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元ゴールドマン、ヘッドトレーダーの提言 まずは「三つの把握」、基本は「全世界株式」で十分 インベストメントLab 宇根氏インタビュー

2026/8/26 11:00

 ゴールドマン・サックス証券のヘッドトレーダーを経て日本株運用を手掛けるインベストメントLabの宇根尚秀代表は資産運用では銘柄選びの前に「三つの把握」が重要と指摘する。加えて「資産形成の基本は『全世界株式』で十分」という。女優で投資家、FPの資格を持つ陽和ななみ氏が宇根氏に「資産運用の考え方」を聞いた。

目次
  1. 銘柄選びより重要な三つの把握
  2. やっぱり全世界株式が基本?4均等+「お楽しみ枠」の手法も
陽和ななみさん、宇根尚秀さん

陽和ななみ氏(以下、陽和):宇根さんのご経歴とどのような思いでマーケットと向き合っているか、まずはお伺いしたいと思います。

インベストメントLabの宇根尚秀代表(以下、宇根):ゴールドマン・サックス証券に就職してからは「トレーダー」という仕事に従事し、株式や金融派生商品のデリバティブの分野でマーケットと向き合ってきました。

 その後はゆうちょ銀行の市場部門常務執行役員として投資戦略改革に参画し、2020年には日本株の買いと売りを組み合わせたロング・ショート戦略の投資運用会社を立ち上げました。

 キャリアを通じて投資というアングルから世の中に関わらせていただいていますが、相場を当てるというよりも「退場しないためにどうすれば良いか」と考えています。むしろ「長くマーケットに残っていればチャンスは訪れる」とも考えてきた人間です。投資にあたってご自身の判断軸を持つための考え方を共有したいと思っています。

銘柄選びより重要な三つの把握

陽和:まず資産運用をする上で何から始めれば良いのでしょうか。

宇根:投資に関心を持ち始めた方からはどの株式を購入すれば良いのか、とよく問われます。つまり銘柄選びの質問を受けることが多いのですが、資産運用のフレームワークを大事にしてもらいたいと考えています。相場が急落すれば「退場」を余儀なくされるケースも少なくありません。資産を運用して退場しないために大事なのはリスク量の工夫です。

 具体的には三つの把握です。一つ目は「自分の資産の全体額および現在の配分」、二つ目は「投資の目的と期間」、そして最後の三つ目が「自分自身のリスク選好度」です。この3点を適切に把握していけば検討するべき資産配分や投資対象の候補が絞られます。

銘柄選びより重要な三つの把握
出所:インベストメントLab

陽和:一つずつ具体的に伺いたいと思います。資産の全体額と現在の配分というのはどういう意味でしょうか。

宇根:現金と金融資産、その他の資産をどれほど持っているのかを正確に知ることが重要です。資産運用の基本目的は資産の絶対額の最大化となります。その前にご自身が持っている銀行口座、持ち家、自家用車など自分がどのような資産に大切なお金を振り向けているのかを確認するべきでしょう。

 会社に勤務している方であれば経済や相場にどれほど業績が左右されるのかも点検し、どれほどの投資の余力があるのかといった確認も重要です。資産を把握した上で、資産と逆側にある負債と純資産に分けて、いわばバランスシート(貸借対照表)の観点で純資産の最大化を目的にするとより金融のプロの見方に近づく形になります。

陽和:次に投資の目的の明確化ですが、どのように考えていけば良いでしょうか。

陽和ななみさん

宇根:どのような目的で資産形成をしていくかですが、多くの場合は老後のための資金、家族やご自身に何かあったときの「もしも」のときの安心のためではないでしょうか。この場合、運用資産は世界最大級の投資家であるGPIF、年金積立金管理運用独立行政法人のポートフォリオが参考になります。

 GPIFは国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4資産を均等配分して投資しています。GPIFの過去20年の収益率は年率でみると3%台半ばとなります。

 個人投資家の資産運用では目的や期間、リスクの許容度が違うため実際の配分は年齢や家計の収入、家族構成、運用目的によって調整が必要になるとみています。それでもGPIFのポートフォリオにした場合は世界の潜在成長率ほどの収益を期待しても良いと思います。

陽和:最後の三つ目であるリスク選好についてもお伺いします。

宇根:投資をすると運用資産は相場環境によって変動します。運用資産の増減によって「どれくらい資産が減っても自分自身の生活と心が壊れないか」を決めることが重要です。

 一般的には投資家の最大リスク許容度は投資元本の20~30%程度といわれています。過去の大きなショックに当てはめてみると、四つの資産に均等に配分した手法であればおおむね許容度内に収まってきた計算になります。

陽和:四つの資産の均等配分を基本ということですが、私のようにもう少しリスクを取りたいという人はどのようにしていけば良いでしょうか。

宇根:まずは「三つの把握」でどれだけ投資に振り向ければ良いか決め、その後にリスク量を調整すれば良いとみています。株式の比率の目安としては「100-年齢」%、積極的にリスクを取りたいという人であれば「120-年齢」%を基準にすると良いと考えています。

 あくまでこの基準は目安ですし、それぞれの状況によって違います。相場の下落でどれくらいの運用資産への影響があるか点検は必要でしょう。

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