PBR(株価評価)とROE(収益性)の比例関係を利用して割安銘柄を探索

 時価総額100億円以上で地方取引所に単独上場する銘柄から、同業他社比で割安な銘柄を探しました。

 どの銘柄が割安かを知るために、株式の評価と収益性がおおむね、図のような比例関係にあることを利用しました。

<株価評価と収益性はおおむね比例関係>

株価評価と収益性はおおむね比例関係
出所:各社資料より作成

 2026年9月16日時点で時価総額100億円以上、かつ直近通期決算で黒字を計上している地方取引所単独上場銘柄のうち、国内同業他社との間で株価純資産倍率(PBR)(株価評価)と自己資本利益率(ROE)(収益性)に比例関係が認められる21社を選定しました。

    これらについて、同業他社(東証など他市場上場銘柄含む)比で割安か割高かを分析し、その割安度合い・割高度合いが解消された場合の株価を各社について計算。現在の株価からの上昇率が高い順に21社をまず選定しました。さらに21社について現在の株価からの上昇率が高い順に並べ、トップ10に絞りました。

 以下が、地方取引所単独上場銘柄の中で、国内同業他社比較の観点で割安感が高いトップ10企業です。

<地方取引所単独上場銘柄割安トップ10>

順位 社名 証券
コード
取引所 株価 PBR 割安感解消
PBR 株価 上昇率
1 ジョイフル 9942 福岡 1,288 2.6 7.0 3,500 172%
2 岡谷鋼機 7485 名古屋 5,020 0.4 0.8 10,200 103%
3 北海電工 1832 札幌 1,402 0.8 1.4 2,500 78%
4 ABホテル 6565 名古屋 1,289 1.2 2.1 2,300 78%
5 川崎設備工業 1777 名古屋 2,316 1.7 2.9 4,000 73%
6 ロジネットジャパン 9027 札幌 4,995 0.9 1.6 8,600 72%
7 アメイズ 6076 福岡 1,312 1.1 1.7 2,100 60%
8 愛知電機 6623 名古屋 8,540 0.9 1.4 13,200 55%
9 太陽化学 2902 名古屋 2,740 0.8 1.2 3,900 42%
10 名工建設 1869 名古屋 1,837 0.5 0.7 2,500 36%
※株価は2026年9月16日終値
出所:各社資料などより作成

 このうち、トップ5の企業については先週記事ですでに触れておりますので、今回は6~10位の企業について詳細を見ていきたいと思います。

 なお、銀行業界については7月16日の記事の分析に地方単独上場企業がおおむね含まれているため、今回は分析対象から外しております。

6位:ロジネットジャパン

 ロジネットジャパン(9027 札幌)は北海道発の総合物流企業で、食品・小売向け配送と倉庫・3PL(Third Party Logisticsの略で、物流会社が倉庫運営、在庫管理、配送計画、輸送まで一体で担当することを意味する)を柱に安定収益を確立している地域密着型の中堅物流グループです。

    主力は食品・量販店向け共同配送で、低温物流とセンター運営に強みを持ちます。北海道、東北、関東に拠点網を展開し、地域小売との長期取引が収益の安定性を支えています。3PLではセンター運営、在庫管理、輸送を一体で提供し、EC物流にも対応。インフラ更新や小売の物流外部化が追い風で、堅実な財務と地域密着の運営力が競争力の源泉となっています。

 ロジネットジャパンが行うトラック(企業物流)事業の同業他社には、センコーグループホールディングス(9069 東証プライム)、セイノーホールディングス(9076 東証プライム)、SBS ホールディングス(2384 東証プライム)などの企業があります。

 これら上場トラック(企業物流)企業主要10社について、上述の通り、収益性についてはROEを、株価評価についてはPBRを適用した散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。その中で、ロジネットジャパン(英語名:Loginet Japan)は割安方向にずれています。

 現在ロジネットジャパンの株価は長期的な上昇トレンドにある中で4,995円(PBR0.9)となっていますが、同業他社比の割安感が解消された場合のPBR(散布図の青破線に乗る水準)は1.6であり、相当する株価は8,600円(72%上昇)です。

<主なトラック(企業物流)企業10社のROEとPBRの関係>

主なトラック(企業物流)企業10社のROEとPBRの関係
出所:各社資料より作成

 なお、分析対象とした10社の中で、地方取引所単独上場銘柄ではありませんが、福山通運(9075 東証プライム)、丸全昭和運輸(9068 東証プライム)、鴻池運輸(9025 東証プライム)も割安感が大きい銘柄です。

 福山通運は、全国幹線輸送と地域配送を一体で提供する総合物流会社です。路線便・特積み貨物に強みを持ち、独自の幹線ネットワークと大型トラック運行で高い定時性を確保しています。

 丸全昭和運輸は、港湾物流・国際輸送に強みを持つ総合物流企業です。海上貨物の取扱い、倉庫、通関、国内輸送を一体で提供し、メーカー・商社の国際サプライチェーンを支えています。

 鴻池運輸は、物流、製造請負、医療滅菌、空港業務を展開する総合アウトソーシング企業です。1880年創業の歴史を持ち、製造請負や医療滅菌など専門性の高い領域に強みを有すると同時に、全国拠点でサプライチェーン全体の効率化を支えています。

<トラック(企業物流)企業割安銘柄(地方取引所以外も含む)>

市場 社名 証券
コード
株価 PBR 割安感解消
PBR 株価 上昇率
札幌 ロジネットジャパン 9027 4,995 0.9 1.6 8,600 72%
東京P 福山通運 9075 6,340 0.8 1.2 9,800 55%
東京P 丸全昭和運輸 9068 7,260 1 1.4 10,700 47%
東京P 鴻池運輸 9025 2,938 1 1.4 4,300 46%
※東京Pは東証プライム市場
出所:各社資料より作成

7位:アメイズ

 アメイズ(6076 福岡)は前回記事のABホテル(6565 名古屋)の記事で触れましたが、九州地盤の低価格ホテル「HOTEL AZ」を大量出店する宿泊特化型企業です。標準化と高稼働率が強みです。1994年にジョイフル(9942 福岡)が買収し、2002年に創業者穴見氏が株式を引き取り独立しました。

 アメイズ含め上場ホテル・旅館企業主要10社について、散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。

 その中で、アメイズ(英語名:Amaze)は割安方向にずれています。現在アメイズの株価は1,312円(PBR1.1)となっていますが、同業他社比の割安感が解消された場合のPBR(散布図の青破線に乗る水準)は1.7であり、相当する株価は2,100円(60%上昇)です。

<主なホテル・旅館企業10社のROEとPBRの関係>

主なホテル・旅館企業10社のROEとPBRの関係
出所:各社資料より作成

 なお、先週の記事でも触れた通り、ABホテルとロイヤルホテル(9713 東証スタンダード)はアメイズ以上に割安感が大きい銘柄です。

<ホテル・旅館企業割安銘柄(地方取引所以外も含む)>

市場 社名 証券
コード
株価 PBR 割安感解消
PBR 株価 上昇率
名古屋 ABホテル 6565 1,289 1.2 2.1 2,300 78%
福岡 アメイズ 6076 1,312 1.1 1.7 2,100 60%
東京S ロイヤルホテル 9713 920 0.6 1.3 2,000 117%
※東京Sは東証スタンダード市場
出所:各社資料より作成