エヌビディアの2027年1月期2Qは、売上高2.06倍、営業利益2.24倍。ハイパースケーラー向け、ネオクラウド・政府・企業向けがともに好調。今3Qも業績好調が予想される。会社側は2028年1月期予想売上高を前年比約70%増と予想。大規模言語モデルの大型化、「推論」の増加などによる。目標株価を290ドルから330ドルに引き上げる。
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:エヌビディア(NVDA、NASDAQ)
1.エヌビディアの2027年1月期2Qは、売上高2.06倍、営業利益2.24倍。
エヌビディアの2027年1月期2Q(2026年5-7月期、以下今2Q)は、売上高962.21億ドル(前年比2.06倍)、営業利益637.34億ドル(同2.24倍)となりました。今1Q決算時の会社予想のレンジ平均値、売上高910億ドル、営業利益597億ドルを上回る大幅増収増益となりました。
市場別売上高を見ると、データセンター向けのうちハイパースケール向け(ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)と呼ばれるアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、オラクルなど5~6社向け)は、今1Q378.69億ドル→今2Q487.10億ドル(前年比2.04倍、前四半期比28.6%増)、AIクラウド・インダストリアルズ・エンタープライズ向け(ネオクラウド(コアウィーブなどの新興データセンター事業者)、政府向け、企業向け)は、今1Q373.77億ドル→今2Q403.13億ドル(同2.34倍、7.9%増)と好調でした。エッジコンピューティング向け(パソコン、ワークステーション向け)は、今1Q63.69億ドル→今2Q71.98億ドル(同27.5%増、13.0%増)と順調に伸びました。
今2Qの売上総利益率は会社予想とほぼ同じ75.0%でした。販管費は会社予想を若干下回りました。この結果、売上高が会社予想を上回ったため、営業利益も会社予想を上回りました。
在庫は2026年1月末214.03億ドル、2026年4月末257.97億ドル、2026年7月末315.75億ドルと増加しましたが、これは新機種「Vera Rubin」の発売準備によるものです。
表1 エヌビディアの業績
時価総額 5,262,535百万ドル(2026年8月28日)
発行済株数 24,285百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 24,190百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
注3:会社予想は予想レンジのレンジ平均値。
表2 エヌビディアの市場別売上高(四半期)
出所:会社資料より楽天証券作成
表3 地域別売上高
出所:会社資料より楽天証券作成。
注:2026年1月期3Qより従来の仕向け先別売上高から本社所在地別売上高に変更された。
表4 エヌビディア:楽天証券業績予想の詳細(四半期)
出所:会社資料より楽天証券作成。
2.会社側は2028年1月売上高を約70%増と予想。
1)大規模言語モデルの大型化と「推論」の増加によって2028年1月期も大幅増収へ。
会社側の今3Q業績ガイダンスは表5の如くです。ここから計算すると、今3Qの会社予想業績は、売上高1,080億ドル(前年比89.5%増)、営業利益707億ドル(同96.3%増)となります。売上高は8月初頭から出荷開始となった新機種「Vera Rubin」の出荷が本格化すると思われること、ハイパースケーラー、ネオクラウド、政府向け、企業向けともにAI半導体に対して強い需要があることから好調が続くと思われます。
一方で今後、HBM、DRAMの価格上昇による売上総利益率の低下が予想されます。会社側ではメモリ価格上昇の影響により、売上総利益率は今3Q会社予想74.0%から今4Qに71~72%に低下してそこで底を打つと予想しています。その後は来1Qにメモリ等の価格上昇に対応して値上げを実施することによって、2028年1月期売上総利益率は72~73%になるというのが会社側の見通しです。
また会社側は来期2028年1月期の増収率を約70%と予想しています。実需では売上高は約2倍になる見込みですが、AI半導体の供給制約(生産能力の限界)によって約70%増になる見込みです。今の売上高の規模を考えると大きな伸びですが、大規模言語モデルが大型化していること、AIエージェントブームによってAIデータセンター内で「推論」が増加しているためAI半導体とAIデータセンター用CPUの需要が増加していること、エヌビディアはAI半導体、AIデータセンター用CPU、通信機器をフルラインで提供していることが大幅増収が続く要因です。
2)信用保証はエヌビディアのリスクになろう。
