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AI相場はまだまだ続く?次の焦点はハイパースケーラーの「投資の持続力」(土信田雅之)

2026/6/12 8:00

 今週の米株市場はAI相場が一服し、半導体株を中心に軟調な展開です。しかし、旺盛なAI需要への期待は根強く、足元の調整は一時的との見方も優勢です。とはいえ、今後のAI相場は、期待先行の上昇から現実的な視点へと移行し、巨額の投資に見合う収益性や、ハイパースケーラーによる「投資の継続性」が新たな株価の見極めポイントとなりそう。

目次
  1. 今週の株式市場はAI相場が一服する展開
  2. それでもAI相場はまだまだ続く?
  3. AI相場の次の焦点は「投資の継続性」
  4. 今後のハイパースケーラー決算の注目ポイント

今週の株式市場はAI相場が一服する展開

 今週の米国株式市場ですが、これまでのところ軟調気味に推移している印象です。

<図1>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月11日時点)

<図1>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月11日時点)
出所:MARKETSPEED IIおよびBloombergデータを基に作成

 図1は、昨年(2025年)末を100とした、米主要株価指数のパフォーマンスを比較したチャートですが、半導体関連銘柄で構成されるSOX指数の下落が目立っていることが確認できます。

 とりわけ、先週末6月5日(金)に見せた下落が大きく、この日のSOX指数は前日比で10%を超える急落となりました。今週に入ってからもこの流れを引き継ぎ、軟調な展開が続いている格好です。

 先週の半ばまで活況を呈していたAI相場がひとまず一服している様子がうかがえますが、その背景には、先週発表された米半導体企業のブロードコム(AVGO)決算で、業績見通し(ガイダンス)が市場予想に届かず、これが売りのきっかけになったことをはじめ、強い結果となった米5月雇用統計によって米国の金融政策の利上げ観測が高まり、米10年債利回りなどの金利が上昇したこと、大型の米国の株式の新規公開(IPO)を控えた流動性の引き締め(投資家がIPO銘柄を購入するために、保有している資産を売却してキャッシュを確保する動き)が挙げられます。

 そして、中東情勢に対する楽観的な見方が後退したことなども相場の軟調地合いにつながっています。

それでもAI相場はまだまだ続く?

 こうした値動きを目の当たりにすると、「このまま株式市場は下落トレンドを描いていくのでは?」と思ってしまいがちですが、今のところは、「足元の株価下落は目先の調整の範囲」という見方が優勢のようです。

 テクニカル分析的に見ていくと、10日(水)の取引終了時の米S&P500種指数とナスダック総合指数は、いずれも50日移動平均線がサポートとして機能しており、一応「下げ止まってほしい」ところに位置しています(図2と図3)。

<図2>米S&P500(日足)とMACDの動き(2026年6月10日時点)

<図2>米S&P500(日足)とMACDの動き(2026年6月10日時点)
出所:MARKETSPEED II

<図3>米ナスダック総合(日足)とMACDの動き(2026年6月10日時点)

<図3>米ナスダック総合(日足)とMACDの動き(2026年6月10日時点)
出所:MARKETSPEED II

 反対に、下段のMACDが下向きで、しかもシグナルを下抜けるクロスも出現しており、下落トレンドが継続してしまう可能性も残されていますが、チャートをさかのぼってみると、昨年の半ばにかけて見られたように、MACDが下向きの一方で株価が上昇する、「トレンド継続型の逆行現象」で相場の上昇基調が続く展開も想定されます。

 目先の株価も荒っぽい値動きが想定されますが、その過程で「下値が着実に切り上がっていけるか」が、トレンド継続型の逆行現象となるかどうかの見極めポイントになります。

 また、相場の材料面では、旺盛なAI需要を背景にした強気の見通しが継続していることや、足元で不安が高まっている中東情勢についても、「結局は停戦および和平に向かって動いている」という見方が依然として優勢であること、そして、受け皿となる銘柄(バリュー株など)が存在していることなどが相場を支えていると思われます。

 実際に、11日(木)の国内株市場では、日経平均が前日比1,800円安からプラスに切り返す動きを見せるなど、下値で買いが入って大きく反発する動きを見せています(図4)。

<図4>日経平均の5分足チャート(2026年6月11日)

<図4>日経平均の5分足チャート(2026年6月11日)
出所:MARKETSPEED II

 強気ムードの持続によって、足元の軟調な相場展開を「むしろ好機」と捉えて買いが入っている様子が感じられますが、とりわけ、旺盛なAI需要への期待については、「AIエージェント」や「フィジカルAI」などをキーワードに、AIがもたらす技術革新や領域拡大によって、これまで以上に爆増するデータを処理するのに必要な投資やインフラ設備への需要は続くことが見込まれます。

「AI投資需要の継続」は、現実的なシナリオとして今後の相場を支える、もしくは押し上げることになりそうです。

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