インフレ経済への転換が株価を押し上げる

 日本がインフレ経済に変わった効果が、日本株を押し上げると考えています。インフレは国民生活に厳しいものの、企業業績と株価には強い追い風です。インフレによる名目国内総生産(GDP)の伸びは、企業の売上高を押し上げ、株価を上昇させます。

<日本の名目・実質GDP推移(四半期別、前期比年率、季節調整済:2005年1-3月期~2026年1-3月期(二次改定値)>

日本の名目・実質GDP推移(四半期別、前期比年率、季節調整済:2005年1-3月期~2026年1-3月期(二次改定値)
出所:内閣府より楽天証券経済研究所作成、シャドー部分は景気後退期

 これまで値上げできなかった企業が、普通に値上げできるようになった効果が大きいわけです。製造業で、10年ぶり20年ぶりに最高益を更新する企業が出てきているのは、インフレで値上げできるようになった効果が大きいです。

 とはいえ、日本の経営者のデフレマインドはまだ完全には払拭されていません。そのために、値上げ・賃上げが遅れています。ただし、まもなくそれも変わると思います。値上げ・賃上げが続くことが普通だと認識する人が、これから増えていくと思います。

 私は1961年生まれです。インフレを30年、デフレを30年経験しました。1960年代高度成長下のインフレ、1970年代オイルショック下のインフレ、1980年代バブル経済のインフレを見てきました。そして、1990年代のバブル崩壊から2020年までデフレ経済も30年経験しました。

 2021年からまたインフレ経済に戻りました。「あ~、あの時に戻ったのね」と私は感覚的に理解できます。でも、インフレをまったく知らない世代には少し理解しがたいところがあるのかもしれません。

 インフレの影響で、東京、大阪、名古屋の都市部で不動産価格が上昇し始めました。人件費・資材価格が上昇し、建築単価が上昇しているので、その影響で不動産賃料や価格が上昇していくのは、当然のことと思います。

<日本の公示地価変動率(全用途):年次2014~2026年(1月1日時点)>

日本の公示地価変動率(全用途):年次2014年~2026年(1月1日時点)
出所:国土交通省より楽天証券経済研究所作成

 日本の上場企業には、東京・大阪・名古屋の三大都市圏に不動産を所有している企業が多く、賃貸不動産の含み益が大幅に拡大しています。

<賃貸不動産の含み益上位4社の含み益推移:2013年3月期末~2025年3月期末>

賃貸不動産の含み益上位4社の含み益推移:2013年3月期末~2025年3月期末
出所:各社有価証券報告書より楽天証券経済研究所作成

 日本がバブル景気に踊った1989年当時、日本の株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して極めて「高い」水準にありました。東京の生活費は世界一高く、日本人の賃金は国際比較で極めて高いと言われていました。株価も不動産も、PERやイールドで説明できない高値にありました。

 今は、その逆です。株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して「割安」になっています。割安な株価と、経営改革が評価されて、日経平均は2030年に8万円に到達すると予想します。

2030年までに日経平均が8万円に到達すると予想する理由

 私は1株当たり利益(EPS)の増加にともなって日経平均が上昇すると予想しています。以下の通り、東証プライム市場の平均EPSが、年率平均6.7%増加すると予想しています。

 EPSを増加させるドライバーが三つあります。

【1】海外での利益成長
【2】インフレ
【3】自社株買い

 です。

 この三つを合わせて、EPSは年率平均6.7%増加、4年で29.6%増加すると予想しています。それが、日経平均が2030年には8万円を超えると予想する理由です。

<東証上場企業のEPS増加要因>

東証上場企業のEPS増加要因
出所:楽天証券経済研究所予想

【1】海外事業による利益成長:年率寄与度(予想)+2.3%

「人口が減少する日本の株は魅力がない」と言う人がいます。もし、日本企業が日本国内だけでビジネスを行っているのならばその通りですが、実際には日本企業は人口が増加するアジアや米国などで幅広くビジネスをやっています。これからも巨額買収や合併(M&A)で海外企業の買収を積極的に進めていくと思います。

 日本企業の海外事業の成長が、東証上場企業のEPSを年率2.3%増加させると予想しています。

【2】インフレ:年率寄与度(予想)+2.8%

 日本のインフレ復活が、日本の企業業績・株価を上昇させる要因となります。日本企業は長年にわたり、ゼロ・インフレに苦しんできましたが、日本にも今後3%近いインフレが定着すると予想しています。インフレ定着は国民生活にとってネガティブですが、企業業績・株価にとっては追い風となります。

【3】自社株買い+1.5%

 年間15兆円を超える自社株買いが続くと考えています。発行済み株式数の減少を通じて、1株当たり利益を増加させます。

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