られます。商品によっては、日本だけでなく海外のREITを組み入れているものもあり、グローバルに分散したい人にも対応できます。

 さらに、毎月一定額を自動で積み立てる設定ができるのも投資信託ならではの強みです。金額を決めておけば、あとは自動で買い付けてくれるため、「コツコツ長期で資産形成したい」というスタイルに最適です。

 分配金の受け取り方も、現金で受け取る「受取型」と、分配金で同じファンドを買い増す「再投資型」を選べます。長期の資産形成では、複利効果が働く再投資型が有利になりやすい一方、分配のたびに運用資産が取り崩されるタイプは複利効果が薄れる点に注意が必要です。

 なお、投資信託の信託報酬はETFに比べてやや高めになる傾向があるため、投資後のコストも含めて判断することが大切です。

メリット:数百円から少額投資できる、自動積立ができる、海外REITも含め幅広く分散できる

デメリット:信託報酬がETFより高めの場合がある、リアルタイム売買はできない(1日1回の基準価額で取引) 

楽天証券で購入可能なREITの投資信託(一部)
楽天証券で購入可能なREITの投資信託(一部)

三つの投資方法、どう使い分ける?

 ポイントを一言で整理すると、次のようになります。

狙った不動産に投資したい・高めの利回りを取りたい → 個別銘柄

市場全体に低コストでリアルタイム投資したい → ETF

少額からコツコツ自動積立したい → 投資信託

 どれが正解ということはありません。「まずは投資信託で少額から積み立ててREITに慣れ、知識がついたら気になる個別銘柄を買い足す」といった段階的な始め方も有効です。自分の資金量、投資スタイル、かけられる手間に合わせて選んでみましょう。