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決算レポート:コヒレント(光、レーザー関連電子部品の大手。光電融合に関連してエヌビディアの出資を受ける)

2026/6/1 16:00

 2026年3月、エヌビディアは光関連電子部品大手のコヒレント、ルメンタムとの戦略的提携を発表した。中身はエヌビディアによる各々数十億ドル規模の購入契約、光電融合(CPO)を含む先端レーザー、光関連製品へのアクセス権と生産能力の確保、各々20億ドルの出資。コヒレントは光関連中心に受注好調。目標株価を470ドルとする。

目次
  1. 1.2026年3月、エヌビディアは、光系電子部品大手のコヒレント、ルメンタムと、出資を含む戦略的提携を発表した。
  2. 2.コヒレントの2026年6月期3Qは、20.6%増収、営業利益2.79倍。
  3. 3.2026年6月期、2027年6月期とも業績好調が予想される。
  4. 4.コヒレントの今後6~12カ月間の目標株価を470ドルとする。

毎週月曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄:コヒレント(COHR、NYSE)

1.2026年3月、エヌビディアは、光系電子部品大手のコヒレント、ルメンタムと、出資を含む戦略的提携を発表した。

 2026年3月2日、エヌビディアは光関連、レーザー関連電子部品の大手であるコヒレント、ルメンタム・ホールディングスとの戦略的提携を発表しました。

 中身は、エヌビディアによる各々数十億ドル規模の購入契約、将来の先進レーザーおよび光ネットワーク製品へのアクセス権と生産能力の確保が含まれています。各々非独占的契約になります。

 さらにエヌビディアは、コヒレント、ルメンタムに各々20億ドルを出資し、コヒレント、ルメンタムの米国における生産能力拡大、研究開発、事業運営を支援します。

 この提携のテーマは「光電融合」です。エヌビディアはすでに2025年後半に投入された「Blackwell Ultra」に対応したネットワークスイッチ「Spectrum-X」(ネットワークスイッチは複数のコンピュータ等をつなぎ中継、管理する通信機器)にCo-Packaged Optics (CPO、光電融合)を搭載しています。CPOでは、シリコンフォトニクス(光送受信機能)を、これまでのように外付けの光トランシーバではなく、GPUやネットワークスイッチのASICと同じ基板上に統合し、これまでよりも高速伝送を実現します。

 2027年1月期3Qに投入する予定の次世代機「Rubin」では、最上位機種の「Vera Rubin NVL72」(72 基のRubin GPUと36基のVera CPUを搭載する)のGPU間通信に使う「NVIDIA NVLink 6」スイッチ(第6世代NVLink)にCPOが搭載されます。銅配線、光ファイバー配線を上回るスピードが実現できる光・レーザー配線が実現することになります。

 2028年投入予定の「Feynman(ファインマン)」では、より広い範囲にCPOが使われると予想されます。エヌビディアのコヒレント、ルメンタムに対する提携と出資は、CPOの適用範囲が今後急拡大することを見越して、この分野の先端技術と生産力を確保する狙いと思われます。

2.コヒレントの2026年6月期3Qは、20.6%増収、営業利益2.79倍。

 コヒレントの2026年6月期3Q(2026年1-3月期、以下今3Q)は、売上高18.06億ドル(前年比20.6%増)、営業利益2.01億ドル(同2.79倍)となりました。

 セグメント別売上高を見ると、データセンター&コミュニケーションズが13.62億ドル(同40.6%増)と好調でした。AIデータセンター向けの需要が強く、光トランシーバ(ネットワーク機器の電気信号と光信号を相互に変換する小型の送受信デバイス)とOCS(Optical Circuit Switch。光回路スイッチ。光信号を電気信号に変換することなく、光の経路の切り替えや分岐を直接行うデバイス)の2分野がこのセグメントを牽引しています。

 一方で、産業向けは4.44億ドル(同16.1%減)となりました。一部の産業向けが不振でした。ただし、半導体製造装置向けの受注が回復しています。

 全社の受注高、受注残高は開示されていませんが、今3Qは受注急増によって過去最高水準の受注残高になった模様です。

表1 コヒレントの業績

表1 コヒレントの業績
株価 361.47ドル(2026年5月29日)
時価総額 68,752百万ドル(2026年5月29日)
発行済株数 196.4百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 190.2百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
注3:会社予想は予想レンジの平均値。

