日本の10年物国債利回りが3%超えに
先日、日本の10年物国債の利回りが1996年9月以来、30年ぶりに3%を突破しました。
2年前は長期金利は0.8%前後でしたから、最近の金利上昇のペースはかなり急速であることが分かります。以前は「ゼロ金利」とか「マイナス金利」といわれていましたが、この利回り急騰で、投資の選択肢として、債券への関心も高まっています。
本コラムをご覧の個人投資家の方の多くは株式投資をされていると思いますが、ここまで金利が上昇してくると、株式投資だけでなく債券への投資も検討しようかな、と考える方も増えているのではないでしょうか。
株式と債券、リスクが高いのはどっち?
一般に、株式と債券とでリスクを比較すると、株式の方が債券よりも「ハイリスク・ハイリターン」です。
実際に、過去200年ほどの株式と債券のリターンを比較すると、リターンが高いのは圧倒的に株式です。一方、リーマンショック時には、個別株のみならず、株式を投資対象とした投資信託であっても価格が半値以下に落ち込んだように、価格変動のリスクも株式の方が高くなります。
また、株式の場合はキャピタルゲイン(値上がり益)の追求が主となりますが、債券の場合はインカムゲイン(利息)の追求が主となり、両者の性質は大きく異なります。
ただ、株式の過去のリターン実績は、長期間で平均すれば、年率で7~8%程度ですし、インフレ懸念から金利が上昇し続けると景気への悪影響を及ぼし、株価が下がってしまう傾向にあります。
金利が上昇し、株式の下落のリスクが高まる一方で、債券へ投資することで安定したリターン(利息の受け取り)がより大きく得られるのであれば、債券への投資を選好する投資家も増加すると考えられます。
債券特有のリスクに注意
ただ、実際に投資をする際には、個々の債券ごとのリスクを踏まえて実行する必要があります。
まず見ておきたいのが「格付け」です。この格付けを企業に付与する格付け機関として海外で有名なのはムーディーズやS&Pグローバル・レーティング(旧スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ:S&P)、国内では日本格付研究所(JCR)や格付投資情報センター(R&I)などがあります。
この格付けは、簡単に言えば「デフォルト=倒産などで元本割れになったり利息が支払われなくなったりする可能性」を示したものです。
S&Pであれば、デフォルトの危険性が最も低いのがAAAで、そこからランクが下がるごとにデフォルトの危険性が高くなります。Dはすでにデフォルトとなっていることを表します。
| AAA | 信用力が最も高い水準 |
|---|---|
| AA | 非常に高い信用力 |
| A | 高い信用力 |
| BBB | 十分な信用力(投資適格の最下位) |
| BB | 信用力に注意が必要な水準 |
| B | 相対的にリスクが高い水準 |
| CCC | 信用力に懸念がある水準 |
| CC | さらに信用力に懸念がある水準 |
| C | 信用力にかなりの懸念がある水準 |
| D | 債務不履行(デフォルト)の状態 |
特に押さえておきたいのが「投資適格」と「投資不適格」です。実はBBBとBBとでは、デフォルト確率が大きく異なっており、BB以下になると確率が跳ね上がります。
機関投資家はBBBの格付けまでのものを投資適格(つまり通常の投資対象)と考えています。BB以下のものはデフォルト確率がかなり高いため、投資不適格とされます。
私たち個人投資家も、BB以下の債券に投資することはできますが、デフォルトの危険性が高い(つまり元本割れのリスクが高い)ということをよく理解して、投資するかどうか決めるようにしてください。
BB以下の債券の金利は高いですが、それは倒産リスクが考慮されたものであることをよく理解しておきましょう。
インフレには弱いが着実なリターンを求めるなら債券もあり
債券は一般的に金利上昇に弱いですが、債券の大きな特徴として、デフォルトしない限りは、途中の時価の変動にかかわらず、満期には元本の全額が償還されるという点があります。
例えば2年前に金利0.8%で10年物国債を買ったとします。今から10年物国債を買えば金利3%が受け取れますから、0.8%の金利の国債を買う人などいません。
そのため、実質金利が3%になるように、0.8%の金利の国債の価格(発行時は100円)が90円とか85円に値下がりします。
そのため、債券を購入後に金利が上昇している状況で、満期を待たずに中途売却すると、元本割れの可能性が高くなりますし、保有を継続したとしても受け取る利息が低金利のままで固定されてしまいます。
これが、債券がインフレ(金利上昇局面)に弱いといわれる理由です。
でも、今から10年物国債を買うとすれば、年利率は約3%です。そして満期(10年後)まで保有継続すればデフォルトしない限り元本は全額戻ってきます。
となれば、株式のように価格が乱高下するものではなく、インフレには弱いかもしれないが、約3%の利息が毎年受け取れる(税引き前)という点に魅力を感じるのであれば、債券への投資も選択肢の一つだと思います。
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