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イラン紛争終結間近で株上昇もドル円は膠着状態。6月中旬までに和平成立するか

2026/5/27 17:14

 イラン紛争を巡る和平期待で株価は上昇する一方、先行き不透明感からドル円は膠着(こうちゃく)が続いています。各国の中銀会合が重なる6月中旬までに和平は解決するのか、また利上げの行方はどうなるのかに注目です。

目次
  1. イラン和平期待で株高も、ドル円は158~159円の膠着状態へ
  2. 6月の中銀ウイークが正念場。和平合意と日銀利上げの行方

イラン和平期待で株高も、ドル円は158~159円の膠着状態へ

 イランとの協議進展期待で株は上昇しているものの、トランプ大統領が「合意間近」から「合意に急ぐ必要はない」と側近に指示したことから、先行き不透明感が強まりドルは膠着状態となっています。

 ただ、原油市場も戦争終結への期待がくすぶっていることから、原油は上がらなくなってきているため、ドル上昇も一服している状況での膠着です。ドル円は158円台と159円台を行き来しています。

 25日、米国のルビオ国務長官は、イランとの協議を巡り、合意には「少し時間がかかる」との見通しを示し、イラン側と詰めの協議が続いている状況を示しました。

 そのような状況下、米メディアは、25日、米軍がイラン南部の軍事拠点を攻撃したと一斉に報じました。ホルムズ海峡で機雷を敷設しているイラン船舶2隻を撃沈したところ、イラン側がミサイル反撃したため、米軍はイラン南部のミサイル発射基地を攻撃したとのことです。米政府は今回の攻撃について、防衛的措置だったと説明しています。

 米軍の攻撃に対して、イラン外相は「米国によるイラン艦船への攻撃は停戦合意違反である」と非難する声明を出しました。イラン革命防衛隊も領空に入った米無人機を撃墜し、「米軍によるいかなる停戦違反に対しても、同等の対抗措置を取る権利がある」とけん制しています。

 米軍の攻撃やイランの応酬にもかかわらず、米国とイランはこれまで以上に合意に近づいており、米国も軍事行動再開を望んでいないと、市場は今回の攻撃を冷静に見ており、和平協議進展への期待は維持しているようです。

 また、和平交渉の争点となっている高濃縮ウランについては、25日、トランプ大統領は、従来の「米国で破棄」との主張から「米国かイラン国内または別の適切な場所で破棄される」と投稿し、主張を軟化させているとの見方が高まっています。

 しかし、米・イラン和平協議合意への期待が高まっているとはいえ、不透明感が払拭されていない中、さまざまな情報が交錯しているため、ドルは協議の先行きを見守る展開が続いています。

 ドル円は160円を目前にして、ドル高状態での膠着状態となっています。

 イラン紛争に伴う原油高によるインフレ警戒から米長期金利が上昇しドルを下支えしているのに対し、日米が連携していることが確認され介入警戒感が強まっていることや6月の日本銀行の利上げ期待が高まっていることが、ドル円の円安への動きを抑えているため膠着状態になっているようです。

 このような膠着状態は、イラン紛争終結の動きが明確になれば脱していくことが予想されます。一方で市場は、和平協議は合意されるとの楽観的見方が多いため、合意を待たずに相場はファンダメンタルズや金融政策に左右される相場へ移行していくことも予想され、その動向にも注目する必要があります。

6月の中銀ウイークが正念場。和平合意と日銀利上げの行方

 6月中旬の中央銀行ウイークが近づくにつれて、相場は各国の金融政策に影響を受けることが予想されます(欧州中央銀行[ECB]理事会6月11日、日銀会合6月15~16日、米連邦公開市場委員会[FOMC]6月16~17日開催)。

 各国中銀は、イラン紛争に伴う原油高によるインフレを警戒し、タカ派姿勢に傾きつつあります。例えば、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内利下げ見通しが後退し、場合によっては年内利上げの可能性も浮上してきています。

 22日、ハト派のFRBのウォラー理事は、フランクフルトの講演で一転してタカ派的な姿勢を表明しました。

 ウォラー理事は、「イラン戦争に伴うエネルギーショックで物価が押し上げられる中、利下げと利上げの可能性は五分五分で、利上げの可能性を排除すべきでない」と述べています。そして声明文から「『緩和バイアス』を示す文言を削除することを支持する」と述べました。

 一方で、米コンファレンスボードが26日発表した5月の消費者信頼感指数は93.1と、予想は上回りましたが前月から低下しました。コンファレンスボードは「イラン戦争によるインフレへの影響が消費者心理を下押しした」と説明しています。調査では、5月時点で消費者の3分の2が、物価上昇を理由に全体的な支出を削減したと回答したとのことです。

 米国経済の7割を占める消費がインフレの影響で低下してきているのであれば、6月のFOMCでは必ずしもタカ派姿勢が強まることにはならないかもしれません。

 6月中旬までに和平協議が合意されれば、原油がウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)で90ドル割れなど一段と低下することが予想されます。そうなれば、各国中銀のインフレ警戒心が弱まることも予想されるため、注意が必要です。

 ただ、和平合意によってホルムズ海峡が開放されても、これまでの閉鎖の影響が、あと数カ月は続くとの見方もあるため原油の下げ方も鈍くなることが予想されます。そうなれば中央銀行のタカ派姿勢が続くことも予想されます。5月に就任したFRB新議長のウォーシュ氏はどのようなかじ取りをするのか注目です。

 日銀の6月利上げ予想は8割近くとなっています。しかし、日銀が6月に利上げをしても、欧米中央銀行のタカ派姿勢が続いていれば、円高への影響は限定的になることが予想されます。日銀の6月会合での利上げ賛成がかなり多数を占めるのでなければ(全員一致の利上げがベスト)、また6月利上げ後の追加利上げ姿勢を鮮明にしなければ円高進行は鈍くなるかもしれません。

 利上げをしても追加利上げに慎重姿勢であれば、市場は政府への忖度(そんたく)姿勢を感知し、すぐに円売りに転じるかもしれません。万が一、6月利上げ見送りとなれば、160円を超える円安が進む可能性が高まるため注意が必要です。

 米・イラン和平協議合意への期待が高まっていますが、あと数日で不透明感が払拭されるのか、そしてドルは膠着状態を脱するのかどうか注目です。

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