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年金月23万円・退職金2,000万円の60代夫婦「もう安泰」のはずが…老後破産を招く「定年後の選択」【シミュレーション】

2026/8/28 16:00

「定年後、いくらあれば足りるのか」「退職金をどうすればいいのか」。この二つはリタイア期を迎える多くの方に共通したご相談です。今回は60代のご夫婦の家計について、退職金の置き方によって資産寿命がどのくらい変わるか、95歳までのシミュレーションで検証していきます。

目次
  1. 定年後の生活費、平均はいくらか
  2. 60代夫婦の家計を入力してみる
  3. 退職金全額を預貯金に置いて「運用しない」場合
  4. 退職金を運用してみるとどうなるか
  5. シミュレーションの数字が教えてくれないこと
  6. お金は目的ではなく、使うためにある

定年後の生活費、平均はいくらか

 定年後の生活費は各ご家庭によってさまざまですが、ここではまず平均値を確認してみましょう。総務省「家計調査報告」2025年平均によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計は表のようになっています。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計
出所:総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
注:▲はマイナスを示す

 実収入から社会保険料や税金を引いて、自由に使えるお金が可処分所得となります。毎月4万円強の赤字で、年間では約51万円、30年間で1,500万円ほどになります。かつて話題になった「老後2,000万円問題」とほぼ同じ構造の数字が、いまも続いていることになります。

 ただ、この平均値には見落としやすい点があります。同じ調査を年齢階級別に見ると、65歳以上の無職世帯の消費支出は65〜69歳が29万6,997円で最も多く、75歳以上では24万8,460円と、約5万円の差があるのです。

「定年後は支出が減る」とよく言われますが、減り始めるのは10年ほど先ということになります。定年直後の10年は、現役時代とそれほど生活費は変わらないことになります。

 今回は、筆者が運営する情報サイト「資産形成ハンドブック ライフプラン&お金の計算ツール」で提供している、登録不要、無料で使える「ライフプランシミュレーター」を使って、実際に計算していきます。

60代夫婦の家計を入力してみる

 平均値が分かったところで、次は自分の数字に置き換えます。今回は次のようなご夫婦(モデルケース)を想定しました。

モデルケースの前提条件

モデルケースの前提条件

 初年度の支出は348万円、月にすると29万円です。家計調査報告の平均とほぼ同じ水準で、特別ぜいたくでも切り詰めてもいない設定になっています。

 なお、リタイア期のシミュレーションでは、生活費のインフレ率と、年金額(手取り額)の変動率の設定が重要です。ねんきん定期便の金額は額面ですが、シミュレーションでは手取りで入力します。その上で、生活費にインフレを想定するなら、年金にも変動率を設定しないと、公平な試算になりません(今回は生活費1.5%に対し年金1.0%と設定)。

退職金全額を預貯金に置いて「運用しない」場合

 最初に、退職金2,000万円を全額預貯金(金利0.4%)に置き、投資などの運用は一切しないというケースで計算してみます。このような方も現実には多いのではないでしょうか。

年間収支の推移グラフ(1.運用しないケース)

年間収支の推移グラフ(1.運用しないケース)

 60歳から64歳までは、一時的な支出を除けば再雇用の収入で年40万〜50万円の黒字を維持します。ところが65歳、年金生活に入ると赤字に転じ、初年度は約81万円の赤字となります。

 この赤字は年を追って膨らみます。収入は年金でほぼ固定される一方、支出は物価上昇で増えていくためです。80代には年150万円程度の赤字になります。

資産残高の推移グラフ(1.運用しないケース)

資産残高の推移グラフ(1.運用しないケース)

 そして金融資産は、退職金2,000万円を含めて3,000万円あった資産が87歳(2053年)で尽きる計算になります(あくまで計算上です)。

 グラフの折れ線が数年おきに大きく落ち込んでいるのは、リフォームや車の買い替えの年です。日常の生活費だけでなく、こうした数年に1度の支出も資産の減り方に効いていることが見て取れます。

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