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中国情勢の「先読み」――年内4カ月で注目すべき「4つの見どころ」

2026/9/3 7:30

 今年も残り4カ月。今後の中国情勢はどう動くのでしょうか。日本の経済・安全保障環境に深く関わる「四つの見どころ」――中国経済、米中関係、台湾情勢、習近平氏の動向――の行方を先読みします。

目次
  1. 中国情勢を巡る四つの見どころを先読みする
  2. 1.中国経済―内外の不確実性が交錯する中、景気が回復、あるいは安定するか
  3. 2.米中関係―習近平国家主席の9月訪米はどうなるか
  4. 3.台湾情勢―有事がどう推移するか、緊迫化するか
  5. 4.習近平動向―「露出」から見るその権力基盤

中国情勢を巡る四つの見どころを先読みする

 世の中は9月に入りました。もう少し暑さは残りそうですが、真夏を経て、これから秋に向かうに連れて、比較的過ごしやすい時期に向かうことを願う今日このごろです。何はともあれ、今年も残り4カ月となりました。

 私見では、これからの4カ月は、中国情勢を考察する上でも非常に重要なタイミングです。その見どころを整理しつつ、私なりの視座をお届けしたいと思います。

 今回のレポートでは、1.中国経済、2.米中関係、3.台湾情勢、4.習近平動向という四つの視点から、中国情勢を先読みします。この四つのポイントは、それぞれが単独で存在するわけではなく、相互に連動しながら、影響し合いながら推移していくインディケーター(指標)になると考えています。

1.中国経済―内外の不確実性が交錯する中、景気が回復、あるいは安定するか

 本連載でもモニタリングしてきたように、中国経済は足元低迷しています。改めて直近の主要統計を整理してみます。4-6月期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比4.6%増で、前期と比べても、過去1年の推移を見ても、伸び率は最大の鈍化を見せています。

 中国政府の成長率年間目標は4.5~5.0%増ですが、それをも下回った形。第3四半期、第4四半期に向けて、成長率がどう推移していくのかに要注目です。

2025年4~6月 2025年7~9月 2025年10~12月 2026年1~3月 2026年4~6月
5.2% 4.8% 4.5% 5.0% 4.3%
(出典)中国国家統計局の発表を基に筆者作成。数字は前年(同期)比

 その他の主要統計をアップデートしてみましたが、生産、消費、投資が軒並み鈍化しているのに加え、7月、若年層(16~24歳、在校生除く)の失業率が前月から3.0ポイント上昇し、17.9%。7月単月の数字としては、過去3年で最低の水準です。

 若年層を巡る就業状況の悪化は、経済だけでなく治安の悪化、ひいては政治リスクにもつながり得るため、中国情勢という観点からも特に注視する必要があると思っています。

  7月 6月
工業生産 4.5% 5.3%
小売売上 0.6% 1.0%
固定資産投資 ▲6.7%(1~7月) ▲5.7%(1~6月)
不動産開発投資 ▲19.2%(1~7月) ▲18.0%(1~6月)
不動産を除いた固定資産投資 ▲3.7%(1~7月) ▲2.7%(1~6月)
貿易(輸出/輸入)人民元建て 19.2%
(17.8%/21.2%)
24.2%
(20.8%/29.4%)
失業率(調査ベース、農村部除く) 5.2% 5.0%
若年層失業率(在校生除く) 17.9% 14.9%
消費者物価指数(CPI) 0.5% 1.0%
生産者物価指数(PPI) 3.5% 4.1%
(出典)中国国家統計局の発表を基に筆者作成。▲はマイナスを示す

 また、この期間景気回復にとっての足かせとなっている(1)不動産不況(2)デフレスパイラル(3)供給過剰と需要不足、といった構造的問題がどの程度解消されるか、同時に、イラン情勢などの外部要因が景気にどう影響していくかにも注目すべきだと思います。

2.米中関係―習近平国家主席の9月訪米はどうなるか

 5月のトランプ大統領訪中を含め、米中関係についても本連載で密に取り上げてきました。米中は本質的に戦略的競争関係を形成しており、経済、先端技術、軍事、そして各地域における地政学的攻防、勢力圏争いを含めて、両大国はあらゆる分野、地域、次元で互いににらみ合っています。

 この構図が近未来に変質することはないでしょう。両国、あるいはどちらか一方の内政に地盤沈下的な変化が起こらない限り。

 この期間も、米中は互いに先端技術や関連企業を巡る制裁や規制措置を取り続けていますが、王毅(ワン・イー)外相とマルコ・ルビオ国務長官、何立峰(ホー・リーフォン)副首相とベッセント財務長官、グリアUSTR代表のハイレベル協議は継続されています。

 何より、習近平国家主席とトランプ大統領という最高指導者同士が互いを決してののしらず、「個人的な友好関係」を演出している状況下において、特に5月のトランプ訪中を受けて、米中関係は足元、(少なくとも短期的な)「相対的安定期」に入っていると理解できます。

 そんな中、注目されるのが9月下旬に調整されている習近平訪米です。まず、当初9月24日といわれていましたが、予定通り訪米が実現するのかどうかが一つの注目ポイントです。トランプ訪中はイラン情勢が一つの原因で延期された経緯は記憶に新しいです。

 予定通りの訪米が実現するかどうかは、両国当局がどれだけの信頼関係を構築し、緊密な意思疎通を行っているかにかかっており、両国関係の成熟度を検証する上での試金石にもなると思います。

 また、両首脳が会談で何を語るのか、にも要注目です。台湾問題、レアアース、追加関税、投資と貿易、フェンタニル、イランやウクライナなど地域情勢などが考えられますが、私は特に人工知能(AI)に注目しています。トランプ訪中時に両国は「AI対話」を開始するとうたいましたが、いまのところ目立った動きは見られないようです。

 習近平氏が7月に上海で自国主催の「2026世界AI対話」に出席し、談話を発表したように、習近平政権としてAIを国家戦略の観点から重視しているのは明らかであり、この分野で競争関係にある米国のトランプ大統領とどのような話をし、対話に向けた何らかのメカニズムを構築するのかどうか、注目しています。

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