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なぜ「ドルコスト平均法」が選ばれるのか?「バリュー平均法」との比較で考える積立投資の「真価」

2026/6/20 11:00

 多くの投資家が実践する積立投資の価値は、単に平均の購入単価を下げることにとどまりません。市場の上下に惑わさない、投資を継続するための仕組みに目を向けることで、その本質が見えてきます。本稿では、さらなる成果を狙う手法として語られる「バリュー平均法」との比較を通じ、資産形成を成功に近づける積み立てのあり方を探ります。

目次
  1. リバランスと積み立て、投資家が守るべき「二つの規律」
  2. 「ドルコスト平均法」のおさらい
  3. 視点を変えて考えるドルコスト平均法のメリット
  4. 「バリュー平均法」とは?
  5. リターンの最大化を目指す代償:「心理的ハードル」と「自動化の放棄」
  6. 「率」では勝って、「額」では負けるという逆転現象
  7. それでも「続けられる」のはどちらか

リバランスと積み立て、投資家が守るべき「二つの規律」

 前回、リバランスの実践が難しい理由として、相場が揺れ動く中で自ら売買の判断を下さなければならない、という心理的なハードルについて触れました。この課題を乗り越えるために、実施のタイミングや許容できる乖離(かいり)幅を事前にルール化し、「仕組み」として運用することで、感情を排して淡々と実行できる環境を整えることが肝要であるとご説明しました。

 よく似た課題として挙げられるのが、「いつ、いくら買うべきか」という判断の迷いです。これに対して同様に、あらかじめ決めた金額を淡々と投じる「仕組み」を自ら作り出せば、市場の上下に一喜一憂せずに、長期的に投資を継続することができます。

 積立投資はこうした規律を生み出し、先のような判断の迷いから解放してくれるのです。「決めたルールを、感情を挟まずに実行する」。この淡々とした姿勢こそが、積立投資の真価を理解する上で欠かせない要素となります。

「ドルコスト平均法」のおさらい

 積立投資の基本である「ドルコスト平均法」は、毎月や毎日といったように、定期的に決まった金額を買い続ける手法です。これにより、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うという動きを自動的に繰り返し、投資タイミングが分散されます。その結果、一度に高値づかみをしてしまうリスクが抑えられ、平均的な価格での買い付けが可能となります。

図1:ドルコスト平均法のイメージ(毎期1万円ずつ積立投資した場合)

図1:ドルコスト平均法のイメージ(毎期1万円ずつ積立投資した場合)
※図はドルコスト平均法を説明するために作成した例であり、将来の投資成果を示唆・保証するものではない
出所:筆者作成

視点を変えて考えるドルコスト平均法のメリット

 この仕組みによって生まれる以下の点が、資産形成の継続を後押ししてくれます。

  • 「タイミング」の迷いからの解放
    投資家が最も失敗しやすいのは「今が買い時か?」という投資タイミングの判断です。積立投資は、この勝率の低い判断そのものを放棄します。これによる最大の効果はリターンの上乗せではなく、私たちの意志が介在する判断の回数を減らすことにあります。
  • 下落が「敵」ではなく「仕入れの好機」に変わる
    一括投資であれば、買った後の下落は単純な恐怖です。しかし積立投資では、下落局面は「安く、多くの口数を集めるチャンス」となります。この捉え方の転換は、長く続ける上で強力な心理的支えとなります。

 これらのように、ドルコスト平均法による積立投資は、単なる資産形成の手段ではありません。相場が荒れた時こそ「仕組み通りに動いている」と自分を納得させ、感情に頼るのではなく、仕組みに投資の成否を委ねる。この淡々とした姿勢を維持することこそが、長期投資を無理なく続けるための有効なアプローチです。

 では、この考え方を発展させ、より高い成果を狙う手法として語られる「バリュー平均法」を導入すると、投資はどう変わるのでしょうか。ドルコスト平均法との違いを比較しながら、両者の適性を整理してみましょう。

「バリュー平均法」とは?

 バリュー平均法とは、保有資産の評価額が目標値と一致するように、毎回の投資額を調整する手法です。ドルコスト平均法が投資金額を固定するのに対し、バリュー平均法は、各投資時点における目標の資産額を固定します。

 そして、その目標額や資産価格の騰落を考慮し、保有資産の評価額があらかじめ決めた成長経路(バリューパス)をたどるよう、投資額を調整します。

図2:バリュー平均法のイメージ

図2:バリュー平均法のイメージ
※図はバリュー平均法を説明するために作成した例であり、将来の投資成果を示唆・保証するものではない
出所:筆者作成

リターンの最大化を目指す代償:「心理的ハードル」と「自動化の放棄」

 バリュー平均法は、「安いときにより多く、高いときにはより少なく」という積立投資の長所を、意図的に増幅させたアプローチといえます。下落局面で機械的に買い付けを厚くする分、平均取得単価が下がり、ドルコスト平均法より高いリターンになりやすく、理論の上では、バリュー平均法に分があります。

 しかしそれは同時に、図3のとおり、相場が下がった最も買いたくない局面で、普段以上の資金投入を迫られるという、高い心理的ハードルが存在します。売却時も同様で、まだ上昇が見込めていたとしても、ルールにのっとって売却しなければならないという難しさがあります。

図3:ドルコスト平均法とバリュー平均法の買い付け金額と基準価額の推移の比較

図3:ドルコスト平均法とバリュー平均法の買付金額と基準価額の推移の比較
※図は各手法の説明のために作成した積立投資の一例であり、将来の投資成果を示唆・保証するものではない
出所:筆者作成

 また、投資タイミングで自身の目標金額と実際の資産額の差を確認し、投資額を調整するという手間も発生します。ドルコスト平均法での積み立てでは長所だった「ほったらかし・自動化」が失われることになります。

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