負債は成長を上回る速度で膨らみ、経済成長は投機的な信用資産バブルに依存している。しかし、こうした構造はいずれ持続できなくなる。結局、不換紙幣制度の最終局面は、どの国でも「インフレ」に行き着くことが示されている。
日本円の崩壊は日本のMMTという狂った金融政策の代償
ドル円が163円を超えてきた。これは現代貨幣理論(MMT)的な財政・金融政策のなれの果ての姿といえる。MMTとは政府が自国通貨建ての借金をいくら増やしても財政は破綻せず、インフレもコントロールできるとする理論である。
日本円の崩壊は日本の長年の疑似MMTという狂った金融政策の代償として支払っているものである。結果、通貨インフレという詐欺的増税が到来している。日本銀行は世界の中央銀行による型破りな政策の大実験の終結を示すことになるだろう。
日本はプリンティングマネー(紙幣増刷)によって資産インフレ(バブル)を起こして好景気を演出し、通貨の下落によって債務(借金)の価値を下げるというインフレ(ステルス増税)政策を続けている。高市政権の政策もそうした方向性と整合的だ。
マネーサプライの拡大が実体経済の成長を上回ることで通貨価値が下落し、システムが破綻するまで株式や不動産などの資産価格が上昇する資産バブルが引き起こされる。
ドル円(月足)
日経平均CFD(月足)
その結末はどうなるのだろうか?
「介入主義の社会哲学の本質的なポイントは、永遠に絞られる無尽蔵の資金の存在だ。この噴水が枯渇すると、介入主義のシステム全体が崩壊する」
(ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス)
現在の状況は18世紀初頭にフランスで起きた「ミシシッピ・バブル」のひな形に酷似している。通貨インフレと資産投機を組み合わせて富の効果を偽造したが、国家による過剰な通貨発行は最終的に破綻の歴史をたどった。
昨今、政府や中央銀行が市場に全面的に介入し、膨大な量の負債が追加され、政治的な状況は巨大な混乱に陥っている。
日本株はインフレ(円安)で上げており、その株価上昇の構造はトルコリラ安とイスタンブール100指数の関係と同じである。
ドイツのワイマール時代のハイパーインフレでは、当初、人々は不満を言うのではなく、株でもうけたお金でシャンパンを開けて喜んでいた。飢餓感は後からやってきた。100年ほど前のドイツで生じたハイパーインフレ(1922~1923年)と現在の資産インフレには、「紙幣の増刷」という大きな共通点がある。
今の日本はワイマール型の通貨崩壊2.0と呼ぶべき段階にある。ワイマール型の通貨崩壊とは、中央銀行の過度な紙幣増刷によって引き起こされる資産インフレと通貨価値の下落のことだ。
この現象には以下の特徴とリスクがある。
- 紙幣増刷による資産バブル:日米の金融当局が債務(借金)の価値を目減りさせるためにインフレ政策を推進しており、株価や住宅価格などの「資産価格」が先に上昇している状態。
- 「終わりの予感」の欠如:ワイマール時代と同様、資産高によって経済が好調に見えるため、多くの人が実質的なインフレリスクに気付きにくい。
- 通貨の実質的な暴落:株式やゴールドが高騰する一方で「現金・通貨」の購買力は急激に低下しており、最終的には通貨価値の崩壊を招く危険性を孕んでいる。
日銀が輪転機で刷った円で政府の借金を帳消しにするというインフレの方向性は、<国民の預金を連帯保証人とするインフレ政策>である。
金融資本主義経済では、企業も個人も負債と資産を併せ持つ構造に依存してきた。しかし世界金融危機(リーマンショック)を機に、個人や企業の負債は国家へ移された。もはや、この負債を先送りする余地はない。念のため付け加えれば、国家が破綻するのではない。破綻するのは個人である。資産運用の究極の目的は、将来訪れるインフレに備えることにほかならない。
日本は債務が膨らみすぎ、金利を引き上げられない国になっている。30年間、金利は国民から政府へ移転されてきた。ゼロ金利の下で、どうすれば健全な資産形成ができるのだろうか。加えて、日本の巨大な貯蓄は米国市場の補完装置として米国に利用されてきた。マクロ経済的に見れば、実質マイナス金利は、控えめに言っても貯蓄者への一種の課税である。
この状況で最も大きな負担を受けるのは誰か。低所得者、年金受給者、そして資産の多くを預金や国債で持ち続ける慎重で保守的な投資家である。
米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀などの中央銀行は、もはやインフレと戦っていない。金融政策の独立性を装いながら、市場介入を続け、金融システムの崩壊を食い止めようとしている。FRBや日本銀行の動きを見れば、インフレは危機ではなく、借金の実質価値を下げるための巨大な債務処理策であることが分かる。結局、債務問題の解決にはインフレが利用される。
われわれは今後数年間に、社会不安、戦争、ハイパーインフレ、デフレによる資産の暴落、債務不履行など、困難な時代を迎える可能性がある。
負債は成長を上回る速度で膨らみ、経済成長は投機的な信用資産バブルに依存している。しかし、こうした構造はいずれ持続できなくなる。結局、不換紙幣制度の最終局面は、どの国でも「インフレ」に行き着くことが示されている。
ドル円(日足)
ユーロ円(日足)
ポンド円(日足)
豪ドル円(日足)
メキシコペソ円(日足)
資産バブルは、フィアット・マネー(金や銀といった実物資産の裏付けを持たない国家の信用によって価値が担保されているお金)の価値低下を映す現象である。西側の現在の政治体制では「歳出削減はほぼ不可能」だろう。従って、各国に残された選択肢は現状を延命させる「プリンティングマネー(紙幣増刷)」しかない。
今後、どの国でも税負担はさらに増していくだろう。世界の債務は300兆ドルを超えている。これは1ドル=163円で換算すると、約4京8,900兆円に相当する。もはやファンダメンタルズや業績は重要ではない。市場を動かしているのは、「政策当局が供給する過剰流動性の水準」と「政策期待を巡る市場心理」である。
負債と資産が同時に膨らむ相場は、今後の米国の「利下げ」と「量的緩和」によって大きく上昇する可能性もある。問題は、その後に何が起きるかである。
ナスダック100CFD(月足)
国家は市場に全面的に介入し、巨額の負債が積み上がり、政治状況は大きく混乱している。残っているのは、旧態依然としたカジノ化した市場が生み出す「仮想的な富の効果」だけである。資産と負債を際限なく膨らませる「両建て経済」の怖さは、相場が急落すれば資産は減っても、負債は減らない点にある。
日本円の崩壊:ドル円が約40年ぶりの高値を更新!
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