金利上昇で預金か株式投資の二者択一から債券含め選択肢の多様化時代へ

陽和ななみ氏(以下、陽和):日本は長らくデフレと低金利が続き、2016年には世界で珍しいマイナス金利政策を導入しました。マイナス金利は2024年3月に解除、その後は日本銀行による政策金利の引き上げが続いています。森永さん、新たな時代に突入したとみてよいのでしょうか。

森永康平氏(以下、森永):日本は広義でみると20年近くデフレが続いていました。デフレ脱却に向けて1990年代半ばから低金利時代に突入し、1999年にはゼロ金利政策の導入、2013年には異次元の金融緩和、2016年にマイナス金利政策が続き、歴史を振り返ると30年近く「超低金利」の時代が続いていました。

 一方、近年は徐々に日本経済が回復し物価が上昇しています。2020年には新型コロナウイルスが発生しその後に収束、2022年にロシアのウクライナ侵攻があり日本でも物価の上昇が顕著となり、2024年にはマイナス金利政策の解除がされています。その後、日銀は利上げを続け2026年6月には政策金利が1.0%の節目まで引き上げるという道筋をたどっています。

日本の政策金利 グラフ
出所:QUICK、日銀資料より作成

 では今後はどうなるかというと、日銀は何%まで政策金利を引き上げるかは決めていません。一方、日銀は金利が低すぎず高すぎずに経済に影響を与えない水準として「中立金利」を推計しています。

 市場ではこの水準が1.5~2.0%程度とみていると考えています。日銀の政策金利は物価情勢や世界情勢によって変わると考えていますが、2027年末ごろに2.0%程度まで引き上げる可能性を視野に入れておきたいと考えています。

陽和:政策金利が2.0%まで切り上がる可能性があると考えると預金金利も上昇するとみられますが、金利上昇で個人投資家が考えるべきことはありますか。

森永:金利がほぼゼロだった時代には個人投資家からすると、銀行預金または株式という二者択一という世界観があったとみています。ゼロ金利時代には物価も上がっていなかったため、預金していても資産価値として目減りしませんでした。リスクを取ってリターンを狙うのであれば株式投資というのが個人投資家にとっての世界観だったはずです。

 ただ、預金または株式投資というのは資産運用の観点からするとやや極端な状況ともいえます。その中で金利が上がり、これまで無視されがちだった債券にも陽が当たり始めた状態ではないでしょうか。預金と債券、株式、また不動産、国内の不動産投資信託(REIT)、金をはじめとしたコモディティ(国際商品)など選択肢が増える時代になったと考えています。

陽和:物価の上昇でお金の価値が目減りしていく中、債券などの投資が選択肢となってくると「利回り」がポイントになると思いますが、個人投資家はどのように考えていけばよいでしょうか。

森永:例えば、メガバンクなどの預金金利が足元では0.4%程度です。一方、年間で物価が2~3%まで上昇すると、預金金利を上回る物価上昇で利息がついても物価を考慮するとマイナスになってしまいます。そうなるとやはり2~3%程度の利回りは欲しいところです。

CPIと金利
出所:日銀、総務省より作成

 債券投資の場合は投資のタイミングで想定できる期待利回りが分かりやすくなっています。満期まで保有すれば原則として元本保証ですし、半年ごとに利子が受け取れます。株式投資の場合は株価変動がありますが、債券投資は満期まで保有するという前提であれば利回りが計算しやすい商品だと整理できます。

 特に高齢者の場合、大きなリスクを取るよりもある程度利回りが見える商品に投資をした方が過度な変動リスクを抱えずに済むともいえます。