15年ぶりの日米協調介入が実施され、円高メリット銘柄に関心向かう余地

 7月30日、政府と日本銀行が為替介入を実施。6兆円規模の円買いドル売りによる介入が行われたとみられ、1ドル=162円台後半で推移していたドル円相場は一気に5円ほど下落しました。

 さらに、続く7月31日にも介入とみられる動きでドル安・円高が進行、日米両政府が円買いの協調介入を実施したと伝わっています。協調介入は2011年の東日本大震災の直後以来15年ぶりとなります。

 直近でドル円相場は1ドル=164円に迫るなど、およそ40年ぶりの安値水準にありました。今回の協調介入を受けて、歴史的な円安が阻止されるとの見方は強まりそうであり、目先は、円高メリット銘柄に市場の関心が向かう余地もありそうです。

(表)円高メリットが期待される高配当利回り銘柄

コード 銘柄名 配当利回り
(%)
7月31日終値
(円)
時価総額
(億円)
株価騰落率
(%)
PER
(倍)
2815 アリアケジャパン 5.59 5,370.0 1,761 1.51 17.6
3861 王子HD 4.09 879.8 8,924 2.28 22.9
2109 DM三井製糖 4.08 3,430.0 1,079 3.00 13.9
2004 昭和産業 3.94 3,550.0 1,171 17.74 12.1
7483 ドウシシャ 3.68 2,988.0 1,116 ▲9.45 12.5
注:配当利回りは会社予想ベース
注:株価騰落率は2025年末比
注:決算期は全て3月
注:全てプライム市場上場
注:▲はマイナスを示す

銘柄選定の要件

  1. 前期の実績配当利回りが3.0%以上(7月31日時点)
  2. 予想配当利回りが3.5%以上(7月31日時点)
  3. 時価総額が1,000億円以上
  4. 円高メリット業種(水産・農林、食料品、紙・パルプ、石油・石炭、電気・ガス、卸売業、小売業)
  5. 円高進行がメリットと期待される銘柄

 楽天証券のスーパースクリーナーにおいて、上記要件で絞った銘柄を抽出しました。そこでリストアップされた銘柄群の中から、個別に円高の恩恵を受ける、あるいは株価にプラスの効果があるとみられる銘柄が表になります。

厳選・高配当銘柄(5銘柄)

1 アリアケジャパン(2815・東証プライム)

 ブイヨン、コンソメ、フォンなど、畜産系天然調味料のリーディングカンパニーです。国内市場の約6割のシェアを確保、業務用ラーメンスープやガラスープでも国内シェアトップです。

 2026年3月期営業利益は117億円で前期比6.0%増となりました。CVSの停滞が想定以上でしたが、加工食品メーカー向けは、価格改定効果および節約志向などによる需要増で堅調でした。また、流通向けB2B2Cが大きく伸長しました。

 一方、2027年3月期は112億円で同4.5%減の見通しです。アジアを中心に子会社は増収増益見込みですが、単体業績が、CVSの成長頭打ちに加えて、中東情勢の影響含め原材料費の値上がりが重しとなる見込みです。

 年間配当金は、2026年3月期が前期比50円増の180円、2027年3月期は同120円増の300円を計画しています。期末に創業60周年記念配当120円を実施する予定となっています。

 配当方針としては、自己資本配当率(DOE)4%以上を基本として、配当性向も併せて考慮するとしています。これまではDOE3.0%以上としていました。

 また、発行済み株式数の3.14%を上限とする自社株買いの実施も発表しています。輸出比率が低い一方、海外から原材料やオイル類の調達があるため、ドル、ユーロ、インドネシアルピアに対してそれぞれ、円高はプラスに作用します。2026年3月期には、継続する円安に対し、為替対策を実施しているもようです。

2 王子HD(3861・東証プライム)

 製紙業界における国内大手企業です。段ボール、紙器、紙袋などの包装資材を製造販売する生活産業資材が中心事業であり、感熱記録媒体や食品・飲料ラベルなどを手掛ける機能材事業も利益を下支えしています。

 2026年3月期営業利益は345億円で前期比48.9%減となりました。パルプ市況の下落によって、資源環境ビジネスの海外事業の収益が大きく落ち込みました。また、印刷情報メディア事業は、主に国内の販売減やコスト増が響きました。

 2027年3月期は600億円で同73.5%増を見込んでいます。板紙・段ボールや印刷用紙の値上げ効果によって、国内外ともに収益の改善を見込んでいます。なお、中東情勢によるマイナス影響を150億円ほど織り込んでいるようです。

 2027年3月期年間配当金は前期比横ばいの36円を計画しています。会社側では中計方針として配当性向50%、配当下限24円を挙げていますが、これらを上回る水準を計画している形です。

