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資産形成に特別なスキルは不要。その理由とそれでも必要な三つのこと

2026/8/29 11:00

「投資には知識やセンスが必要だ」と忌避する人は少なくありません。世の投資本が、銘柄の選び方やチャート解説であふれている以上、そう考えるのも無理はありません。しかし、資産形成が目的であれば、必ずしも特別なスキルは不要です。今回はその理由を、投資家タイプを起点に整理していきます。

目次
  1. 株式投資家は二つのタイプに分けられる
  2. スキルが必要なのはどちらか
  3. なぜスキルが要らないのか
  4. それでも必要な三つのこと
  5. どちらも尊重されるべき立派な投資スタイル
  6. 知識が少ないことはハンデにならない

 投資の話をすると、決まって返ってくる言葉があります。「自分には知識が無いから」「勉強する時間が無い」「センスが無いので向いていない」などといった反応です。

 こうした返答の背景には、「投資は何かを見抜く力の勝負であり、その能力のある人だけが報われる」という前提があります。実際、書店に並ぶ投資本は、銘柄の選び方やチャートの読み方を解説したものが多く、またSNSにおいても、どれだけ勝った・負けたという投稿が目立つため、そう思うのも無理はありません。

 しかし、資産形成という目的に限って言えば、必ずしもその前提は成り立ちません。今回はなぜ特別なスキルが不要と言えるか、投資スタイルの違いから考えていきます。

株式投資家は二つのタイプに分けられる

 かつて、このトウシルで連載を持たれていた経済評論家の山崎元さんは、株式投資家を「α(アルファ)派」と「β(ベータ)派」の二つに分類していました。

図1:山崎元さんの記事より抜粋(α派とβ派の分類について)

図1:山崎元さんの記事より抜粋(α派とβ派の分類について)
出所:楽天証券トウシル 「株式投資家を分類する。あなたは『α派』、それとも『β派』?」

 いわゆる投資と言えば、自らの目利きによりリターンを得るα派をイメージされる方が少なくないと思います。銘柄選択や売買タイミングの工夫によって市場平均超えを狙うほか、相場環境を問わずプラスリターンの獲得を目指すスタイルがこれに該当します。

 一方でインデックス投資家は、市場全体の平均リターンを得ることを目的とするため、上記の区分ではβ派に分類されることになります。

 これは以前この連載で述べた、「平均に乗る人」と「個別で挑む人」の違いにも共通する考え方です。

スキルが必要なのはどちらか

 本題の問いに戻ると、結局のところ投資にはスキルが必要でしょうか。答えはどちらを目指すかによって変わります。

 αを狙うのであればスキルは必要です。しかも生半可なものでは足りません。ここにはあまり語られない重要な事実があります。市場に参加している全員のαを、時価総額で加重して合計するとゼロになるのです。言い換えると、誰かがプラスのαを得ているとき、その裏側には必ず同じだけマイナスのαを負っている誰かがいます。

 つまりαの世界は、マーケット参加者同士の競争です。しかも相手には多くの情報や分析手法、ツールを駆使する機関投資家も含まれており、その中で継続的に勝ち続けるのは簡単ではありません。また、プロのファンドマネジャーが運用するアクティブファンドでさえ、コスト控除後で市場平均を上回り続けられるものは、そう多くないことで知られています。

 一方、βの獲得は全く状況が異なります。市場全体が長期的に成長すれば、そこに乗っている全員が恩恵を享受できます。誰かが勝ったから誰かが負ける、という構造ではありません。

 ただしこれは、長期的に分散ポートフォリオを維持することで市場平均を捉えるという、重要な前提があります。機動的に投資先を変更して市場平均以上のリターンを狙うことは、βではなくαの獲得を目指すことになるからです。

図2:α派とβ派の違い

図2:α派とβ派の違い
※山崎元氏の分類では、β派に市場予測に基づく「タイミング派」も含まれるが、本稿では長期資産形成に焦点を当てるため「長期分散投資派」に限定 ※出所:筆者作成 

 これがα派とβ派の決定的な違いであり、よく混同して理解されている点でもあります。資産形成を市場に勝つことではなく、市場の成長を受け取ることだと割り切ってしまえば、そこに特別なスキルは要らないのです。

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