財務省が国債の買い入れ増額を発表!だが負債バブルを止めるものは何もない
米国の国家債務が史上初の40兆ドル超えとなった。米国民1人当たり11万9,699ドル、日々181ドルの増加である。国家債務の膨張は加速し、2020年以降で17兆ドル、2008年以降で30兆ドル増加している。この列車(負債バブル)を止めるものは何もない。
共和党であろうが民主党であろうが、米国の借金の増加を抑える要素はない。これを危惧したイーロン・マスクはDOGEで無駄遣いを指摘したが、予算の受益者から徹底的な抵抗を受けて歳出削減は数カ月で頓挫した。
米国は過去12カ月間に1.4兆ドルを国債の利子として支払っており、これは2020年の水準のほぼ3倍である。金利が現在の水準を維持すれば、年次負担額は2028年11月までに1.7兆ドルに達する可能性があり、政府の単一最大の支出となり、初めて社会保障を上回ることになる。
米国の国家債務の推移
出所:ゼロヘッジ
「より大きな赤字がさらに債務を増やし、より多くの債務がより高い利子コストを生み出し、それらのコストが赤字をさらに拡大させる」という負のループに青くなったベッセント財務長官は、昨日、「長期国債の買い入れプログラムの規模を1回当たり20億ドルから少なくとも40億ドルへと倍増させる」と発表し、金利の上昇を抑え込もうとしている。
米国10年国債金利(月足)
しかし、財政赤字への懸念が深まっても、米議会は抜本的な歳出削減策に動く気配は全くない。ベッセント財務長官の対処療法も、「根本的な問題」は何も解消されないのである。
米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行といった中央銀行はもはやインフレと戦っていない。金融政策の独立性を保っているかのように見せかけながら、市場介入を続けて金融システムの崩壊と戦っているのだ。
FRBや日本銀行を見ていれば分かるが、インフレは危機ではなく、借金の価値を下げる巨大な債務の解決策なのである。いずれにせよ、債務問題の解決には最終的にインフレが使われる。
昨今の西側民主主義国家では選挙を意識するあまり有権者ウケの良い支出(バラマキ)が優先され、巨額の国家債務(借金)が構造的に減らない。
国の借金が減らない構造は以下の通りだ。
- 選挙対策による「バラマキ」の悪循環民主主義国家では、政治家は選挙で勝つために有権者が喜ぶ政策(減税や社会福祉の拡大、補助金など)を約束しがちだ。逆に、国民に嫌われる「増税」や「歳出削減」は選挙で不利になるため、避ける傾向がある。結果として、「税収(収入)以上のバラマキ(支出)」が常態化し、国の借金(国債発行)は増え続けることになる。
- 借金を返すための「紙幣増刷」とインフレ膨れ上がった巨額の借金は、もはや通常の税収では絶対に返済できない規模に達している。国家が破綻(デフォルト)を避けるために取る唯一の方法は、中央銀行に紙幣を大量に刷らせる(プリンティングマネー)ことだ。お金を大量に刷ると通貨の価値が下がり、「インフレ(物価上昇)」が起きる。
- 「インフレ税」という詐欺的な借金帳消しインフレが起きると、モノの価値が上がる代わりに、お金の価値(=借金の価値)が実質的に目減りする。例えば、物価が2倍になれば、国が抱える1,000兆円の借金の実質的な負担は半分になる。国民に気付かれないように資産をむしり取る「ステルス増税(インフレ税)」が一番政治家や国家にとっては都合がいい。
その結果、政府は紙幣増刷や円安誘導によるインフレ(実質的な隠れ増税・インフレ税)で、借金の価値を目減りさせる政策に依存せざるを得ない。
現状、国家は借金をまともに返す気はなく、「お札を刷りまくってインフレを起こし、借金を実質的にチャラにする」という道を進むしかない。そのため、現金(円やドル)のまま資産を持っていると、インフレによって価値がどんどん削られていく。日本円はワイマールスタイルの崩壊を続けている。
「彼らが何を約束しようとも、唯一の解決策は紙幣を刷ることだ。彼らは借金を返済できない。債務不履行に陥ることもできない。借金の価値を下げるしかないのだ。紙幣印刷のコストは通貨で支払われるのではなく、我々が支払うのだ。若者がそれを負う。お金を無制限に印刷することは道徳的違反だ。将来の世代からの無許可の奪略である。法定通貨(不換紙幣)は道徳的に間違っている」
(ジャック・マラーズ)
大統領別の米国の連邦債務の増加
出所:RIVER
西側諸国はステーブル・コイン→中央銀行デジタル通貨(CBDC)→パスポート課税といった流れでジョージ・オーウェルの「1984」的な監視社会の完成にもっていく皮算用だが、果たしてうまくいくのだろうか?
いずれにせよ、世界は不換紙幣(紙切れ)から離れ「実物」の時代と「ブロック化」へと向かう。インフレから資産を守るためには、FX取引の活用、株、ゴールド(金)、コモディティ(商品)、不動産などのインフレに強い『実物資産』へシフトして資産防衛をすべきであろう。
ドル円(月足)
日経平均CFD(月足)
ゴールドCFD(月足)