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SpaceXによって進む宇宙産業の商業化。成長する日本の宇宙株(茂木春輝)

2026/7/21 8:00

 スペースX上場で宇宙産業への注目が高まっています。宇宙関連株は「夢のテーマ」から、防衛、通信、地球観測、データ活用を支える実需産業へ変化しました。今回は、成長期待の高い国内宇宙関連銘柄の状況と、投資判断のポイントを解説します。

目次
  1. 宇宙ビジネスは「夢」から「使う時代」へ
  2. スペースXが変えた宇宙産業の前提
  3. 日本の宇宙関連株にとっての追い風
  4. 宇宙株の見方:PERよりも受注と資金を重視
  5. 宇宙産業の成長性:売上は伸びるが、黒字化はこれから
  6. 宇宙株に投資する前に確認したい三つのリスク
  7. まとめ

 宇宙産業は、かつての「夢のテーマ」から、防衛、通信、地球観測、データ活用を支える実需産業へ変わりつつあります。宇宙関連株だからと買うのではなく、実際に売上につながる受注があるか、資金調達は十分か、実証の予定は近いかを確認することが必要です。

宇宙ビジネスは「夢」から「使う時代」へ

 まず宇宙産業の見方は直近で大きく変わっています。2020年代前半は「民間企業が本当に宇宙に行けるのか」が注目点でした。しかし現在では、宇宙を安全保障、通信、地球観測、災害対応、データ基盤としてどう活用するかが焦点となっています。

 日本においては、内閣府の宇宙基本計画で国内宇宙関連市場を2030年代早期には、2020年の約2倍にあたる8兆円に拡大するとしています。

<内閣府の宇宙基本計画>

  2020年 2030年代早期
市場規模 約4兆円 約8兆円
宇宙ソリューション産業 約3.5兆円 約7.4兆円
宇宙機器産業 約3,500億円 約6,000億円
出所:内閣府「宇宙基本計画」より楽天証券経済研究所作成

 内閣府、文部科学省、経済産業省、総務省が連携する「宇宙戦略基金」が動き出しており、2023年度補正3,000億円、2024年度補正3,000億円、2025年度補正2,000億円が示されています。将来的には総額1兆円規模の支援を目指す枠組みです。

<宇宙戦略基金の仕組み>

宇宙戦略基金の仕組み
出所:宇宙戦略基金資料より楽天証券経済研究所作成

 これは、宇宙関連企業にとって大きな追い風です。宇宙ビジネスは、売上が本格的に立つ前に研究開発費や打上げ費用がかかります。そのため、政府の補助金、委託契約、政府調達があるかどうかは、企業の成長スピードや資金繰りを左右します。

 JAXAの宇宙戦略基金では、民間ロケット、次世代衛星通信、宇宙交通管理、月・地球間通信インフラなどが公募対象となっており、国策テーマとしての色彩が強まっています。

スペースXが変えた宇宙産業の前提

 世界の宇宙産業を語る上で、SpaceX(スペースX:SPCX)の存在は欠かせません。最大のポイントは、ロケットを再使用することで打上げ回数を増やし、コストを下げたことです。

 スペースXによれば、2026年7月20日時点で完了ミッション678件、着陸639件、再飛行601件が表示されています。ロケットの打上げは特別なイベントではなく、繰り返し行うインフラ事業に近づいています。

 さらに、大型ロケットのStarship(スターシップ)が実用化に近づけば、1回あたりに運べる衛星や貨物の量が増え、衛星1kgあたりの輸送コストが一段と下がる可能性があります。

 これは、衛星を運用する企業にとって大きな意味を持ちます。打上げコストが下がれば、より多くの衛星を打ち上げやすくなり、地球観測、通信、災害監視、防衛向けデータなどのサービスを拡大しやすくなるからです。

 ただし、投資資金は「宇宙関連なら何でも買う」という段階ではありません。この市場に資金は集まっていますが、より大きな調達ができる有力企業や、事業化が近い企業に集中する傾向があります。個人投資家も、テーマの大きさだけでなく、勝ち残る条件を満たす企業かを見極める必要があります。

日本の宇宙関連株にとっての追い風

 スペースXによる打上げコストの低下は、日本の宇宙関連企業にもプラスに働きます。特に、自前でロケットを持たない衛星サービス企業にとっては追い風です。

 QPSホールディングス(464A)のようなSAR衛星企業、アストロスケールホールディングス(186A)のような軌道上サービス企業、アイスペースispace:9348)のような月面輸送企業は、ロケットそのものよりも「宇宙でどのようなサービスを提供するか」が収益源です。輸送コストが下がれば、衛星数の拡大や事業化の前倒しにつながる可能性があります。

 もう一つの追い風は、防衛・安全保障需要です。QPSHDは、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」で、契約期間5年、売上見込697億円の大型案件を獲得しています。宇宙スタートアップは売上の見通しが立ちにくい企業も多い中、政府案件は収益の安定性を高める重要な材料になります。

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