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アリババ、BYD、百度:米政府による「中国軍事企業」指定の影響は?

2026/6/11 7:30

 トランプ訪中から約1カ月のタイミングで、米国防総省が「中国軍事企業」リストを更新しました。新たにアリババ、BYD、百度といった中国を代表する企業もリストに名を連ねたことに波紋が広がっています。この動きを、どう読み解くべきか。今後の米中関係の行方を考察します。

目次
  1. 米国防総省が「中国軍関連企業」を更新
  2. 「ブラックリスト」入りした中国企業はどこか?
  3. トランプ訪中で「安定化」した米中関係はどこへ?

米国防総省が「中国軍関連企業」を更新

 5月中旬にトランプ大統領が中国を国賓待遇で訪問し、そこに米国を代表する各界の大手企業トップを同行させることで、首脳レベル、経済・ビジネスレベルで関係の改善と前進を試みた米国と中国。あれから1カ月がたとうとしているタイミングで、新たな動きがありました。

 米国防総省は6月8日、中国人民解放軍を支援していると見なす「中国軍事企業」(Chinese Military Companies)のリストを更新し、リスト中の企業を2025年初時点の130社から188社に拡大しました。

 このリストは2021年に米議会の命令によって作成されました。米国は、中国が「軍民融合」の観点から、民間企業の技術を軍の近代化に活用しているとみています。その意味で、国防総省が中国人民解放軍とつながりがあると見なす中国企業を特定することを目的としています。

 実際、国防総省は昨年リストを更新した際、解放軍が「民間企業のように見える」中国の企業、大学、研究プログラムによって開発された高度な技術や専門知識の獲得を狙っている、と指摘していました。

 このリストに掲載された中国企業が直ちに米国政府による制裁を受けるわけではありませんが、米国防総省との新規取引が制限、あるいは実質的に禁止される対象になります。

 米下院の「中国共産党に関する特別委員会」は、米国の証券取引所に上場している中国のリスト掲載企業は上場廃止にされるべきであり、米国のいかなる企業もリスト掲載企業と取引すべきではないと主張しています。「さもなければ、それらの企業は中国の軍事的な台頭を可能にしてしまう」というのが主張の根拠とされています。

「ブラックリスト」入りした中国企業はどこか?

 ここからは、今回新たに「ブラックリスト」入りした企業の内訳を見ていきましょう。

 まずすぐに目につくのが、ネット通販最大手で、近年AIにも力を入れているアリババ・グループ・ホールディング、電気自動車大手・比亜迪(BYD)、ネット検索大手・百度などです。テクノロジーコングロマリット・テンセント、EV電池メーカー・寧徳時代(CATL)など昨年1月に追加された業界を代表するリーディングカンパニーに続いた形です。

 これらの企業は同リストに掲載されて間もなく、米国側の措置に反対するコメントを発表しています。

 例えば、アリババは「当社は中国の軍事関連企業ではなく、いかなる軍民融合戦略にも関与していない。当社のイメージをゆがめようとするいかなる行為に対しても、あらゆる法的措置を講じる」と断固とした姿勢で反対を表明しました。

 百度も、「当社が軍事企業であるという主張は、全く根拠がない」と主張。リストに掲載された企業の立場や反論はおおむね似通っているといえるでしょう。要するに、「自社は軍事企業ではない。勝手に決めつけるな」というものです。

 それ以外には、近年注目され、昨年2月の習近平総書記との民間企業座談会にも招待されたヒト型ロボット大手・宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)もリストに掲載されました。

 同社は上海証券取引所におけるハイテク新興企業向け市場「科創板」での株式公開を目指しており、今年3月、すでに同取引所はユニツリーの株式の新規公開(IPO)申請を受理、6月初旬、申請から73日という異例の早さで上場審議を通過して現在に至ります。

 中国政府は、ロボティクスやAIといった産業、関連企業を国家戦略の観点から台頭させようとしており、今後、これらの分野・企業間における米中の技術覇権争いはますます加熱していくのは必至と思われます。今回、米国防総省がこれらの企業をリストに掲載した背景には、軍事力にもつながる中国の技術力を抑え込みたいという思惑も作用していると思われます。

 もう一つ、私が着目したのが半導体関連の企業です。半導体メモリーメーカー・長シン科技(CXMT)とフラッシュメモリー製造大手・長江存儲(YMTC)が新たにリストに追加されたことです。両社はともに近く上海証券取引所の「科創板」での上場を狙っているとされます。

 この2社は、中国が半導体の分野で他国、他社を追随する上で鍵を握りますから、その動向は注視すべきですし、その意味で、今回、米国防総省がCXMTとYMTCを「ブラックリスト」に入れた経緯は重要でしょう。

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