※この記事は2025年11月16日に掲載されたものです。
集中投資があだに。7,000万円の損失から学んだこと
トウシル:前編では、リーマンショックでの挫折をバネに投資を始め、コロナショックの荒波を乗り越えて資産1億円を達成するまでの道のりをお伺いしました。しかし、その先に待っていたのは人生最大の損失だったそうですね。
まーしー:資産1億円を維持できたのは、ほんの数カ月でした。2021年後半からインフレが加速し、米中央銀行が急激な利上げに踏み切ると、僕が保有していたような中小型のグロース株は軒並み大暴落しました。
トウシル:金利が上がると、将来の利益への期待で買われていたグロース株には逆風になりますね。
まーしー:まさにその通りで、僕の資産は1億円から3,000万円まで、一気に7,000万円も減少しました。
トウシル:え? え? 今サラッとすごいことをおっしゃったんですが、「7,000万円になった」のではなく、「7,000万円が減って資産が3,000万円になっちゃった」でいいんですよね?
まーしー:合ってます(笑)。リーマンショックよりも、コロナショックよりも、金額ベースでは最大の損失でした。この時「中央銀行に逆らってはいけない」ということを、本当に骨の髄まで思い知らされました。高すぎる勉強代でしたが、良い失敗だったと前向きに捉えています。
V字回復の鍵は「AIブーム」の捉え方
トウシル:資産の7割を失う経験は、ちょっと想像を絶します…。そこからどうやって再び立ち上がったのでしょうか。
まーしー:精神的にはかなりきつかったですが、ここで諦める選択肢はありませんでした。暴落した銘柄は、将来の税金対策として損出しを繰り返しながら大半を売却し、その資金を新たな投資先に振り向けました。そこで目を付けたのが、後の「AIブーム」を支えることになる領域です。
トウシル:いち早くAIの可能性に気づいていた、と。
まーしー:実は、直接的にAIがもうかるだろうと予測して投資したわけではないんです。僕が見ていたのは、もっと根源的な「未来のインフラ」でした。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)といった巨大企業の決算を見ていると、データセンターへの投資が今後も確実に拡大していくと読めました。では、そのデータセンターに不可欠な半導体で最も強い企業はどこか、と考えたんです。
トウシル:なるほど。ブームそのものではなく、ブームを支える土台に投資する、と。
まーしー:そういうことです。当時は米中貿易摩擦の影響もあって、半導体メーカー株は大きく売られていました。僕が買った後も下落は続き、一時は含み損が40〜50%に達したほどです。ですが、自分の未来予測を信じて、ここでも耐え抜きました。結果的に、世界的なAIブームが追い風となり、AI関連銘柄が僕の資産をV字回復させてくれたんです。
トウシル:ちなみに、現在の資産額は?
まーしー:きっちり1億円に戻してますよ。
トウシル:やったー! すごい!
まーしー流・銘柄選定術「SF作家のように未来を描く」
トウシル:未来のインフラを見抜く、というのは非常に興味深い観点です。まーしーさんは銘柄を選ぶ際、何か指標は参考にされているのでしょうか?
まーしー:実は、株価収益率(PER)などの指標はほとんど気にしていません。なぜなら、そうした数字で導き出せる情報は、プロの機関投資家やAIによってすでに株価に織り込まれているはずだからです。凡人である僕が同じ土俵で戦っても、市場を出し抜けるとは思えないんですよね。
トウシル:では、何を見て投資判断を?
まーしー:僕が期待して資金を投じるのは、まだ誰も気づいていない、数字には表れない「未来の物語」です。いうなれば「絵に描いた餅」ですよ。SF作家が未来の世界を想像するように「これから世の中はこうなるんじゃないか」という仮説を立て、その物語が実現したときに、どの企業が中心にいるかを考えるんです。
トウシル:ちょっとワクワクしてきました。具体的な妄想の仕方を教えていただきたいです!
まーしー:例えばコロナ禍でズーム・コミュニケーションズ(ZM)に投資したときは、「世界中の人が移動を制限されたら、ビデオ会議システムは絶対に必要になる。この流れは簡単には止まらないだろう」と考えました。これは投資家目線というより、一人の生活者としての視点から生まれた発想だと思います。
トウシル:近未来の世界を見抜く、眼力の強さを感じます。
まーしー:僕は小さい頃から算数や数学が苦手な、いわゆる文系脳なんです。だからこそ人の気持ちを考えたり、物語の行間を読んだりすることが得意でした。数字に表れない世の中の大きな流れや人々の感情の変化を捉える力は、むしろ文系だからこそ培われたのかもしれないと思っています。