マーク・ファーバーの指摘どおり、西側諸国は実質的に国家管理経済化しており、人為的な価格操作が市場をゆがめている。こうした環境下では短期的な上昇の後、必ず急激な平均回帰(暴落)が起こる。投資の成否は、リスクを軽視せず、低バリュエーションかつ強気サイクルの初期という絶好のタイミングを捉えられるかにかかっている。
金融王から「これ以上の売りを控えてくれ」と要請された逸話を持つ伝説の投資家
19世紀末から20世紀前半にかけて米国市場で活躍し、「ウォール街のグレート・ベア」と称された伝説の投資家、ジェシー・リバモアはかつて、「ウォール街に、あるいは株式投資・投機に新しいものは何もない。ここで過去に起こったことは、これからもいく度となく繰り返されるだろう。この繰り返しも、人間の本性が変わらないからだ。人間の知性の邪魔をするのはつねに、人間の情緒であり情動である。わたしはこのことを確信する」と語った。
ジェシー・リバモアは1877年、マサチューセッツ州の貧しい農家に生まれた。1891年、14歳の時、ボストンの証券会社で株価掲示板の書き写し係(ボードボーイ)として働き始めた。
独自の計算能力と記憶力で相場のパターンを見いだし、昼休みに当時流行していた私設の小口取引所(バケットショップ)で取引を始め、若くして多額の利益を上げた。勝ちすぎるがゆえに多くのバケットショップから出入り禁止処分を受け、その後、ウォール街へ進出する。
彼の名が広まるきっかけとなったのは歴史的な大暴落を予見した空売り(ショート)だった。1907年の金融恐慌では、市場の資金枯渇をいち早く察知して空売りを仕掛け、現在の価値で数億ドル相当の利益を上げた。
市場崩壊を恐れた金融王J.P.モルガンから「これ以上の売りを控えてくれ」と要請されたという逸話もある。1929年の世界恐慌でもリバモアは徹底的な空売りを敢行した。
リバモアは企業の財務諸表を分析する「バリュー投資家」ではなく、市場の需給と価格の動きそのものを追う「モメンタム投資家(テクニカル・トレーダーの先駆者)」だった。彼の残したルールは、現代のトレード手法の基礎となっている。例えば、トレンド・フォロー(順張り)やブレイクアウト手法、また資金管理と損切りを徹底することの重要性を説いた。
リバモアの人生は極端な浮き沈みの連続だった。生涯で4度破産し、そのたびに驚異的な執念で復活を遂げた。しかし、ルールを破った感情的な取引や私生活の荒廃から、晩年は精神的に追い詰められ、1940年に自ら命を絶った。リバモアの生涯は、ばく大な富を得る方法(光)と、一瞬でそれを失うリスク(影)の両方を教えてくれる。
彼が何度も破産した原因は、過度なレバレッジ(借り入れによる取引)と、大もうけした後の「過信」にあったとされている。どれほど優れた投資ルールを持っていても、一時の感情の揺らぎやルール破りが破滅を招く。
AIやアルゴリズムが主流となった現代市場でも、バブルの発生と崩壊のメカニズムは100年前と何も変わっていない。特に、ボラティリティの激しい市場を勝ち抜くためには、リバモアが導き出した原則を、自らの取引ルールとして取り入れることが有効だろう。
「今の時代にも生きているジェシー・リバモアが残した21のルール」
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