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NYダウ最高値更新が示す日経平均10万円超の可能性

2026/8/11 7:30

 NYダウが最高値を更新しました。銘柄入れ替えというゲタ、株高を望む人々の期待、期待を増幅させるSNS、株価指数のインフラ化などの側面から考察します。さらに、社会の「光」が株高を、「影」が金(ゴールド)高を促す構造をひもとき、日経平均10万円超が夢物語ではない可能性を探ります。

目次
  1. コモディティアナリストの素朴な疑問
  2. 株価指数の「銘柄入れ替え」は「ゲタ」
  3. 金融業界「みんなで」株価指数を支える
  4. インフラ・信仰の対象としての株価指数
  5. 長期の株高・金(ゴールド)高は継続か
  6. [参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

コモディティアナリストの素朴な疑問

 図1は、1986年以降の米国の主要三株価指数と、代表的なコモディティ(国際商品)である原油、銅の価格推移です。

 2010年1月を100として指数化すると、足元でナスダック総合指数は1,000を大きく超え、S&P500種指数、ダウ工業株30種平均も大幅に上昇しています(2026年8月、最高値を更新)。一方、原油と銅は長い期間を経ても、株価指数ほど大きく上昇していません。

図1:米主要三株価指数および原油・銅価格の推移

図1:米主要三株価指数および原油・銅価格の推移
出所:世界銀行、Investing.comのデータを基に筆者作成

 銅はしばしば「ドクター・カッパー(Dr. Copper)」と呼ばれます。電線、建物、自動車、機械など、幅広い用途で使われるため、その価格の変化が世界経済の状態を診断する医師のような役割を果たす、という意味です。

 原油も同様です。輸送を中心に、製造、発電、石油化学など、現代の経済活動のありとあらゆる場面に関わり、世界の隅々に行き渡っていることから、「経済の血液」であるといえます。銅と原油は、ともに世界の実体経済と深く結び付いているコモディティです。

 このように考えれば、コモディティアナリストとして素朴な疑問が湧きます。世界経済を診断する「ドクター・カッパー」と言われる銅と、世界経済を巡る「血液」である原油がこの程度の上昇にとどまっているにもかかわらず、なぜ株価指数は、何倍、何十倍という規模で上昇することができたのでしょうか。

 もちろん、株式とコモディティは性質が異なるため、単純に比較することはできません。株式には企業利益の成長があり、配当があり、技術革新があります。一方、原油や銅には企業のような利益の成長はありません。

 しかし、それだけで、図1に見られる圧倒的な差を説明できるのでしょうか。この素朴な問いに答えを出すためには、過去の常識を覆す必要があると、コモディティアナリストである筆者は考えています。

 この考え方は、株価指数が過去の常識で説明しにくくなっている、ということを前提にしています。予断を持たずシンプルに、ゼロベースでこの問いに向きあうことで、思いがけない答えが出ていきます。

株価指数の「銘柄入れ替え」は「ゲタ」

 ここまで、原油や銅と株価指数の長期的な値動きには、大変に大きな差があることを確認しました。この差を生んだ要因の一つに「銘柄入れ替え」が挙げられると筆者は考えています。株価指数は、同じ企業で構成されていません。時代の変化に応じて構成銘柄が入れ替わります。

 図2は、NYダウを構成する30銘柄を、1975年、2000年、2025年と年別に、セクター別に分類した資料です。1975年は素材が11銘柄と突出し、情報技術、金融、ヘルスケアはゼロでした。

図2:NYダウのセクター別の構成銘柄数の変遷

図2:NYダウのセクター別の構成銘柄数の変遷
出所:各種情報源を基に筆者作成

 ですが、2025年になると、素材は1銘柄となり、情報技術は6銘柄、金融は5銘柄、ヘルスケアは4銘柄にまで増加しました。50年間で、NYダウの「中身」は大きく変わったのです。

 これは、米国経済の変化を反映した結果でもあります。かつて経済成長をけん引した素材や製造業に代わり、IT、金融、ヘルスケアなどの存在感が高まりました。そして株価指数も、その変化を取り込みながら姿を変えてきました。

 原油は原油、銅は銅です(だからこそ、コモディティ、国際的な汎用品と言われる)。しかし、1975年のNYダウと2025年のNYダウは、同じ「NYダウ」という名前でありながら、その構成は米国経済の変化を受けて大きく変化しました。

 その時代を代表する企業を組み入れ続ける(そうでない企業を外し続ける)ことで、同指数は経済成長への「期待」を維持しやすくなります。つまり、銘柄入れ替えは、上昇を享受しやすくするきっかけになり得るといえます。この仕組みは、株価指数が履く「ゲタ」だといえるでしょう。

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