 また、2024~2027年度累計で1,500億円の自己株式取得を計画していますが、2026年5月までで、累計1,000億円の取得を完了しています。紙・パルプ業界は一般的に、為替の円高は木材チップや原燃料の輸入コスト低下につながるため、円高メリットセクターとされています。

 同社では、対ドル1%の変動につき、年間で約7.4億円の営業利益影響(ドル安円高がプラス)があるとしています。

 海外子会社の利益の目減りにはつながりますが、少なくとも株価的には円高に対しプラス反応が強まりやすいとみられます。

3 DM三井製糖(2109・東証プライム)

 上白糖やグラニュー糖、黒糖など砂糖の製造・販売が主力事業となっています。家庭用では圧倒的なブランド力を誇り、業務用でも供給力などに強みを持っています。業界シェアは約40%。2021年に三井製糖と大日本明治製糖が経営統合して誕生しました。

 2027年3月期第1四半期(2026年4-6月期)営業利益は38億円で前年同期比8.9%増となりました。国内では、野菜価格の安定に伴うドレッシング類、米から麺類への消費シフトによるパスタソースといった調味料需要が好調でした。海外ではベトナムのグループ会社の販売量が伸びました。

 2027年3月期通期営業利益は130億円で前期比0.7%増の見通しです。期初計画を据え置いています。販売価格の上昇を見込む一方、減価償却費など製造費用の増加を見込んでいます。

 2027年3月期年間配当金は140円で前期比10円増を計画しています。株主還元方針は、これまでの総還元性向50%以上から、連結配当性向50%、またはDOE5.0%程度を目安にすると変更しています。

 ちなみに、第1四半期末の1株当たり純資産(BPS)に占める配当金の比率は3.9%の水準です。砂糖の原料となる粗糖は、主に輸入で賄われているとみられ、同社も為替の円高は収益にとってプラスに作用します。2025年3月期の決算説明会では、ドル円1円に対して約2億円の営業利益への影響があるとされていました。

4 昭和産業(2004・東証プライム)

 パンやケーキ、麺類などの用途に合わせた各種小麦粉、プレミックス類・パスタを製造・販売する製粉事業、さまざまな用途に合わせて開発した各種植物油などを製造・販売する製油事業、コーンスターチなどの糖化製品、加工でん粉製品の製造・販売を行う糖質事業が主軸となっています。「昭和天ぷら粉」「SHOWAホットケーキミックス」などで知られます。

 2026年3月期営業利益は119億円で前期比7.3%増となっています。売上高は伸び悩みましたが、販管費増加分に対して適正価格での販売に取り組んだ効果などが顕在化したようです。

 2027年3月期は120億円で同0.5%増を見込んでいます。売上高は順調な拡大を想定していますが、鹿島工場バイオマス発電ボイラーや神戸工場製粉立体自動倉庫などの減価償却費、AI関連などの投資の費用が増加するもようです。

 2026年3月期年間配当金は前期比15円増の115円、2027年3月期は同25円増の140円を計画しています。2027年3月期から還元方針を変更、これまでの配当性向30%から、配当性向40%またはDOE3.0%のいずれか高い方を基準とするとしています。

 原料となる小麦や大豆、トウモロコシなどは、ほとんどを輸入しているとみられ、市況が一定の場合、円高が進めば仕入れコストが低下します。相対的に値上げを行いにくい商品とも考えられるため、材料費の低下は大きな収益改善要因とも捉えられるでしょう。

5 ドウシシャ(7483・東証プライム)

 生活用品の卸売り企業ですが、ニッチ市場をターゲットとした商品の企画、開発、生産、販売などメーカー機能も有しています。取扱商品は、食品、ワイン、時計、バッグ、テレビ、衣料品、化粧品、ギフト関連など多岐にわたります。販売先も、ホームセンター、ディスカウントストア、スーパーマーケット、ワンプライスショップ、家電量販店など多様です。

 2027年3月期第1四半期(2026年4-6月期)営業利益は35億円で前年同期比3.4%増となりました。据え置きの上半期計画56億円、同8.9%減に対して順調な進捗(しんちょく)となっています。開発型ビジネスモデルは天候不順の影響で伸び悩みましたが、卸売型ビジネスモデルは、ポートフォリオの再構築などの施策が奏功して収益を伸ばしています。

 2027年3月期通期では122億円で前期比2.2%増の見通しです。

 2027年3月期年間配当金は前期比横ばいの110円を計画しています。配当政策としては、配当性向50%程度を目安とすることを基本方針に掲げています。前期まで6期連続増配を続けていることで、業績が順調に推移すれば、増配の余地もありそうです。

 卸売型ビジネスモデルにおいては、独自の仕入ネットワークを生かし多岐に渡る海外有名ブランド商品を調達して販売しているので、円高で仕入れ価格が低下することになります。また、開発型ビジネスモデルにおいても、プライベートブランド商品は中国など海外で生産し輸入販売するので、円高は利益率の向上につながります。