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H3ロケット打ち上げ成功!日本の宇宙産業に成長期待(窪田真之)

2026/6/16 8:00

 米中ロシアが領土や海洋権益をめぐって強硬策を取る時代となりました。近い将来、宇宙権益をめぐって争うのは必至となるでしょう。
 宇宙開発では米国が圧倒的に強く、中国が猛追しています。日本もH3ロケット打ち上げを成功させ、自前のロケット・人工衛星を持つ宇宙開発先進国の一つに食い込んでいます。日本の宇宙産業の成長に期待します。

目次
  1. 軍事目的で、宇宙産業の重要性高まる
  2. 私たちの生活を支える宇宙産業
  3. ロケット事業・衛星事業が、宇宙産業の二つの柱
  4. 宇宙ステーションにも期待
  5. 日本の宇宙開発企業

軍事目的で、宇宙産業の重要性高まる

 イラン戦争でのピンポイント攻撃に、宇宙からの観測データとAIが駆使されていることが分かっています。攻撃用ドローンの誘導や、戦闘地域での偵察でも、宇宙通信や偵察衛星が重要な役割を果たしています。近年、軍事目的での宇宙産業の重要性が極めて高くなったことを受け、米国、中国などが宇宙開発を加速させています。

 今、宇宙開発では米国が圧倒的に強く、それを中国が猛追しています。日本は、米国、中国、欧州、ロシアを追う形で、宇宙開発の先進国の一つに食い込んでいます。

 グラフの通り、日本の宇宙関係予算の規模は、米国などと比べてはるかに小さいのですが、それでも日本は自前のロケットを打ち上げ、自前の人工衛星を運営する宇宙開発先進国として、技術開発で高い成果をあげています。

<海外政府の宇宙関係予算>

海外政府の宇宙関係予算
出所:内閣府宇宙開発戦略推進事務局「各国の宇宙開発動向」2025年5月より楽天証券経済研究所作成、原データ:Bryce Tech「The 2022 Global Space Economy at a Glance」Government Budgets
注:集計方法や為替レートにもよるため一概に比較できないことに留意が必要

 日本では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心とした宇宙開発に、民間企業が幅広く参画しています。先週、JAXAが大型で低コストのH3ロケット打ち上げを成功させ、日本の技術力の高さを改めて証明しました。今回の成功に加え、年度内あと6回、H3ロケットを打ち上げる計画です。

 全て成功させれば、日本の宇宙開発に弾みをつけることとなります。そうなると、H3打ち上げ事業は三菱重工業(7011)に移管され、民間主導で成長させていく予定となっています。

 20世紀には、宇宙開発は国家主導で行われました。米ソ冷戦の最中に、国威発揚をかけて米国やソ連(現ロシア)が宇宙空間の有人飛行や月面探査を競い、達成しました。

 今は民間企業が多数参入して宇宙産業ができあがっています。それでも中心的役割を果たしているのが国家であることに変わりありません。特に、軍需(防衛)目的での利用が大きなウエートを占めています。従って、防衛予算・宇宙開発予算の大きい国が、宇宙産業で主導権を握っていて、米国が宇宙ビジネスをリードしています。

私たちの生活を支える宇宙産業

 宇宙産業は、軍事目的だけでなく平和利用でも欠かせないものです。私たちの生活に、宇宙産業の恩恵は幅広く浸透しています。例を挙げます。

【1】GPS(全地球測位システム)

 スマホで電子地図を開いて歩く時、GPSをオンにすれば自分がどこにいるか地図上に表示され、とても便利です。これは、米国政府が運用しているGPS衛星の恩恵です。米国政府は地球から2万キロほど上空に「測位衛星(位置測定に使う人工衛星)」をたくさん打ち上げていて、世界中をカバーしています。

 現状、無償で世界中の国々にGPSを使わせています。世界中どこでも、米国のGPS衛星のうち少なくとも三つから来る電波をとらえれば、地球上でどこにいるか2~3メートルの誤差で特定できます。

 GPSは、インターネットがつながらない場所でも使えます。ただし、宇宙から計測するので、上空に障害物がないことが条件です。

 GPSで他国に依存するのは安全保障上、問題なので、日本は自前の測位衛星「みちびき」(複数ある衛星ネットワークの総称)を打ち上げて運営を始めています。「みちびき」は今、米国のGPS衛星を補完する役割となっていますが、近い将来、日本は「みちびき」だけで測位が可能になるようにする計画です。

【2】天気予報

 スマホで手軽にウェザーニューズ(4825)が提供する天気予報を利用できるようになりました。気象衛星「ひまわり」(複数ある衛星の総称)が撮影する画像データに加えて、地球上のさまざまな場所から得られる気象データを合わせて判断しているので、ピンポイントの予報精度が高まっています。

【3】テレビ放送(BS・CS放送など)

 BS放送の電波は、放送衛星を経由して私たちに届きます。

 世界的には、軍事目的での宇宙開発が先行していますが、日本は、さらなる平和利用での可能性を探ります。大規模農業や災害防止、ドローンの目視外飛行や自動運転の推進など、今後の我々の経済、社会活動において、通信、観測、測位などの宇宙システムの活用を広げていく計画です。

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