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リーマンショックで退場も経験、元手100万円から資産5億円を築けた理由 米国株投資家 PANさんインタビュー[前編]

2026/7/19 11:00

 2026年初めに資産5億円を築き、日米二拠点生活を送る米国株投資家PAN氏。かつてははやりの情報をうのみにし、リーマンショックで全財産約700万円を失い退場した過去があります。挫折から学び、現在はAI株中心に徹底したリスク管理を行うPAN氏の波乱に満ちた投資人生と、成功の秘訣(ひけつ)に迫ります。

目次
  1. 投資の原点は『金持ち父さん貧乏父さん』、元手300万円で始めた「言いなり投資」
  2. 追加しては消えていく100万円…リーマンショックで約700万円を失い退場
  3. 4年の空白を経て再出発。ストックオプション3,000万円を米国株へ
  4. 製品を見る力と会社員の「入金力」で、資産は億のステージへ
  5. 「社員を一人も解雇しない」宣言後のレイオフ。2度目の米国勤務の結末
  6. 家族の安全を考えて日本へ。資産を後ろ盾に早期退職

PANさんプロフィール

PANさんプロフィール画像
米国株投資家、YouTuber、著者。外資系テクノロジー企業(NASDAQ100企業)でマーケティング職を歴任し、株式の新規公開(IPO)前の企業2社でストックオプションを獲得。日本と米国の両方で勤務した。2023年に早期退職。2026年初めに資産5億円へ到達。現在は日本と米国の二拠点で生活している。
YouTube:PAN米国株投資ちゃんねる
X:@PAN_US_STOCK
書籍:世界最強の米国株で始める株の教科書

投資の原点は『金持ち父さん貧乏父さん』、元手300万円で始めた「言いなり投資」

トウシル:米国株投資家として、金融資産5億円という利益を積み上げておられるPANさんですが、まずは投資を始めたきっかけを教えてください!

PANさん:投資を意識したきっかけは、2000年ごろにベストセラーになった書籍『金持ち父さん貧乏父さん』です。当初はまったく投資に興味がありませんでしたが、当時勤めていたハイテク企業の先輩から日本語版を借りて読み「人間は投資家になっていかないと駄目」「お金にも働いてもらわなければいけない」という考えを強力にインストールされました。

『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』書影
改訂版 金持ち父さん貧乏父さん ーーアメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』/著者:ロバート・キヨサキ/初版は2013年11月発売/筑摩書房

トウシル:あの本をきっかけに投資に目覚めた方は多いと思います。読んですぐに投資を始めたのでしょうか?

PANさん:いえ、少し時間がたってからです。投資を始める前に、その先輩から「会社員はいつクビになるか分からないから、3カ月分の生活費をためたほうがいい」と言われたのを機に、意識して貯金をするようになりました。

 真面目にためるうちに貯蓄癖がつき、3カ月分が6カ月分、1年分とまとまった金額が口座に残るようになりました。そうなると「銀行に置いたままではもったいない」と考えるようになり、実際に投資を始めました。

トウシル:最初の元手はどのくらいでしたか。

PANさん:当時はまだ20代半ばで、その時口座に入っていた約300万円が元手になりました。最初は日本株から始めましたが、銘柄は自分で選んでおらず、対面証券の担当者に「買ったほうがいい」「そろそろ売り時だ」と、言われるままに売買していました。

 当時の情報源はマネー雑誌くらいで、自分で考えるだけの知識も情報もありません。流行していたBRICS投資(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国を含む新興国グループへの投資)にも飛びつきましたし、証券会社との付き合いで投資信託も買いました。

トウシル:今のPANさんからは想像できない「言いなり投資」ですね。

PANさん:そうなんです。僕は本来、リスクばかり考える性格です。家を選ぶときはハザードマップを見て、山や川、海、埋め立て地の近くを避けます。自宅にはバックアップ電源や2週間分の水と食料、非常用トイレも用意しています。それなのに、当時の投資は完全に人任せでした。

