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米国株市場のIPOで知っておきたいコト(土信田雅之)

2026/6/5 8:00

 今週は主要株価指数が最高値を更新する強気のスタートを切りました。背景にAI投資需要がありますが、ハイパースケーラーの投資負担増による財務リスク、メジャーSQ、金融政策イベントなど、目先の警戒要因も存在します。さらには、スペースXやOpenAIなどの大型IPOが控えています。市場を揺さぶる一大イベントを前にポイントを整理します。

目次
  1. 6月相場は日米ともに強気のスタート
  2. 株式市場の熱狂はどこまで続く?需給イベントと金融政策イベントが焦点
  3. 米国株市場のIPOの流れと仕組み
  4. 大型IPOが与える株式市場への影響と注意点

6月相場は日米ともに強気のスタート

 6月相場入りとなった今週の株式市場ですが、これまでのところ、株価水準をさらに引き上げる展開となっています。

<図1>国内外の主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月3日時点)

国内外の主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年6月3日時点)
出所:MARKETSPEEDIIおよびBloombergデータを基に作成

 6月3日(水)の取引では、日経平均株価が6万8,000円台の半ばまで上昇したほか、東証株価指数(TOPIX)も同日の取引時間中に初の4,000p台に乗せる場面がありました。

 最近までの株式市場は、「中東情勢への楽観的な見方」と、「旺盛な投資需要を背景としたAI相場の盛り返し」を主因に上昇してきました。

 前者については、今週に入って再び緊張や警戒感が高まってきているものの、後者については、米国市場を中心に持続的な買い材料として相場をけん引し続けており、その米国株市場でも、2日(火)の取引で主要株価3指数(ダウ工業株30種平均、S&P500種指数、ナスダック総合指数)がそろって最高値を連日で更新する動きを見せています。

 さすがに、足元では売りに押される場面が出始めていますが、全体的に6月相場は日米ともに強気のスタートを切ったと言えそうです。

株式市場の熱狂はどこまで続く?需給イベントと金融政策イベントが焦点

 確かに、最近までの株価の上昇ペースはかなりのハイペースであり、値動きだけを見ると、過熱感を帯びている印象は拭えません。

 一部では警戒感もくすぶっていますが、それでもなお上昇の勢いが続いている理由として、先日までの決算シーズンを通じて、テクノロジー企業によるAI投資需要の大きさが改めて確認されたことや、「エージェントAI(自律的にタスクを処理するAI)」や「フィジカルAI(現実世界に組み込まれるAI)」などが新たなキーワードとして浮上し、今後もAI需要が継続していくのではという見方が強まっていることが挙げられます。

 AIがもたらす技術革新や領域拡大が具体的に見込まれる状況になったことで、これまで以上に爆発的に増加するデータを処理するのに必要な投資や、インフラへのニーズは続くという、強気の見通しにつながっています。

 また、AI相場をけん引する主役となる銘柄は、時間の経過とともに物色の裾野を広げています。当初は積極的にAI投資を行っている大手ハイテク企業(ハイパースケーラー)から始まり、次に半導体製造関連へとバトンタッチし、その後もデータセンター関連(電線やエネルギー、建設など)やメモリー・ストレージ(記憶媒体)関連、そして電子部品関連へと広がっています。

 しかし、いずれの銘柄も株価が上昇し続けるには、「旺盛なAI投資が続く限り」という共通の前提条件がある点には注意が必要です。

 そのため、AI投資に陰りが見えてくると、相場が大きく崩れかねない点には注意が必要です。確かに、AI投資需要は今後も増えていく可能性が高いのですが、これまでにも既に巨額の投資が行われており、「ハイパースケーラーが今後もどこまで投資を続けることができるか?」が今後のカギを握ることになります。

<図2>米ハイパースケーラー4社の営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移

※アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタの4社の合算データ

米ハイパースケーラー4社の営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移
出所:Bloombergデータを基に作成

 図2は、米ハイパースケーラー4社(アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ)の営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移を示したものですが、2024年あたりから投資キャッシュフローの支出額の増加傾向が目立っており、直近では営業キャッシュフローの金額規模に迫りつつあることが分かります。

 これは「本業の稼ぎの大部分を投資につぎ込んでいる」状況と読み取れ、以前と比べて余裕がなくなってきている可能性があります。今すぐというわけではなさそうですが、「財務リスク」「収益性」「競争優位性」を軸に、再びAI相場が調整局面を迎える場面があるかもしれません。

 もっとも、目先については、来週12日(金)に先物・オプションの取引価格を清算する重要な需給イベントである「特別清算指数(メジャーSQ)」が控えているほか、再来週には日米の金融政策イベント(日本銀行金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC))が予定されており、こうした重要イベントを通過した後も、株高基調を続けていけるかがこれからの6月相場における最大の焦点になりそうです。

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