一方で、リスクもあります。エヌビディアはネオクラウドのインフラ投資に対して信用保証をします。エヌビディアは、ネオクラウドのデータセンターの容量の一部に対してテイク・オア・ペイ(買い手側が商品やサービスを実際に受け取っていなくても、契約で決まった最低数量・最低金額分の代金を支払う義務を負う契約)を提供し、資金の貸し手に対して最低収益保証を提供し、その見返りとして、その最低額を超えて得られたネオクラウドの収益の一部を共有します。これが大規模になれば売上高が増える要因になりますが、収益保証はリスクになります。
また、最先端AIラボのインフラ構築を支援するため、アポロ、ブラックロック、ブラックストーン、ブルックフィールド、ゴールドマン・サックス、KKRの6社と提携し、5,000億ドルを超える資金調達を行う資金調達プラットフォームを設立することを発表しました。
オープンAIのインフラ投資に対しても信用保証をします。会社側はオープンAIのAI開発能力を高く評価しており、そのため円滑にインフラ投資ができるようにエヌビディアが自ら信用保証するとしています。
これらの信用保証等の動きにはリスクもあります。信用保証の供与先企業(オープンAIやネオクラウド各社)が業績不振に陥った時、信用保証はエヌビディアの業績にとってリスクになると思われます。信用保証と資金調達プラットフォームは、株式市場からベンダーファイナンスや循環取引の懸念を持たれる可能性があります。オープンAIに信用保証を含む肩入れを行っていますが、ChatGPTにはアルファベットのGemini、XのGrokなど競争相手も多く、また、アンソロピックがClaudeをビジネス向けに特化して製品開発したことによって成功しており、全ての生成AIユーザーがオープンAIとChatGPTを高く評価しているわけではない模様です。これらの行動は、ここまでしないとAI半導体需要は伸びないのかという疑念を株式市場に与える可能性があると思われます。
ただし、オープンAIの計算需要が鈍化したとしても、アルファベット、アンソロピック、スペースXなど競争相手の計算需要は増加が続くと思われるため、AI半導体需要が大きな伸びをするであろうことには変わらないと思われます。
3)今期、来期とも好業績が続こう。
このような状況を分析した結果、楽天証券では2027年1月期を売上高4,070億ドル(前年比88.5%増)、営業利益2,650億ドル(同2.03倍)、2028年1月期を売上高6,900億ドル(同69.5%増)、営業利益4,500億ドル(同69.8%増)と予想します。2028年1月期は高価格の「Vera Rubin」の出荷が増加することと、値上げの効果がプラス要因となると思われます。
なお、今の四半期ベースの業績の伸びが続くとした場合の2028年1月期業績予想は売上高6,100億ドル(同49.9%増)、営業利益3,920億ドル(同47.9%増)です(表8)。今回の業績予想は私の予想の上限で、下限は50%増収です。今の株価の位置が低いため、仮に下限の業績になったとしても、十分な投資妙味があると思われます。
表5 2027年1月期3Q業績ガイダンス
注:表中の黒字は会社側ガイダンスの数字、それ以外は楽天証券計算。
表6 エヌビディアの市場別売上高(通期)
出所:会社資料より楽天証券作成
表7 エヌビディア:楽天証券業績予想の詳細(通期)
出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券
表8 2028年1月期増収率を50%としたときのエヌビディアの業績試算
時価総額 5,262,535百万ドル(2026年8月28日)
発行済株数 24,285百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 24,190百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
3.エヌビディアの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の290ドルから330ドルへ引き上げる。
エヌビディアの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の290ドルから330ドルへ引き上げます。
楽天証券の2028年1月期予想1株当たり利益(EPS)15.84ドルに対して、成長性、オープンAIやネオクラウドへの信用保証リスク、2029年1月期以降の業績鈍化リスク、HBM、DRAM価格上昇の影響、時価総額が巨大であることによって株価の上昇が緩やかになる可能性があること、米国の利上げが株価に与える影響等を考慮して、今の株価収益率(PER)水準である想定PER20倍前後を当てはめました。
引き続き中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:エヌビディア(NVDA、NASDAQ)
決算レポート:エヌビディア(業績好調続く。会社側は2028年1月期売上高を前年比70%増と予想)
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