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「男の美学」が終活を直視できなくさせる?人として全うして終わりたいのは、女性も同じ

2026/6/12 7:30

 証券アナリスト・エコノミストとして携わった後、頼れる身寄りのない高齢者の課題解決に努めている黒澤史津乃が、現役世代に向けて「親の介護に直面する前の心がまえ」の第一歩を解説。今回のテーマは「男の美学と終活」。終活からはつい目を背けたくなりますが、「人として全うして終わる」ためには向き合い、備える必要があります。

目次
  1. 1.人生訓「男の美学」とは
  2. 2.「終活から逃げたい男性」の四つの常とう句
  3. 3.認知症の夫と、夫の言動に苦悩する妻
  4. 4.定年退職後の30年の人生を経て、「人として全うして終わりたい」

1.人生訓「男の美学」とは

 とある町で「男の美学」と題され掲出されている人生訓をご存じでしょうか。各所の壁面に描かれたり、ポスターとして掲示されたりしています。

男の美学

・20代30代は「男に成りたい」
・40代50代は「男でありたい」
・60代70代は「男で死にたい」
・80代90代は「男として全うして終わりたい」

 今や、「男だから」とか「女だから」とか区別すること自体がナンセンスな時代ですが、あくまでも筆者のこれまでの経験に基づく分析ということで、本稿においてのみご容赦いただけましたら幸いです。

 筆者がこれまで関わってきた方たちの中には、普段は「男の美学」を地で行くような男気を振りかざしているにもかかわらず、こと「終活」といわれる分野に関することになると、真正面から向き合わず、目をそむけてしまいがちな男性が数多くいらっしゃいました。

 しかし、ついふたをしてしまいたくなる「終活」こそが、この「男の美学」の最終章「男として全うして終わりたい」を実現するために最も重要なツールなのです。

2.「終活から逃げたい男性」の四つの常とう句

 男性読者の皆さん、または皆さんの父親が次のようなセリフを口にしていたら、それは「終活」から逃げたいサインです。近い将来、病気や認知症、そして死亡という局面が自分自身に訪れることに対して、真正面から向き合うことを避けたいという気持ちの表れです。

1.「どうせ俺の方が先に逝くんだから」

 ご夫婦の場合に頻繁に耳にします。夫が病気や認知症を経て亡くなるという時間経過の中で、その間、妻がずっと心身ともに健康な状態で夫の面倒を見るという前提のセリフです。順番が逆になって妻が先に亡くなったり、妻が途中で認知症を発症したりすることで、夫の思い描いていた前提が崩れてしまった場合については、想像することすら全力で拒む傾向があります。

2.「ボケたり死んだりしたら、どうせもう俺は分からないんだから」

 認知症になった後や亡くなった後は、もう自分自身は耄碌(もうろく)しているのだから困ることはないとおっしゃる方は、意識がある間の苦痛、不便さ、恐怖感や孤独感に対し、総じて耐性が弱い傾向があります。

3.「体も頭も鍛えているから、大丈夫」

 老いにあらがう努力を惜しまないことは素晴らしいことですが、人間は致死率100%、必ず健康でなくなる時期が訪れます。「自分が健康でなくなるはずはない」「自分だけは認知症にはならない」という自信は、健康でなくなった状況を想像したくない気持ちの裏返しでしょう。

4.「金はあるから、誰にも迷惑はかけない」

 病気、認知症、死に対して向き合いたくない、わざわざシミュレーションをすることを通じて、本来なら想像もしたくないものに備える行動をしたくないという気持ちから、「資金の準備さえあれば、その時になってからでも何とかなるだろう」と自らを思い込ませて発するセリフでしょう。

 このような発言によって、まさに「臭い物にふたをする」感覚で、「終活」に対してあえて無関心になってしまうケースが、なぜか女性よりも男性に圧倒的に多いと感じるのは筆者だけではないと思います。

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