日経平均株価のPERが4月につけた最高値20.90倍から足元は17.93倍まで低下。この間日経平均株価も上昇していることから、PERからみて日経平均株価はまだまだ割安との声が聞こえます。これにつき、どのように考えたらよいのでしょうか。
日経平均株価のPERが4月より低下している
多くの投資家が注目している指標の一つに「日経平均株価のPER」というものがあります。
ご存じの方も多いと思いますが、日経平均株価についても株価収益率(PER)が算出されています。
5月29日時点での日経平均株価のPERは17.93倍です。4月16日には直近の最高値である20.90倍であったことを考えると、PERは1カ月強でかなり低下していることが分かります。
さらに、4月16日の日経平均株価は5万9,518円34銭だったのに対し、5月29日には6万6,329円50銭まで上昇しています。つまり、日経平均株価が上昇しているにもかかわらずPERが低下していることになります。
これは、予想1株当たり当期純利益が4月20日の2,848円から5月29日には3,699円まで増加したことによるものです。
<参考:日経平均株価のPER>
そもそもPERの信頼度は高くない
これは日経平均株価のPERに限らず、個別銘柄のPERでも同様のことが言えるのですが、PERの特徴として、PERそのものの信頼度が高くない、という点が挙げられます。
なぜなら、PERの計算式の構成要素の一つである「予想1株当たり利益(EPS)」は時間の経過とともに投資家の将来の見立ての変化によって変動しますし、プロ投資家の目線からみれば、当期だけでなく来期以降の利益見通しも加味して投資行動を決めているからです。
少々分かりにくいかもしれませんが、PERとは、今期の予想1株当たり当期純利益と同水準の利益が来期以降もずっと続いたと仮定した場合、投資元本が何年で回収できるかを表しています。
従って、プロ投資家が予想する今期の予想1株当たり当期純利益の予想値に変動があったり、来期以降の利益の予想値に変動があったりすると、あるべきPERの数値も変動するため、株価も変動するということになります。
正確性は欠きますが、シンプルに分かりやすく例をあげます。
現時点でのPERが20倍として、現時点も1カ月後も、公表されている予想1株当たり当期純利益が変わらないと仮定します。
しかし、プロ投資家の利益の予想値が、1カ月後には現時点から20%下落した場合、適正PER(あるべきPER)は16倍に下がるため、株価も20%下がることになります。
今は割安かもしれないが1カ月後はどうなるか分からない
確かに足元では予想1株当たり当期純利益の増加により、「日経平均株価が上昇しているにもかかわらず、PERが低下する」という現象が生じています。
ですから、「少なくとも現時点では日経平均株価は割安になっている」との見方もできるでしょう。しかし、その評価は今後も固定されているわけではないことを、十分に注意しなければなりません。
例えば、インフレの進行により今後の景気悪化の懸念が強まってきたら、上の例のように、プロ投資家の利益の予想値が下がることになります。
一方、企業発表の当期純利益に変動がなければ、予想1株当たり当期純利益の水準は変わりません。
その結果、株価が下落して見た目のPERがさらに低下することになりますが、これは決してさらに株価が割安になったわけではない点に注意する必要があります。
単にプロ投資家の予想値が下方修正された一方、予想1株当たり当期純利益は変わらないので、株価は下落し、表面上のPERが低下したに過ぎないのです。
結論:PERに固執せず株価のトレンドに従って動く方が安全
このように、プロ投資家が将来を悲観的な見方に修正したような場合、株価が下落するものの、企業発表の予想1株当たり当期純利益は当面の間変更がないことが多いため、PERは低下します。
しかしここまで説明してきた通り、PERは信頼度が高くない指標であり、時の経過とともに変動しやすい数値でもあります。
ですから、株価が下落してPERが低下した場合でも、株価上昇+予想1株当たり当期純利益増額によりPERが低下した場合でも、見るべきものはPERではなく株価のトレンドであると筆者は考えています。
単に今後の業績に期待が持たれていて株価が上昇トレンドで推移するのであれば、例えPERが上昇していたとしても、われわれもその波に乗ればよいですし、逆に株価が下降トレンドに転じたのならば、例えPERが低下していても、保有株売却や新規買いの見送りなどの対処をすればよいと考えます。
プロ投資家が売りに回った可能性が高いため、われわれもそれに倣うほうが安全だと言えます。
日経平均6万円超え!最高値更新でもPERは低下…これって「割安」のサイン?
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