今から米国の上昇トレンドに乗るのなら何から始めればいい?

トウシル:まりーさんが名前を挙げている企業の多くは、株価が上がりすぎていて、今さら手が出せない大型株が多いのですが、今から米国の成長トレンドに乗りたいという人はどうすればよいでしょう?

まりーさん:「98%の方は、最初から個別株に手を出さずに、S&P500のインデックスファンドに積み立て投資するだけで十分、米国市場の上昇トレンドの恩恵を享受できる」と私は考えています。

 ちまたのSNSやメディアで出回る「個別株投資で、爆速で1億円をつくりました!」などの成功談が多くの一般投資家を惑わせがちですが、成功者の裏で、無謀な夢を見たあげくに損を抱えてひっそりと退場していった、その何十倍、何百倍もの人たちの話は、バズることもありません。

 その点、インデックス投資という偉大な仕組みは、優秀なエリートたちが生み出す成長の平均点を毎月積み立てるだけで受け取ることができる、素晴らしい仕組みです。詳しい知識やマーケット情報を一切勉強しなくても、過去平均で年利6~10%程度のリターンと複利を享受できる可能性が高い。

 いきなり個別株に飛びつく前に、まずはS&P500のインデックスファンドを少しずつでも積み立てしていくのがベストかなと思っています。

トウシル:S&P500は2026年5月に最高値を更新しました。まだ上昇を期待していいのでしょうか?

まりーさん:私はいいと思います。短期ではどうなるか分かりませんが、長期では米国経済はまだまだ成長すると思います。だからまずはS&P500に長期積み立てで、ドルコスト平均法にのっとり、しっかりとコアを固めて資産形成を始めることが先決。

 今は高いから、と始めるタイミングを遅らせる方がインフレの高い今は危険です。ドルコスト平均法なら高い時に始めるリスクも軽減できます。

 勉強しなくても長期のリターンが期待できるS&P500などの指数への積み立て投資は、誰でも始められるのですが、勉強が必要な個別株への投資はやらない方がいい人がほとんどじゃないかなと思っています。

個別株は余剰資金で楽しむ「知的探求の場」にしよう

トウシル:非常に誠実でリアルなアドバイスです。日本ではNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の普及などで、S&P500の積み立て投資などに取り組む層も増えています。その上で、残りの2%の市場平均を超えるリターンを狙いたい人は、どういう心構えで個別株に取り組むべきでしょうか。

まりーさん:ポートフォリオの大部分をS&P500などのコア資産で固め、しっかりと長期の資産形成を狙いつつ、さらなる余剰資金でゼロになっても生活に一切支障が出ない枠の中だけで個別株に挑戦すればいいと私は思います。「企業を分析して勉強すること自体が楽しくてしょうがない!」という知的探求心が旺盛な方が、まずは少額からの「趣味」として始めてみるのがいいのかなと思います。

トウシル:お金を増やすことそのものを目的にすると失敗する、ということですか。

まりーさん:個別株投資の醍醐味(だいごみ)というのは、お金を増やすこと以上に「社会の構造を学び、自分の生活や知性を豊かにすること」にあるのだと私は考えています。

 私の経験上、やっていることが有意義で楽しくて、お金なんて関係なく夢中でいると、自然にお金が回ってくるものです。私のSNS発信もそうでした。将来収入につながるなんて夢にも思わずに楽しいから続けて今に至ります。発信を始めて最初の4年間は支出こそあれ、収入はゼロでした。投資も同じです。

 お金もうけにつなげようと思わずに、最高に楽しい、最高に有意義な知的エンタメに時間とお金を注ぎ込んで、もし利益が出たらそれはボーナスと考えて個別株分析やマクロ分析に取り組むといいと思います。その過程で仲間もできると思いますし、社会構造や知らなかった業界の仕組みも見えてきて、新しい視点でニュースを見聞きすることも楽しくなります。

 そうやって夢中になって金銭面以外の人生を豊かにしていくうちに、いつの間にか資産も増えている。これが私の考える個別株投資の王道です。

トウシル:プロのシビアな視点と、地に足のついた金言の数々。米国株投資を考える上で、大きなヒントをいただきました。まりーさん、本日は刺激的で楽しいお話をありがとうございました!

テニスをするまりーさん
コネティカット州在住で、米国から生の情報を発信し続けているまりーさんのYouTubeやXも人気。仕事と家庭と個人の情報発信で大忙しの中、趣味のテニスをアクティブに楽しんでいる。
『負けない米国株投資術 米ヘッジファンドの勝ち方で資産を増やす!』書影
負けない米国株投資術 米ヘッジファンドの勝ち方で資産を増やす!』/2024年3月1日発売/まりーさん(著)/KADOKAWA/1,980円(税込)

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スペインの銀行からウォール街へ。異色のキャリアでつかんだ「負けない投資」の原点:米国株投資家・まりーさんインタビュー前編