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老後資金4,500万円の差?会社員と自営業者の年金格差を埋める「iDeCo月7.5万円」戦略

2026/5/22 7:30

 2026年12月、iDeCoの拠出限度額が大幅に引き上げられます。今回の改正で、自営業者・フリーランスの人も上限額は「月7.5万円」へと変わります。公的年金と退職金制度がない自営業者にとって、老後資産を大きく飛躍させるチャンスです。今回は、戦略的な活用術をお伝えします。

目次
  1. 「iDeCo月6.2万円」の先がある?自営業者は最大「月7.5万円」へ
  2. 「厚生年金なし」が老後に及ぼす格差とは?iDeCoでどう備えるか
  3. 会社員並みの老後の余裕づくりに月7.5万円が使えるとどうなるか
  4. 自営業者、フリーランスは小規模企業共済との併用で、賢く備えよう

「iDeCo月6.2万円」の先がある?自営業者は最大「月7.5万円」へ

 2026年12月からiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の拠出限度額が引き上げられます(実際の掛金引き落としは2027年1月分から)。今回の改正では、従来の低い制限としてあった月2.3万円や月2.0万円の枠の撤廃も伴うため、大幅な拡充となります。

 ほとんどの人が「iDeCoは月6.2万円」というイメージを持っていると思いますが、実はさらにその上、最大「月7.5万円」まで限度額が引き上げられる人もいるのです。

 それは、もともと月6.8万円まで積み立てできた自営業者やフリーランスの人たち(国民年金の第1号被保険者)です。今回の改正で、会社員などの上限が「月5.5万円から6.2万円」へ引き上げられたのと同様に、自営業者の方も「0.7万円」の枠が上乗せされることになります。

 つまり、上限が「月6.8万円から月7.5万円」へ拡大するわけです。

「厚生年金なし」が老後に及ぼす格差とは?iDeCoでどう備えるか

 改めて対象となる人を確認しておきましょう。対象となるのは、国民年金第1号被保険者。具体的には、20~60歳に達するまでの自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが該当します。

 働き方や立場があるので複雑に感じるかもしれませんが、以下のシンプルな区分で捉えると分かりやすいでしょう。

  • 月7.5万円の対象外:会社員(厚生年金加入者)、公務員、専業主婦(国民年金の第3号被保険者)
  • 月7.5万円の対象:上記以外の方(第1号被保険者)

 今回引き上げの対象となる第1号被保険者が将来受け取れる年金は、老齢基礎年金(国民年金保険料を納めたことによる)のみです。40年間保険料を完納しても受取額は月7万608円程度であり、老後の生活には物足りない金額です。

 一方、会社員の場合、厚生年金をモデルで受け取ると基礎年金と合わせて月16.7万円となります。会社員の夫と専業主婦の妻というモデル夫婦の合計であれば月約23.7万円となり、年金額が老後の生活に役立ちそうな水準となります。

 自営業者は月10万円にもなる年金格差を現役時代に埋めていくことが重要です。そのためには「国民年金保険料+iDeCo掛金」を組み合わせることが有効です。

 また、会社員には多くの会社が採用している退職金制度(企業年金制度)のおかげで、さらなる老後資産形成が実現していることがあります。一般企業であれば1,000万円程度、大企業であれば2,000万円前後にもなる資産形成が行われていると考えてみると、この差も老後に決定的な違いとなります。「退職金準備額相当=iDeCo掛金」と考え、こちらも備えておく必要があります。

 一見すると月7.5万円という枠が大きいようですが、これをできる限り活用したいところです。

会社員並みの老後の余裕づくりに月7.5万円が使えるとどうなるか

 会社員と自営業者の公的年金の差は、約10万円。これを25年分で換算すると約3,000万円になります。さらに、会社員には平均1,500万円程度の退職金があることを踏まえると、自営業者が会社員と同水準の老後を迎えるには、合計4,500万円を自助努力で準備する必要があります。

 この目標に対し、新しく拡充される「月7.5万円」の枠をフル活用し、年利4.0%で運用できた場合、30年間積み立てれば約5,210万円に達します。25年の積立期間だと3,860万円となり4,500万円には達しませんが、相当の準備にはなります。

 月7.5万円の積み立てはかなり厳しい負担のようですが、月50万円の給与から引かれる厚生年金保険料が月9万1,500円(本人負担は半分の4万5,750円)です。また、企業年金の掛金額は平均2万円前後というデータが過去にあったのでこれを参考にすれば、「月6.5万円くらいの積み立て」を会社員もしているようなものといえます。

 自営業者の場合、もうかっているときとそうでないときの変動が激しいので、安定的な積み立ては厳しいところがありますが、「会社員と同じくらいがんばる」という意識をもって月7.5万円の限度額引き上げを活用したいところです。

 iDeCoの掛金額は変更できますから、業績が厳しいときは引き下げ、復調したら限度額近く積み立てるような柔軟性もあります。最低掛金額は月5,000円です。

自営業者、フリーランスは小規模企業共済との併用で、賢く備えよう

 ところで、個人事業主や中小企業経営者の節税・資産形成手段としては、iDeCoと並んで「小規模企業共済」がよく紹介されます。

 これは自営業者や中小企業の経営者などが加入できるもので、個人として課税後の余裕資金を積み立てる仕組みです(会社に負担させることはできない)。

 税制優遇をiDeCoと比較してみると、以下のようになります。

積み立て時の税制優遇:同等(所得控除)
運用時の税制優遇:同等だが実感できない(運用は小規模企業共済がひとまとめにして行っているため)
受取時の税制優遇:iDeCoと同等(一時金受け取りで退職所得控除の対象。退職所得控除に用いる加入年数はiDeCoと重複する期間は調整される)

 小規模企業共済には月7万円の枠がもともとあります。iDeCo(7.5万円)と同時に設定ができるので、合わせれば合計月14.5万円もの所得控除が可能です。

 また、運転資金などを理由とした積立金の一部借り入れができること、廃業した場合には解約ができることなどがiDeCoと小規模企業共済の大きな違いとなります。

 月14.5万円の積み立てはちょっと現実的ではありませんが、「月7万円くらいの積み立てを、iDeCoと小規模企業共済で分ける」というのは悪くないアイデアでしょう。

 自営業者はできる限り、老後に積み立てることを意識してみたいところです。今回の「iDeCo月7.5万円への引き上げ」を老後に向けた資産管理プランに役立ててみてください。

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