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純金積立、下落は好機、資産は長期上昇で増やす

2026/7/28 7:30

 金(ゴールド)価格は、今年3月に歴史的な高値をつけたあと、6月にかけて下落しました。しかしその後は底堅く推移しています。当時の下落を見て純金積立を中断した投資家の方もおられると耳にしました。筆者はそれではもったいないと感じています。本レポートでは積立の基礎を示しつつ、純金積立を継続することの有効性をまとめます。

目次
  1. 積み立て:「保有数量の増加」も正義
  2. 積み立て:のこぎり型上昇は積み立てと好相性
  3. 積み立て:長期下落時も短期下落が支えに
  4. 積み立て:短期下落・長期上昇で真価発揮
  5. 積み立て:疲れた時には「プラチナ」で
  6. [参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

積み立て:「保有数量の増加」も正義

 図1は、積立投資の収益が「保有数量」と「価格」の掛け算で決まることを示しています。一見すると当たり前の式ですが、積立投資を長く続ける上では、この二つを分けて考えることが極めて重要です。価格ばかりに注目すると、積立投資が本来持つ強みを十分に生かすことができません。

図1:積立投資の収益イメージと効率化させるための二つの条件

図1:積立投資の収益イメージと効率化させるための二つの条件
出所:筆者作成

 積立投資では、毎月同じ金額を投資するため、価格が下落している局面ではより多くの数量を購入できます。逆に価格が高い局面では、購入できる数量は少なくなります。

 つまり、価格が下落している時期は「資産価値が減っている残念な期間」ではなく、「将来に向けて保有数量を効率よく増やせる期間」なのです。価格が安い時には多く、高い時には少なく買う仕組みによって、購入単価を平準化する効果が期待できます。

 一方で、価格が急騰している局面では、一見すると資産評価額は大きく増えているため安心感があります。しかし、積立投資という視点では、同じ金額で購入できる数量が少なくなるため、保有数量を増やす効率は低下します。

 価格上昇そのものは歓迎すべきことですが、積立期間中に急騰が続けば、それだけ数量を積み増すペースは鈍くなります。積立投資は、価格が高いほど有利になる投資手法ではなく、価格変動を利用して数量を積み上げる投資手法であることを理解する必要があります。

 もっとも、数量を増やすだけでは収益は生まれません。図1が示す二つ目の条件は、「最終的に価格が一定程度反発すること」です。どれほど多くの数量を保有していても、価格が長期にわたり低迷し続ければ十分な成果は得られません。

 積立投資は、「安い時に数量を増やし、その後の価格回復によって収益を得る」という二段構えの仕組みなのです。このため、積立投資の成果を最大化させるためには、次の二つの条件を満たす必要があります。

 一つ目は、価格下落・低迷を利用して効率よく保有数量を増やすこと、二つ目は、その後、対象資産の価格が中長期的に回復・上昇することです。この二つがそろうことで、「保有数量×価格」という収益の式が最大限に機能します。

 3月から6月にかけて下落し、足元、底堅く推移している金(ゴールド)相場はまさに、この二つの条件を満たし得ると筆者はみています。金(ゴールド)相場の長期見通しにつきましては、以前のレポートにてご確認いただくことができます。長期視点の株高・金(ゴールド)高が続く可能性がある旨を述べています。

積み立て:のこぎり型上昇は積み立てと好相性

 図2から図4は、積立投資において価格の値動き方が運用成果にどのような違いをもたらすかをシミュレーションしたものです。比較しているのは、「上昇一辺倒型」と「のこぎり上昇型」の二つの価格推移です。

図2:積み立てシミュレーション(1)(価格推移) 単位:円/口あるいはグラム

図2:積み立てシミュレーション(1)(価格推移) 単位:円/口あるいはグラム
出所:筆者作成

 どちらもスタート時点は1万円、最終的な価格は1万5,000円です。長期的な値上がり率に違いはありません。しかし、途中の値動きが異なるだけで、最終的な資産額や保有数量には明確な差が生じます。

 上昇一辺倒型は、価格が一直線に上昇していくケースです。一方、のこぎり上昇型は、短期視点の下落・上昇を繰り返しながら、長期視点では同じように上昇していくケースです。短期的に見れば、のこぎり上昇型の値動きの荒さは、投資家に不安を与えかねませんが、積立投資であれば、この下落・上昇が大きな意味をもたらします。

 図3は、上昇一辺倒型とのこぎり上昇型、それぞれの資産額(保有数量×価格)の推移を示しています。毎月1万円を積み立てた場合、投資元本は約120万円です。最終的な資産額は、上昇一辺倒型が約143万円であるのに対し、のこぎり上昇型は約165万円となりました。

 始値と終値が同じであるにもかかわらず、およそ20万円以上の差が生じました。この差こそ、短期視点の下落・上昇の繰り返しによって発生した安値局面で、より多くの数量を購入できたことによるものです。

図3:積み立てシミュレーション(2)(資産額) 単位:円

図3:積み立てシミュレーション(2)(資産額) 単位:円
出所:筆者作成

 図4は保有数量の推移を示しています。最終的な保有数量は、上昇一辺倒型が約95口(グラム)、のこぎり上昇型は約110口(グラム)となりました(上昇一辺倒型に比べて約15%多い)。

図4:積み立てシミュレーション(3)(保有数量) 単位:口あるいはグラム

図4:積み立てシミュレーション(3)(保有数量) 単位:口あるいはグラム
出所:筆者作成

 先述の通り、積立投資の資産額は「保有数量×価格」で計算します。このシミュレーションを通じ、いかに、積立投資で保有数量を増やすことが、そしていかに、それに必要な短期視点の価格下落を受け入れることが重要かを、認識できたのではないでしょうか。

 積立投資において、短期視点の価格下落は敵どころか、大歓迎されるべき存在なのです(もちろん、最終的な価格上昇があってのことです)。

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