追加しては消えていく100万円…リーマンショックで約700万円を失い退場

トウシル:その「言いなり投資」が大きく変わるきっかけは何だったのでしょう。

PANさん:2008年のリーマンショックです。FXにも手を出していて、当時、高金利で流行していたニュージーランドドルを多く保有していました。

 その時も、一応過去10年のチャートを調べて、最安値まで下がってもロスカット(含み損が一定の水準を超えた場合に、FX会社が強制的に決済する仕組み)されないレバレッジに抑えました。今考えればまだまだ甘かったのですが、当時は「これなら堅実だ」と自信を持って投資していました。

トウシル:過去10年の最安値に耐えられるなら、かなり慎重にも見えますが…。

PANさん:でも、リーマンショックは「100年に1度の暴落」で、その想定を簡単に超えてしまいました。毎日毎日下がり続け、気がつけば「100万円を入れなければロスカットになる」という状況です。100万円追加する→なくなる→また100万円追加する→なくなる…を、脂汗をかきながら繰り返しました。いつか戻ってくれることを祈りながら…。

 それに、ちょうどこの頃に子どもが生まれました。それなのに貯金は減っていく一方です。また勤務先は外資系企業でしたので、ある日突然仕事を失うかもしれません。これから先どうなってしまうのか、とにかく不安でいっぱいでした。

トウシル:人生の不安が同時に押し寄せてきたんですね…。

PANさん:はい…(しみじみ)。最後に100万円が残ったときに感じたのは「最後の現金を失った上で仕事までなくなったら家族を守れない」という恐怖です。そこで追加証拠金(略して追証[おいしょう]と呼ばれる)を入金するのをストップし、ロスカットを受け入れました。失った金額は約700万円。当時のほぼ全財産です。

 資産の減少はそこで食い止められたものの、この先投資を続けるかやめるかさえ考えられないほど、ただぼうぜんとしていました。

 ただ、幸いにも仕事は失いませんでした。このときに学んだのは、「景気が悪くなっても企業はパソコンやインターネットを簡単には手放さない」「テクノロジーセクターは不況でも持ちこたえられる」という市場の動きです。決して安い勉強代ではありませんでしたが、このときの経験は今の投資にも役立っています。

4年の空白を経て再出発。ストックオプション3,000万円を米国株へ

トウシル:一度市場から退場した後、どのように投資へ戻ったのですか。

PANさん:4年ほどは投資から離れ、相場について考える機会もほとんどありませんでしたが、給与の一部を貯蓄する習慣は続けていました。

 その後、キャリア3社目に、上場前の米国テクノロジー系ベンチャー企業へ転職しました。自分が勤めている会社が成長し、2013年に上場した時、ストックオプションで得た資金が30万ドル、当時の為替で約3,000万円になったんです。

トウシル:再出発には十分な金額ですね。今度はご自身で運用したのでしょうか。

PANさん:それが…実はまた「言いなり投資」に戻ってしまいました(笑)。預金していた米国の銀行から「まとまった資金があるなら運用を任せませんか」と勧められ「プロに運用を任せるなら安心」と考えてラップ口座のような商品を契約したんです。

 しかし、毎月届く英語の分厚いレポートはよく分からず、ただ、資産だけがじわじわ減っていくことだけは理解できて、サーッと青ざめました。最終的には「やっぱり人の言いなりでは駄目だ!」と悟って全解約し、米国の証券口座を開いて、初めて自分で個別株を選び始めたんです。

トウシル:いよいよ、ご自身の意思による本格的な投資デビューですね! どのような基準で銘柄を選んだのでしょうか。

PANさん:選んだのはテクノロジー関連の銘柄です。財務分析は分かりませんでしたが、同じ業界に勤務していたこともあり、中の人目線で、「この会社の製品は他社より優れている」「広く使われていて評判がいい」といった点は判断できます。そこで、自分が理解し期待できる製品を持つ企業に投資し始めました。

 当時はまだ話題になっていなかったズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(現:ズーム・コミュニケーションズ:ZM)を買ったのも2019年ごろです。会社で使った経験から「予約しやすく、遅延も少ない。便利な製品だ」と感じ、将来性に期待が持てる製品でした。結果的に、コロナ禍により大きく成長してくれたのはうれしい誤算でした。

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