表2 コヒレント:セグメント別売上高(四半期)

表2 コヒレント:セグメント別売上高(四半期)
単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

表3 コヒレントの業績詳細(四半期)

表3 コヒレントの業績詳細(四半期)
単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成。

3.2026年6月期、2027年6月期とも業績好調が予想される。

 会社側の今4Q売上高ガイダンスは、19.1億~20.5億ドル、レンジ平均値19.80億ドル(前年比29.5%増)です。データセンター&コミュニケーションズが牽引して業績好調が予想されます。

 受注高は2028年までの受注が増加している模様です。顧客との長期契約(LTA)は2020年代末までの長期間のものがでています。業界全体で供給が制約されているインジウムリンウェハ(リン化インジウム。光通信用デバイスの基板として使われる)については、コヒレントがこれまで生産していた3インチウェハを6インチウェハに転換中で、これによってインジウムリンの生産量を2026年6月末までに倍増させる計画ですが、順調に進捗しています。また、2027年末までにインジウムリン生産能力をさらに倍増する予定です。インジウムリンの生産能力の大幅増強が達成できれば、データセンター向け事業にとって大きな増収要因になると思われます。

 光トランシーバは、現在はデータセンター向けに800Gタイプが伸びていますが、今後はAIデータセンター向けにより高速のデータ伝送が可能な1.6Tタイプが今年後半から来年にかけて急速に増加すると会社側は見ています。OCSもデータセンター向けに強い需要があり生産能力増強が寄与しています。

 CPO関連製品は、AIデータセンター向けに大きな需要が期待でき、今年後半から本格的に成長すると予想されます。会社側ではCPOが150億ドル以上の市場になるとしています。

 AIデータセンターに向けた次世代光伝送技術・プラットフォームである「マルチレール」にも期待が持てます。また、産業向けでは会社側はデータセンターXPU(特注型AI半導体)の冷却ソリューションと熱電発電機(データセンター内の廃熱を回収して発電する)に期待しています。

 会社側によれば、今年3月に発表されたエヌビディアとの戦略的パートナーシップには、エヌビディアによるコヒレントへの20億ドルの出資と、2020年代末まで続く複数年供給契約が含まれています。会社側によれば、このパートナーシップはコヒレントの高出力CWレーザー(Continuous Wave Laser、連続波レーザー)を含む複数のCPO関連製品とソリューションに焦点を当てたものです。

 エヌビディア以外の重要顧客とも複数年契約を結んでいる模様です。

 これらのことを考慮して、楽天証券ではコヒレントの2026年6月期を売上高70.50億ドル(前年比21.3%増)、営業利益8.50億ドル(同2.93倍)、2027年6月期を売上高93億ドル(同31.9%増)、営業利益13億ドル(同52.9%増)、2028年6月期を売上高126億ドル(同35.5%増)、営業利益21億ドル(同61.5%増)と予想します(ただし、2028年6月期楽天証券予想は参考値)。

 特に来期以降は、エヌビディア向けを含む重要顧客向けの売り上げ規模とその中身、特にCPO関連の売り上げ規模が注目されます。

表4 コヒレント:セグメント別売上高(通期)

表4 コヒレント:セグメント別売上高(通期)
単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

4.コヒレントの今後6~12カ月間の目標株価を470ドルとする。

 コヒレントの今後6~12カ月間の目標株価を470ドルとします。

 長期的な視点から、楽天証券の2028年6月期予想1株当たり利益(EPS)9.11ドルに、同じく2028年6月期予想営業増益率61.5%よりPEG=0.8~0.9倍として、想定株価収益率(PER)を50~55倍として当てはめました。エヌビディアとの提携は今後の業績を見る上で重要ですが、光関連、レーザー関連の電子部品会社は数が多いため競争が激しいことを考慮しました。

 中長期で投資妙味を感じます。

本レポートに掲載した銘柄:コヒレント(COHR、NYSE)

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