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乱高下するAI相場、日経平均が最高値更新:構造変化に警戒(土信田雅之)

2026/6/26 8:00

 今週は、日経平均が最高値を更新する一方、米国株や香港株は売りに押されるなど、パフォーマンスのバラツキが目立っています。基本的には上昇基調と言えそうですが、半導体メモリ市場での構造変化や、ハイパースケーラーのファイナンス、「天井パターン(トリプルトップ)」の形成など、当面の調整局面に向けた警戒感も高まりつつあります。

目次
  1. 強さと弱さが併存する今週の株式市場
  2. 今週のAI相場を動かした材料に注意
  3. 当面は上値の伸びが焦点
  4. AI相場はまだ続きそうだが、中身の変化には要注意

強さと弱さが併存する今週の株式市場

 今週の株式市場ですが、これまでのところ、どことなく「捉えどころ」のない印象となっています。

<図1>国内外主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月25日時点)
※欧米市場は6月24日時点

<図1>国内外主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月25日時点)※欧米市場は6月24日時点
出所:MARKETSPEED IIおよびBloombergデータを基に作成

 図1は、昨年末を100とした国内外の主要株価指数のパフォーマンスを比較したもので、この連載レポートでもおなじみとなっています。

 6月25日時点(欧米市場は6月24日時点)で見ると、荒い値動きながらも上昇を見せている日経平均株価の一方で、売りに押され気味の米国株市場、下落基調が際立っている香港ハンセン指数といった具合に、株価指数のパフォーマンスにかなりのバラツキがあります。

 とりわけ、日経平均については、週初の22日(月)に初の7万2,000円台に乗せた後、翌23日(火)と24日(水)は続落し、一時は6万8,000円台まで下落したものの、続く25日(木)には反発して再び7万円台を回復、さらに、7万2,000円台まで値を伸ばして最高値を更新しており、「売られても、それを上回る買いが入っている」様子がうかがえます。

 日経平均の値動きだけを見てしまうと、相場の強さが感じられるのですが、別の見方をすれば、他の株価指数と比べて値動きが突出しているともいえます。日経平均は指数算出の性質上、AI・半導体関連銘柄の寄与度が大きく、半導体関連銘柄で構成される米SOX指数の値動きに近くなっており、日経平均は良くも悪くもAI相場の動向に流されやすい面があります。

<図2>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月24日時点)

<図2>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月24日時点)
出所:MARKETSPEED IIおよびBloombergデータを基に作成

 図2を見ても、米SOX指数の値動きが日経平均と似ているだけでなく、ここ1カ月間の株価の上げ下げが激しくなっている様子がうかがえます。

 また、景気や金利の影響を受けやすい中小型企業で構成される米ラッセル2000は、安定的に推移しながらも、気がつけば昨年末比で20%を超える上昇となっており、米国景気の底堅さや、足元では中東情勢に対する楽観、それに伴うインフレ懸念の後退などが反映され、相場全体を支えている様子もうかがえます。

今週のAI相場を動かした材料に注意

 これらを踏まえ、あらためて今週のAI・半導体関連銘柄の動向を材料面で見ていくと、最近までのAI相場をけん引してきた半導体メモリ関連企業で材料が相次ぎ、日経平均や米SOX指数などを大きく下げさせたかと思えば、急反発をもたらすなど、足元の相場を慌ただしくさせています。

 まず、下落の材料としては、韓国のSKハイニックスが、現在注力しているAIデータセンター向けの高付加価値メモリの設備投資を抑えて、その生産能力を汎用メモリ製品市場に振り向ける方針に切り替えたと報じられたことが、冷や水を浴びせる格好になりました。

 つまり、SKハイニックスとしては、「高コストかつ競争の激しい先端メモリを増産するよりも、普通のメモリにシフトした方がもうかる」と判断したわけです。

 その背景には、SKハイニックスの先端メモリが搭載される予定だった米エヌビディア(NVDA)の次世代AIチップ「Rubin(ルビン)」の生産見通しが下方修正される可能性があること、そして、世界の半導体工場の生産能力の多くがAI向けに割かれているため、パソコンや一般のサーバーに使う普通のメモリが深刻な供給不足に陥っており、その結果として、普通のメモリの価格が急騰し、利益率が先端半導体よりも高くなっていることが挙げられます。

 このことは、AI投資需要の減退を示すものではありませんが、最先端チップの生産コストが高くなっていることや生産そのものの遅れ、そして皮肉にも、旺盛なAI投資需要のウラで普通のメモリが足りなくなって高い収益率になっているという市場の構造変化が起きていることを意味します。

 ちなみに、SKハイニックスについては、7月に米国預託証券(ADR)をナスダックに上場する方針が今週発表されました。最大で約294億ドルの資金を調達する計画で、2014年にNY市場にADRを公開した中国アリババ・グループ・ホールディング(BABA)の調達額(218億ドル)を上回る規模となります。

 そのため、今後は米国株市場で新規公開株(IPO)銘柄としても注目されることになりそうです。

 反対に、株価反発の材料となったのは、米国時間24日(水)の取引終了後(日本時間では25日(木)の朝)に発表された、米メモリ大手マイクロン・テクノロジー(MU)の決算です。売上・利益・ガイダンス(業績見通し)の全てで市場予想を上回り、あらためて旺盛なAI需要が確認され、時間外取引で同社の株価が急上昇する動きを見せた流れが日本株にも波及しました。

 ただ、AI・半導体関連銘柄の好決算は、今回のように株価が下落基調にある時は反発のきっかけになるものの、前回の決算シーズンのように株価が上昇基調にあった時は余程のサプライズが無い限り、「材料出尽くし」となることも多く、さらなる業績上振れ期待が高まっていかないと、株価の上値を伸ばしていく展開になりにくくなってしまうことも考えられます。

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