日経平均は、これまでと同じように、これからも急落・急騰しながら上昇していくと思います。長期的には日本企業の1株当たり利益(EPS)は年率6.7%で伸び、それに伴い、日経平均も上昇すると予想しています。海外事業の拡大、インフレ、自社株買い増加が、EPSの増加をけん引すると予想しています。
日経平均の上値を抑える四つの不安
2026年4-6月の東証プライム市場上場企業の連結純利益は、前年同期比約7割の増益でした。日本企業の業績モメンタムはとても強く、日経平均株価の上昇につながる期待があります。
ところが足元、さまざまな不安が同時に出てきて、日経平均の上値を抑えています。結果的に、日経平均は上下とも動きにくい「夏枯れ」となっています。
株式市場の上値を抑えているのは、以下四つの不安です。
【1】中東危機再燃
米国が対イラン追加制裁を発表。イランと経済取引の大きい国・企業も制裁すると宣言。イランと最も関係の深い中国の扱いがどうなるか不透明。
【2】日米のインフレ・金利上昇懸念
日本銀行はさらなる利上げを視野に。米連邦準備制度理事会(FRB)も利上げの可能性。ウォーシュFRB議長はジャクソンホール講演でタカ派の顔を見せる。
【3】トランプ関税不安再び
米国カナダ間で関税戦争再開。米国がカナダに50%関税、カナダも最大50%の報復関税を発動する予定。昨年トランプ政権が発動した相互関税は、既に米国最高裁で違憲と判決され、還付が始まっています。そうした中で、さらなる関税強化は果たして認められるのか、今後の不透明要因が増しています。
【4】AI・半導体過剰投資懸念
エヌビディアの決算が強かったことは好材料。ただし、先行きの不安はなくならない。
日経平均はこれまでと同じように、これからも急落・急騰を続けながら上昇していくと予想しています。短期的な見通しに過度に影響されることなく、時間分散しながら、日本株の買い増しを続けていくことが長期の資産形成に寄与すると判断しています。
以下、日経平均の長期見通しを解説します。
2029年に8万円、2032年に10万円と予想
日本株は割安で長期的な上昇余地が大きいと考えています。短期的には急落することもしばしばありますが、長期的には、1株当たり利益の拡大に沿って、上昇していくと予想しています。
<日経平均(年次推移)と東京証券取引所の予想PER:1973~2026年(8月28日)>
1973年当時、日経平均は5,000円前後でした。東証一部のPERは約13倍でした。この時の日本株は「割安」でした。
ところが、その後、日経平均はどんどん上がり続け、1989年末には3万8,915円のバブル高値をつけました。この時、東証一部の株価収益率(PER)は約70倍まで上昇し、10~20倍が妥当と考える世界の常識をはるかに超えた「バブル」となりました。
バブルは、平成に入ってから崩壊しました。ただし、「平成の構造改革」で復活した日本株は2009年以降、再び、上昇トレンドに戻りました。今、東証プライムの予想PERは約17倍です。妥当水準と考えられる15~20倍の範囲に入っています。
日本企業の収益力、財務内容、ビジネスモデルを勘案すると、日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと考えています。
日本がバブル景気に踊った1989年当時、日本の株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して極めて「高い」水準にありました。東京の生活費は世界一高く、日本人の賃金は国際比較で極めて高いと言われていました。株価も不動産も、PERやイールドで説明できない高値にありました。
今は、その逆です。株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して「割安」になっています。割安な株価と、経営改革が評価されて、日経平均は2029年に8万円、2032年に10万円まで上昇すると予想します。
日経平均の長期上昇を予想する理由
私は1株当たり利益(EPS)の増加にともなって日経平均が上昇すると予想しています。以下の通り、東証プライム市場の平均EPSが、年率平均6.7%増加すると予想しています。EPSを増加させるドライバーが三つあります。【1】海外事業の利益成長、【2】インフレ、【3】自社株買いです。
この三つを合わせて、EPSは年率平均6.7%増加、2029年までに21.5%増加すると予想しています。2032年までに47.6%増加すると予想しています。それが、日経平均が2029年に8万円、2032年に10万円まで上昇すると予想する理由です。
<東証上場企業のEPS増加要因>
【1】海外事業の利益成長:年率寄与度(予想)2.3%
日本企業は人口が増加するアジアや米国などで幅広くビジネスをやっています。これからも海外ビジネスの拡大を積極的に行うと予想しています。巨額買収や合併(M&A)で海外企業を買収するケースも増えると思います。
【2】インフレ:年率寄与度(予想)2.8%
日本のインフレ復活が、日本の企業業績・株価を上昇させる要因となります。日本企業は長年にわたり、ゼロ・インフレに苦しんできましたが、日本にも今後3%近いインフレが定着すると予想しています。インフレ定着は国民生活にとってネガティブですが、企業業績・株価にとっては追い風となります。
【3】自社株買い(予想)1.5%
年間15兆円を超える自社株買いが続くと考えています。発行済み株式数の減少を通じて、1株当たり利益を増加させます。
日経平均の長期見通し:2029年8万円、2032年10万円を予想(窪田真之)
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