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11人に1人は「資産1億6,000万円」超え!?…米国で「百万ドル長者」が増え続ける理由

2026/8/5 11:00

 米国では2025年、1日当たり平均で1,200人のミリオネア(百万ドル長者)が新たに誕生しました。その背景には、AI革命を追い風とする企業利益の拡大と株高、そして「株式は成長証券」との理解と投資を続ける文化があります。本稿では、富裕層が増える理由を、企業業績、AI革命、長期積立投資の三つの視点から読み解きます。

目次
  1. 米国で「百万ドル長者」が増え続ける事実と理由
  2. 株高と「成長証券」が米国家計の純資産を育てている
  3. AI相場は一時のブームではない―「新たな産業革命」の入口
  4. 10年前から米国株に積立投資していれば時価資産は約3倍に

米国で「百万ドル長者」が増え続ける事実と理由

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、2026年7月1日)は、UBSが2026年6月30日に公表した「グローバル・ウェルス・レポート2026」を引用し、「米国では2025年末時点で、株式、債券、住宅不動産などを含む純資産が100万ドル(約1億6,000万円)を超える『百万ドル長者』が約2,360万人に達した」と報じました。

 これは、1日当たり平均約1,200人超の百万ドル長者が誕生し、2025年だけで約44万1,000人増加した計算です(2024年の1日当たり平均は約1,000人増のペースでした)。2025年に世界全体で増えた百万ドル長者のうち、約半数を米国が占めました。

 米総人口を約3億4,000万人とすれば、百万ドル長者は総人口のおよそ14~15人に1人に相当。成人だけを分母にすると「約11人に1人」という高い割合になります。

 スイスユニオン銀行(UBS)の国際比較によれば、日本も百万ドル長者が200万人を超える主要国の一つですが、人口約1億2,300万人に対する割合は約1.6%と少なく、総人口ではおおむね60人に1人程度です。単純比較では、米国の百万ドル長者比率は日本の4倍前後に達することになります。

 図表1は、米国株を象徴するS&P500種指数の長期パフォーマンスを、約10年前(2016年初)を起点にして世界株式(MSCI ACWI指数)や日本株式(東証株価指数(TOPIX))との比較で検証したものです。「株式は成長証券(Growth Securities)」と認知されている米国での資産効果が分かります。

図表1:過去10年の内外株価指数の推移比較(ドルベースおよび円ベース)

図表1:過去10年の内外株価指数の推移比較(ドルベースおよび円ベース)
出所:市場データに基づき著者作成(2026年7月末時点)

株高と「成長証券」が米国家計の純資産を育てている

 UBSは「米国と日本の百万ドル長者の総人口比率と増加ペースの差を生んでいる大きな理由」として「家計の資産形成の方法」を挙げていました。

 米国では、確定拠出年金(401K)退職個人年金(IRA)を通じて、株式や投資信託を長期保有、定時定額投資(積立投資)を続けてきた中間所得層が多く、一般家計でも株価上昇が一般家計の純資産増加に直接結びつきやすい構造になっています。つまり、利益成長期待を反映する米国株高傾向や、住宅価格の高止まりが、富裕層増加を後押ししてきました。

 WSJも、米国で百万ドル長者が増えた大きな理由として「金融市場、特に株式市場の上昇」を挙げています。これに対して日本は、2026年3月末時点でも家計金融資産の47.2%、約1,126兆円が現金・預金です(日本銀行・2026年第1四半期の資金循環統計)。

 一方、株式は16.7%、投資信託は6.9%にとどまるため、株価上昇の恩恵が家計全体に広がりにくい構造となっています。

 米国の事例が示すのは、「現金は安心を守るが、株式は成長を取り込む」という資本主義経済の現実です。株式や投資信託を長く保有し、企業利益の成長を家計の成長につなげたことが、資産形成の成否を左右したファクトであるといえるでしょう。

図表2:米国株の上昇を支える「1株当たり利益」の実績と市場予想

図表2:米国株の上昇を支える「1株当たり利益」の実績と市場予想
出所:S&P500ベースのEPS実績と市場予想平均(LSEG I/B/E/S:7月19日時点)より著者作成

 過去10年間の米国株式市場を振り返ると、2015~2016年の中国景気減速や原油価格急落、2018年の米連邦準備制度理事会(FRB)利上げと米中貿易摩擦、2020年の新型コロナショック、2022年の歴史的なインフレと急速な利上げ、2023年の米地方銀行破綻、2025年のトランプ関税ショック、今年3月のイラン×米国紛争と原油高など、株価を揺さぶる材料は幾度となく発生しました。

 そのたびに大小の株価調整を余儀なくされましたが、中長期では上昇基調を維持しています(図表1)。

 その原動力となってきたのが企業業績の拡大です。図表2のように、S&P500ベースの1株当たり利益(EPS)は、2015年の117.46ドルから2025年には271.29ドルへ約2.3倍に拡大し、市場では2026~2028年も3年連続で2桁増益(最高益更新)が予想されています。

 今後も需給、金利、地政学的リスクで株価は適宜揺れるでしょう。ただ、「調整は強気相場の必要経費」であり、長期では「株価は業績」です。利益が伸び続ける限り、株式市場は上昇トレンドをたどる。過去10年の米国市場はそのプリンシパルを示してきました。

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