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バークシャー・ハサウェイ:バフェット流のディフェンシブな特性が再評価される局面

2026/8/13 15:55

 バークシャーのポートフォリオは、経済サイクルに左右されず価値を生む企業で構成されています。今後は予測可能性が高くキャッシュ創出能力に優れた「生活必需品株」へのシフトが予想されます。強固でディフェンシブな同社の特性が、改めて再評価される局面を迎えていると言えるでしょう。

目次
  1. 15四半期ぶりに株式を買い越し、6月末の手元キャッシュは前期比8%減少
  2. バークシャー株は会社の本来の価値を下回っている?
  3. 8月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

15四半期ぶりに株式を買い越し、6月末の手元キャッシュは前期比8%減少

 投資会社のバークシャー・ハサウェイ クラスB(BRK.B)が8日、2026年4-6月期(2026年第2四半期)を発表した。純利益は前年同期比2.1倍の256億ドルだった。主に株式投資による126億ドルの投資利益を除くと、営業利益は129億8,000万ドル(前年同期比16.3%増)となり、予想の約105億ドルを上回った。

 公開されたキャッシュフロー計算書によると、バークシャーは15四半期ぶりに株式を買い越した。株式取得額234億ドルに対し、売却額は36億ドルと、197億ドルの買い越しだった。差し引きで取得額が上回るのは2022年7-9月期(36億ドルの買い越し)以来となる。

バークシャー・ハサウェイの株式売買動向

バークシャー・ハサウェイの株式売買動向
出所:決算資料より石原順作成

 8月9日の日本経済新聞の記事「バークシャー、株買い越し 4~6月3兆円 15四半期ぶり」では、グレッグ・アベル最高経営責任者(CEO)の下で、巨額の手元資金が動き始めていると指摘している。今回の買い越しの主な要因はグーグルの親会社アルファベット(GOOGL)が6月に実施した増資において、バークシャーが100億ドルを出資したためだ。

 現金や米短期国債を合わせた広義の手元キャッシュは6月末時点で約3,655億ドルと、過去最高だった3月末から8%減った。とはいえ、モルガン・スタンレー(MS)やゴールドマン・サックス・グループ(GS)といった大手金融機関の時価総額を上回る水準だ。

 バークシャーの潤沢な流動性は大きな利益の源泉となっており、バークシャーは保有する現金から年間で、S&P500種指数を構成する企業の総収益をほぼ上回る利益を上げているという。

バークシャー・ハサウェイの現金残高は前期から8%減少

バークシャー・ハサウェイの現金残高は前期から8%減少
出所:各種データより石原順作成

 この巨額の資金は、単にドルを保有するだけではなく、主に短期の米国債に投資されている。現在、米国の政策金利は過去15年間で最高水準に近い水準にあり、直近の3カ月物米短期国債(T-Bill)の利回りは約3.7〜3.9%前後で推移している。

 バークシャーはこの資金でほぼノーリスクで収益を得ることができる。今年第1四半期には、主に米国債保有から得た利息収入が31億ドルに達した。

3カ月物米短期国債(T-Bill)の推移

3カ月物米短期国債(T-Bill)の推移
出所:セントルイス連邦準備銀行

 株式市場が調整局面にあっても、米国債から年間120億ドル規模の現金が生まれる。

 貸借対照表に多額の現金が計上されているという事実は、現在の市場に投資機会がほとんどないことを明確に示しているが、一方で金利収入を得ながら市場の割安タイミングを待つことができるため、株高局面で「焦って高値づかみをする必要がない」という最強のディフェンシブ姿勢を可能にしている。

バークシャー株は会社の本来の価値を下回っている?

