宿泊費を抑えるための「アパルトマン」という選択

「やっぱり1泊5万円くらいはするのかな…」

 渡航前、最初の滞在地であるパリの宿泊先を検索しながら、そんなことをつぶやいていました。コロナ禍以降の久しぶりの海外旅行なので、慣らし運転になればと、パリは少し長めに滞在したいと考えていました。1泊の金額がかさむと当然トータルの費用も大きく上振れすることになります。

パリで借りたアパルトマンの写真
パリで借りたアパルトマン。豪華さはないが、右手奥のキッチンの裏側には洗面台、バスタブ、湿気を逃がす窓もある。バスタブがある部屋はパリではホテルですら珍しい(写真:著者提供)

「パリ 長期滞在」で検索をすると、パリのアパルトマンという言葉を発見しました。

不便さえも愛おしい、パリの日常体験

 ホテルではないため、お部屋の掃除、ゴミ捨て、洗濯、食事の準備など、全て自分たちで行います。パリのアパルトマンでは、エレベーターがある建物は珍しいのですが、今回はラッキーなことにエレベーターのあるお部屋を借りられました。大きいキャリーケースと一緒に乗ろうとすると人ひとりが精いっぱい。かなり小ぶりなエレベーターです。

 エレベーターに乗り、到着階に着くと「cinquième étage(5階です)」と優しいフランス語の発音でアナウンスが流れます。「サンキューミタージュ」という音に聞こえたので、しばらくは「ご利用ありがとうございました」みたいなことを言っているのかな?と思っていました。

 エレベーターを使わず階段を利用する際は、ギシッギシッと音が鳴るらせん階段を進みます。鍵も重たく頑丈で、入居時には鍵の開け閉めの練習を現地担当者の方と一緒に行うくらいの難しさ。普段の生活との細かな違いですが、その都度小さく驚き、新鮮に感じました。

らせん階段の写真
必ずしも完璧な補修が施されるわけではない、らせん階段(写真:著者提供)

 歩いてすぐのスーパーで野菜を買い出しして、冷蔵庫にしまう。ワインの瓶をゴミ出しするときは、共同の収集所に持っていき、瓶専用のボックスに投入します。結構高さがあり、ガシャン!と大きな音が鳴りますが、これで良いのだそう。不便なような、おおらかなような、生活の一つ一つの仕草が愛おしくも感じました。

ホテル滞在と比較して分かる「コスト削減」の効果

 私たちはルーヴル美術館まで歩いていける2区に1泊約1.5万円(1人当たりだと7,731円)で35m²の拠点を準備することができました。ホテルとして候補にしていたところは17区、18〜21m²で21泊なら約95万円でした。1泊当たり4.5万円なので、冒頭でつぶやいた予感は当たっていたわけです。

比較項目 アパルトマン ホテル候補
エリア 2区(ルーヴル美術館まで徒歩圏) 17区
広さ 35m² 18〜21m²
21泊の料金 約32万円 約95万円
1泊当たり 約1万5,000円(1人7,731円) 約4万5,000円(1人2万2,500円)

 今回のアパルトマンでは3週間、21泊で約32万円! 広さは倍くらい、お値段は3分の1程度になった計算です。

チュイルリー庭園
チュイルリー庭園。徒歩圏内なので、もはや私たちの庭(写真:著者提供)

 立地がよかったので午前中観光に出かけて帰ってきて、部屋でランチをとってから午後にまた観光、という日もありました。年間パスポートのおかげでルーヴル美術館も自宅のようなものだったので、二つの自宅を徒歩で往復して過ごしました。窓から差し込む日差しを感じながら、ウトウトとお昼寝するような時間もありました。

アパルトマンの部屋から見える景色
アパルトマンの部屋から見えた景色。部屋の窓は建物の外には面しておらず、建物内の中庭方面が見える。パリではよくある造り(写真:著者提供)

安心を担保する「仲介業者」の活用と国内への応用

 この体験にどハマりして、私たちは3泊以上の旅ならアパートか、アパートタイプのホテルを好むようになりました。

 個人の方に直接お部屋を借りる方法として、Airbnbのような民泊サービスがあります。私たちがお借りした部屋も持ち主は個人の方でしたが、仕組みとして違うのは、仲介役として専門の業者さん(パリシェモア)が関わる形式だったという点です。鍵の受け渡しなど、不慣れな土地での行き違いを避けたかったため、今回の形を選びました。

 アパートタイプのホテルというのは、ホテルのサービスを備えつつ、お部屋にキッチンや洗濯機などの設備がある宿泊施設で、グループ展開している事業者もあります。

 折々で、Airbnbとアパートタイプのホテルなど複数の形態で宿泊施設を検索してみるのですが、専門業者が関わる形式でもコスト面での遜色がないことは多いです。

アパルトマンに備え付けの食器が映る写真
アパルトマンに備え付けの食器。夫は日本の自宅でもこんな食器を使いたいなとポツリ(写真:著者提供)

 私たち夫婦は京都国際写真祭(KYOTOGRAPHIE)を目的に毎年京都に行くのですが、その時には「RESI STAY(レジステイ)」というグループもよく利用しています。夫が個展を開いた2025年はゴールデンウイークを挟む新緑の季節に2週間滞在しましたが、2人で1泊当たり約1.7万円。バスルームはバスタブだけでなく洗い場もあり、生活しやすい環境を整えることができました。

 スーパーに行って、好きな物で冷蔵庫を満たし、お昼寝して、外出する。旅行を暮らしという体験に変え、費用も抑える選択肢を、私たちは今回の旅で手に入れました。国内外、どちらでも使える技です。

※本文中の価格は特筆がなければ2023年5〜6月当時のもの。

今回のTIPS

  • 3泊以上の旅ならアパートやアパートタイプホテルは快適で低コスト
  • 専門業者を間に挟むことで安心感をアップさせる選択も
  • 日本国内の旅行にも応用できる(京都の例など)

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