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AI相場は復活できるか?金利上昇が揺るがす米国株の行方(土信田雅之)

2026/7/10 8:00

 今週の米国株市場もAI・半導体関連銘柄の売りが続いています。今後の焦点は、来週から本格化するASMLやTSMC、ハイパースケーラー企業の決算が相場復活の呼び水となるかです。その一方で、中東情勢の緊迫化から原油高とインフレ懸念が再燃、日米の長期金利が上昇。今後は企業決算と金利動向の組み合わせが市場の方向性を占う鍵となります。

目次
  1. AI相場の調整が続く今週の米国株市場
  2. AI相場の行方を占う来週の企業決算に注目
  3. 地政学的リスクが揺るがした「循環物色」にも注意

AI相場の調整が続く今週の米国株市場

 今週の米国株市場ですが、先週に引き続き、AI・半導体関連銘柄が売りに押される場面が目立っています。

<図1>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年7月8日時点)

<図1>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年7月8日時点)
出所:MARKETSPEED IIおよびBloombergデータを基に作成

 図1は2025年末を100とした米主要株価指数のパフォーマンス比較のグラフですが、主要な半導体関連銘柄で構成されるSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の値動きが、ここ数週間で荒くなっている様子が分かります。

 また、直近では株価の上げ下げを繰り返しながら下値が切り下がっているため、AI相場が調整相場入りしている様子がうかがえます。

<図2>米SOX指数(日足)とMACDの動き(2026年7月8日時点)

<図2>米SOX指数(日足)とMACDの動き(2026年7月8日時点)
出所:MARKETSPEED II

 実際に、図2の日足チャートを見ると、8日(水)時点のSOX指数の株価が、25日移動平均線を下抜けて50日移動平均線あたりに位置しているほか、下段のMACDも「0pライン」近くまで低下するなど、下方向への意識を強めています。

 さらに、株価水準の視点でも、足元の株価が弱気相場入りの目安となる「高値から20%安」水準近くまで下落しており、AI相場が調整局面入りしていることが確認できます。

AI相場の行方を占う来週の企業決算に注目

 そのため、今後のAI相場は、「調整が一巡した後に復活していく」のか、もしくは、「調整がさらに進んで弱気相場入りする」のかが注目点になります。

 そんな両者の行方を左右するのが、間もなく本格化する決算シーズンになります。そこで、現時点でのAI・半導体関連企業の主な決算発表スケジュールをチェックしていくと図3のようになります。

<図3>AI・半導体関連企業の決算発表スケジュール

<図3>AI・半導体関連企業の決算発表スケジュール
※2026年7月8日時点。今後の発表スケジュールは変更される可能性があります。
出所:Bloombergデータを基に作成

 まずは、来週に予定されているオランダのASML(ASML)と台湾のTSMC(タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング:TSM)の決算が注目されます。

 ASMLは半導体製造装置を手掛けている企業、TSMCは半導体の受託製造を担っている企業であり、両社の決算からは、取引先の半導体企業が増産に備えて注文を増やしているかどうかを判断する試金石になります。

<図4>蘭ASML(日足)とMACDの動き(2026年7月8日時点)

<図4>蘭ASML(日足)とMACDの動き(2026年7月8日時点)
出所:MARKETSPEED II

<図5>台湾TSMC(日足)とMACDの動き(2026年7月8日時点)

<図5>台湾TSMC(日足)とMACDの動き(2026年7月8日時点)
出所:MARKETSPEED II

 図4と図5は両社の日足チャートです。6月30日に高値をつけた後に下落し、足元の株価は25日移動平均線を少し下抜けたところに位置しています。高値から10%安の調整局面入りが意識されていることなど、チャートの形状が非常に似ていることが分かります。

 もっとも、50日移動平均線までは距離を残していて、上昇トレンド自体が崩れる手前で踏みとどまっている印象です。いずれにしても、調整局面の水準まで株価が下落しているだけに、決算の内容が好感されれば、上昇基調に戻りやすい状況ともいえます。

 今週7日(火)に韓国のサムスン電子が業績速報(暫定値)を発表し、その内容はおおむね好調だったものの、株式市場がネガティブな初期反応を見せただけに、市場が描いている期待のハードルは高く、サプライズ的な業績の上振れが求められていることには警戒しておく必要がありそうです。ちなみに、サムスン電子の正式な決算は30日(木)に発表される予定です。

 さらに、再来週にはアルファベット(GOOGL、GOOG)、その翌週にはマイクロソフト(MSFT)やメタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)といった、AI投資を行っている「ハイパースケーラー」の決算が予定されています。

 これらのハイパースケーラーはすでに巨額のAI投資を行ってきましたが、今後も旺盛なAI需要が見込まれる中、「しっかりと利益を生み出せているか」「投資の手綱を緩めていないか」「投資を続けられる財務力があるか」「競争が激化する中での優位性を持っているか」などが論点になります。

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