 ウォーレン・バフェットはバークシャーのCEOを退任し、会長となった今でも週に5日はオフィスにいるという。

 5月に開催されたバークシャーの年次株主総会時、バフェットはCNBCとのインタビューに答え、手元にたくさんの現金があって、ポートフォリオの管理も積極的に続けていて、株式もチェックしているが、投資したいと思えるものが見つからない場合、「そんな時は何もしないでいる」と語った。

 そして、現在の金融市場をカジノが併設された教会に例えた。教会は長期投資、カジノは短期的な投機を表している。

「市場を教会とカジノに例えたことがある。人々は教会とカジノを行き来する。1日限りのオプションを買ったり売ったりするのは、投資でも投機でもなく、完全にギャンブルだ。1日限りのオプションを買う理由を説明できる人は誰もいない。今ほどギャンブルに熱中している人はかつていなかった」と述べた。

 第2四半期にバークシャーが積極的に行ったのは自社株買いだった。バークシャーは約45億ドルを投じて自社株を買い戻した。四半期ベースとしては2021年以来の高水準だった。グレッグ・アベルCEOは、「取締役会長(ウォーレン・バフェット)と協議した上で」、株価が会社の本来の価値を下回っていると判断した場合、いつでも自社株買いを実施するとしている。アベルやバフェットがバークシャー株を割安と見ていることの表れだ。

 バークシャーの株価は直近、8カ月ぶりの高値に上昇した。バークシャーB株は500ドル台まで上昇、昨年11月以来の水準となった。依然として、S&P500と比較して大きく出遅れている。

 前回のレポートで取り上げたように、バークシャー株にとっての好材料は莫大(ばくだい)な流動性が自動的に富を生み出していると同時に、同社の株式ポートフォリオにおける主要な保有銘柄が大きく上昇していることもある。

バークシャー・ハサウェイB株(日足)

バークシャー・ハサウェイB株(日足)
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

バークシャー・ハサウェイB株(週足)

バークシャー・ハサウェイB株(週足)
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

バークシャー・ハサウェイが保有する上場株式上位10銘柄(2026年3月末)

バークシャー・ハサウェイが保有する上場株式上位10銘柄(2026年3月末)
出所:決算資料より筆者作成

 モトリーフールの8月1日の記事「Warren Buffett and Greg Abel Have Already Made Close to $8 Billion in Gains and $424 Million in Dividends This Year on 1 of Their Oldest, Most Boring Stocks(ウォーレン・バフェットとグレッグ・アベルは、彼らが保有する最も古く、最も地味な銘柄の一つから、今年すでに80億ドル近くの利益と4億2,400万ドルの配当を得ている)」によると、バークシャーはコカ・コーラ(KO)への投資からすでに80億ドル近い利益と4億2,400万ドルの配当金を得ているという。

 バークシャーは1980年代後半からコカ・コーラの買収を開始し、1994年に4億株の買収を完了した。

 コカ・コーラはバークシャーが保有する銘柄の中でも、最も古い銘柄の一つだ。コカ・コーラは世界的なブランドではあるものの、急成長を遂げている人工知能(AI)関連銘柄ではない。むしろ、経済の混乱や不確実性が高まる時期に保有すべき生活必需品関連セクターに分類される。

 バークシャーの株式ポートフォリオにはさまざまな業種にわたる企業が名を連ねている。バフェットは常に、経済サイクル全体を通して価値を生み出すことが期待される企業への投資を行ってきた。

 予測可能性が相対的に高く、キャッシュ創出能力に優れた「生活必需品株」へ資金シフトが起きつつあることも予想される。バークシャーの強固なポートフォリオとディフェンシブな特性が再評価される局面にあるだろう。

8月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 8月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土信田雅之さん(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト)をゲストにお招きして、現在のマーケットの「あれ?」と思うポイントを話してみました。ぜひ、ご視聴ください。

8月12日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー 資料
出所:YouTube
8月12日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー 資料
出所:YouTube
8月12日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー 資料
出所:YouTube
8月12日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー 資料
出所:YouTube

 ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。

楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

8月12日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

8月12日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビューの様子
出所:YouTube
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