<指数パフォーマンス比較~バリュー株orグロース株どっち優勢?~>

指数パフォーマンス比較~バリュー株orグロース株どっち優勢?~

7月の中小型株ハイライトは「AI株の暴落を傍観」

 上半期はAI株一色でしたが、7月は容赦なく、そして無慈悲に…わが世の春だったAI株が信じられないレベルで売り込まれる1カ月になりました。相場というのは、月替わり、四半期替わりなどの節目でトレンド転換することはよくありますが、これほどまで変化する?というレベルの強烈どんでん返しの発生で世界中パニックに…。

 これまで、ハイパースケーラーによるAIデータセンターや半導体への巨額の設備投資計画を受け、その恩恵を受けるAI株への期待を株価に織り込み続けました。そこで生まれた株価モメンタムに乗ろうとする投資家が増加し、買うから上がる、上がるから買うの好循環が発生。

 ただ、ここでは、急いでリターンを上げようともくろみ、レバレッジ型上場投資信託(ETF)、信用取引、オプションのポジションをつくる動きも流行化していました。

 それが、月替わりと同時に株価が反転し、下げトレンドが始動。レバレッジをかけて入ったお金が、レバレッジがかかった形で抜けていく「デレバレッジ」と呼ばれる展開により、その調整速度は想像以上に早いものとなりました。

 国別の指数でダントツ上がっていたのが、超大型メモリ株のサムスン電子とSKハイニックスで指数ウエート5割を超える韓国総合株価指数(以下:KOSPI)でした。KOSPIの3倍の変動率になるよう設計されたETFや、個別のメモリ株の2倍の値動きをするETFが上場していたこともあって、韓国でこうした超ハイボラのレバレッジ取引が人気化。

 上がっている間はみんなハッピーですが、下がり始めると同時多発的に損が膨らみパニックになります。

 韓国市場で起きたデレバレッジは同じ取引時間の日本市場にも伝染し、日本一の人気株キオクシアホールディングス(285A)は完全ツレ安状態に。キオクシアHDも信用買い残が1兆円超という史上最強に個別株として積み上げていた日本最大レバレッジ銘柄です。キオクシアHDの下げが他の日本のAI株にも伝染していきました。

 上がっている時は、好材料ばかり目立ちますが、下がっている時は悪材料ばかり目に入るもの…。

 下落に伴い、後付けともいえるような売り理由がいくつも出てきましたが、主要な売り理由としては(1)AIへの巨額投資による財務懸念、(2)中国企業の台頭によるAIの低価格化への懸念、(3)中国の大手DRAMメーカーCXMT(7月27日には上海市場に株式の新規公開(IPO)も果たす)などがメモリ高騰シナリオを破壊する、(4)そもそも上がり過ぎ、そもそも割高化していた、などでしょうか。

 日本の超人気AI株の7月の月間騰落率では、太陽誘電(6976)マイナス49%、キオクシアHDマイナス48%、村田製作所(6981)マイナス35%、古河電気工業(5801)マイナス34%など、想像を絶するスピード調整に。

 一方で、カプコン(9697)+32%、オービックビジネスコンサルタント(4733)+32%、SHIFT(3697)+30%、オリエンタルランド(4661)+27%などAI株ラリー時に不条理に売られ続けた非AI株の爆上げも同時に発生しました。

 壮絶なリターン・リバーサルの結果、AI株の影響が大きい日経平均株価(以下:日経平均)の7月月間騰落率はマイナス8.1%でしたが、非AI株寄りの東証株価指数(TOPIX)に関しては同+0.2%と逆行高。

 中小型株の主要指数でも、AI株に関係ないバリュー系指数は月間プラスでしたが、TOPIXスモールグロースは小幅マイナス、東証グロース市場指数に関してはマイナス2.6%と低調でした。

日経平均株価と東証グロース250指数の相対チャート

 AI株の影響が強い日経平均と、AI株はほぼ皆無ながら個人のレバレッジ売買(信用取引)が多い東証グロース250指数の推移を重ねてみました(前年末終値=100として指数化)。AI株ラリーが加速した6月に、日経平均爆上げ、グロース市場爆下げを経験。7月に入りAI株が急落に転じると、TOPIXは逆に堅調化したわけですが、グロース市場は…一緒に下落しています。

 キオクシアHDなどAI株が爆上げ時は、そっちに資金が流れることのあおりを受けて不人気だった中小型株。恩恵を受けていないのに、AI株が下げる時は連帯責任をとらされているような動きをする不遇な中小型グロース株…。

 この間、日米の金利が上昇していたこともあって、バリュエーション(予想株価収益率(PER))の高い株には逆風でもある中、主力級の月間騰落率ではQDレーザ(6613)マイナス45%、データセクション(3905)マイナス38%、QPSホールディングス(464A)マイナス21%などが低パフォーマーでした。