日経平均だけが上昇。日本株全体はそれほど上がっていない

 日経平均株価は2025年末から6月16日までに+37.9%の上昇となりました。一方で、同期間の東証株価指数(TOPIX)の上昇は+17.1%、東証グロース250指数は+5.8%の上昇にとどまっています。

 日経平均株価の内訳を見ても、差があります。2025年12月26日から6月16日の期間における、日経平均株価への寄与度上位25銘柄の上昇率は+51.6%ですが、それ以外の200銘柄は+13.8%とTOPIXも下回るパフォーマンスにとどまっています。

 現在の日経平均株価の上昇は、日経平均株価への寄与度が高い値がさ株がけん引していると言えるでしょう。

日経平均株価への寄与ウエイト上位25銘柄

日経平均株価への寄与ウエイト上位25銘柄
出所:日経平均のプロフィルに基づき藤根作成

 日経平均株価への寄与度が高い上位25銘柄のうち、半数はAI・半導体関連としてメリットを受ける企業です。

 この25銘柄は、日経平均株価の構成比で3分の2以上(67.3%)を占めています。まさに、これら銘柄群は時価総額での構成も大きく、TOPIXの上昇にも大きく寄与しています。

 一部のAI・半導体銘柄だけが株価上昇をけん引する歪な構造は、インターネットバブルを想起させます。

 なお、キオクシアホールディングスの日経平均株価への採用は本年4月1日であり、3月31日時点の株価は1万9,080円。4月1日から6月16日までの日経平均株価の上昇に対する寄与分は2,535円と算出されます。

米国株式市場に対する危険なシグナル

 AI相場が始まった2024年春ごろから米国のイールドスプレッドがマイナスとなる状態が続いています。イールドスプレッドはPERの逆数である株式益回りから長期債(10年国債)利回りを引いた数値です。イールドスプレッドがマイナスであるということは、株式投資よりも債券投資の方が高利回りであり、株価に割高感があることを示しています。

 足元のS&P500種指数の株式益回り4.43%に対して、米10年国債利回り4.46%であり、イールドスプレッドはマイナス0.03%です。過去の米国市場のイールドスプレッドの平均的な水準は3~4%であり、マイナス圏となるのはドットコムバブル時以来になります。

 日本株市場においてイールドスプレッドは株式益回りではなく配当利回り(加重平均ベース)が用いられることが一般的です。この値も2025年12月からマイナス圏に突入しています。

日本経済・金融市場にも死角あり

 インフレは株価にとってプラスであるといわれています。インフレになることで企業は製品価格の引き上げを行えるようになり、政府は税収が増えるとみられています。

 確かに需要が拡大して供給を上回る状態が安定的に継続するのであればポジティブですが、現状は必ずしもそうではなく、円安による輸入品価格の上昇と、ホルムズ海峡封鎖から生じた原油などのエネルギー価格上昇によってもたらされたコストプッシュ型インフレの要素が強くなっています。

 6月16日、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において政策金利は据え置かれましたが、フォワードガイダンスにおいては年内1回の利上げが見込まれ、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げから利上げへと転換しつつあり、円安圧力が一段と強まっている状況です。

 日本の実質賃金は2026年春以来、歴史的な春闘の賃上げ効果や、電気・ガス、ガソリンなどエネルギー価格への政府補助による物価上昇の抑制から、プラス圏での推移が続いています。

 しかし、秋以降の食品などの値上げやタイムラグで発生するエネルギー価格の上昇を受けた政府の支援方針次第では、実質賃金は再びマイナス圏に陥ることが懸念されています。

 エネルギー支援や、食品に対する消費税1%への引き下げなど、政府の歳出拡大が円安に拍車をかける可能性もあり、楽観はできません。

 円安は製造業など輸出企業の業績を好転させる可能性はありますが、国内物価上昇によって消費の停滞を引き起こし、家計への支援拡大による政府財政への不安からさらなる円安を招く懸念があります。

バブルに向かっている可能性に注意

 バブルとは何かという定義をもう一つ加えるとしたら、株価上昇がさらなる株価上昇の理由となることではないかと考えています。機関投資家も持たざるリスクから買わなければならない(売ることができない)、上がるから買う、上がるから買わざるを得ない。こうした構造が形成された状態がバブルの典型的な特徴ではないでしょうか。

 そしてまた、株価のピークに向かうほど、上昇が加速していく傾向があります。昭和末期~平成初期のバブルも、2000年のインターネットバブルもピーク前の株価上昇は勢いがあったように記憶しています。それを狙うのも個々の投資家の判断次第ですが、リスク要因に十分目配せをしながら、降りる局面をイメージすることが肝要と考えます。