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手取り年674万円・2人の子を育てる30代夫婦「教育費は?」「老後資金は?」→30年分の年間収支をシミュレーション…「国公立シナリオ」と「私立シナリオ」で老後資金はいくら変わる?

2026/8/19 7:30

 教育費のために毎月積み立ててはいるけれど、これで本当に足りるのだろうか」。30〜40代の方から最もよくいただくご相談です。今回は、モデルケースをライフプランシミュレーターに入力し、30年先までの資産の動きを見える化してみます。進路が変わったときに何が起きるのか、改善策はどこにあるのかを、具体的な数字で確認していきます。

目次
  1. 教育費で大事なのは「総額」より「いつ、いくら」
  2. 30代後半・子ども2人の家計で試算してみる
  3. 基本シナリオの結果は「意外と大丈夫」だった
  4. 進路が変わると、48歳で金融資産が尽きる
  5. 改善策は、7年前から効いてくる
  6. 不安の正体は、金額ではなく「見えないこと」

教育費で大事なのは「総額」より「いつ、いくら」

 幼稚園から大学まで全て公立に通った場合、教育費は1人当たり約866万円。私立だと約2,376万円。文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度)などを基にした目安です。

 こうした数字はよく紹介されますが、これを見て不安が消えたという方に、私はあまりお会いしたことがありません。総額を知っても、「自分の家計だと、いつ、いくら足りなくなるのか」が分からないままだからです。

 教育費には、ほかの支出にはない特徴があります。必要になる時期をずらせないことです。マイホームの頭金なら「もう1〜2年ためてから買おう」と先送りできますが、子どもの大学入学は待ってくれません。

 しかも、そのピークが来る時期は多くの場合、住宅ローンの返済期間の真っただ中と重なります。つまり教育費だけを切り出して考えても答えは出ず、家計全体を、しかも数十年単位の時間軸で眺める必要があるのです。

 そこで今回は、筆者が運営する情報サイト「資産形成ハンドブック ライフプラン&お金の計算ツール」にて提供している、登録不要、無料で使える「ライフプランシミュレーター」を使って、実際に計算していきます。

30代後半・子ども2人の家計で試算してみる

 モデルケースとして、次のような家計を設定しました。

モデルケースの前提条件

モデルケースの前提条件

 初年度の収支は、収入674万円に対して支出602万円で、年72万円の黒字。余裕たっぷりとはいえませんが、破綻もしていない、ごく標準的な家計です。児童手当(高校生年代まで、第1子・第2子は月1万円)も収入に含めています。

 入力にあたって、つまずきやすいポイントを三つだけ挙げておきます。

  • 収入は必ず「手取り」で入れる。財形貯蓄や団体保険で給与天引きしている分があると、振込額とはズレます
  • 教育費の上昇率を0%のままにしない。教育費は一般的な物価より上がりやすい傾向があり、出産から10~20年といった将来のお金です。今回は基本シナリオで年1%としています
  • 「目標預貯金額」を設定しておく。ここでは300万円としました。手元に常時300万円を残し、余ったお金は自動的に投資へ、足りない年は自動的に投資から戻す、という動きをツールが計算してくれます

 三つ目は地味ですが重要です。これを設定しておくと、「毎月いくら積み立てるか」を自分で決め打ちする必要がなくなります。

基本シナリオの結果は「意外と大丈夫」だった

 まずは、2人とも小中高全て公立、大学は国公立に自宅から通う前提で計算します。

年間収支の推移グラフ(基本シナリオ)

 最初に確認したいのが、年間収支の推移グラフです。折れ線が毎年の収支を表し、ゼロを下回った年が赤字になります。谷がどこにあり、どれくらい深いのかを見ていきます。

 基本シナリオでは、年間収支が赤字になるのは「46歳、48歳、49歳」の3年間だけ。しかも赤字幅は最大で年25万円にとどまりました。グラフでも、40代後半のくぼみはほとんど目立ちません。むしろはっきりした谷は60代に入ってから訪れますが、こちらは年金生活に入ったあとの赤字で、教育費とは別の話です。

 資産の方はどうでしょうか。金融資産(預貯金+投資資産)は、30年間を通じて一度もスタート時の889万円を下回りません。65歳時点では3,980万円まで増えている計算です。そして住宅ローンの残高(下向き棒グラフ)は順調に低下していき、65歳で完済することが見込まれています。

資産残高の推移グラフ(基本シナリオ)

 つまり、この家計はすでに足りているのです。「不安だったが、計算してみたら問題なかった」というのは、実際のご相談でもよくあることです。

 もう一つ、意外な発見がありました。教育費のピークは、2人が同時に大学生になる48〜49歳ではなく、46歳の年152万円だったのです。

ライフイベント年表

 年表を見ると理由が分かります。46歳の年は、長女の大学入学(入学金を含む初年度)と、長男の高校2年(受験期で学習塾代がかさむ)が重なっているのです。教育費の山は、直感とは違う場所に立っていることがあります。

 そして52歳。長男が大学を卒業し、教育費の負担が終わると、年間収支は一気にプラス113万円へ回復します。谷には、必ず出口があります。

進路が変わると、48歳で金融資産が尽きる

 では、進路が変わったらどうなるでしょうか。同じ家計のまま、次のように条件を変えてみます。

  • 長女:中学から私立→私立高校→私立大学文系
  • 長男:私立高校→私立大学理系(下宿)
  • 教育費の上昇率:年1%→年2%
  • 中学受験の塾代(年100万円×2年)と、下宿費用(年96万円×4年、初期費用39万円)を追加

 下宿費用は統計の教育費に含まれないため、日本政策金融公庫の調査を基に別途入力しています。

シナリオ比較グラフ(基本シナリオ vs 私立シナリオ)

 結果は大きく変わりました。教育費の総額は1,474万円から2,848万円へ。ピークは48歳の年324万円、その年の家計は334万円の赤字です。

 問題は総額そのものよりも、それが8年間に集中することでした。47歳で投資資産が底を突き、48歳には金融資産がマイナスに転じます。65歳時点でもマイナス646万円のまま。教育費が終わった後に立て直す時間が、ほとんど残らないのです。

 ここで、感度分析(前提を動かしたときの振れ幅を見る機能)に興味深い結果が出ました。投資の想定利回りを±1%動かしたときの最終純資産の差が、基本シナリオでは2,401万円あったのに対し、私立シナリオではわずか158万円しかなかったのです。

 理由は単純で、資産が早々に尽きてしまうと、運用する元本自体が残らないからです。「運用でなんとかする」という発想は、資産が残っていて初めて成り立つ、ということなのです。

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