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メモリ株はまだ買えるのか(マイクロンの目標株価を1,100ドルに引き上げる。キオクシアの目標株価を8万5,000円とする)

2026/5/18 18:20

 生成AIを使ったAIエージェントがブームとなってきたが、AI半導体、CPU、HBMだけでなく、大容量高速のDRAM、SSD(NAND)の需要が大きくなってきた。当面は、DRAM、NAND市況は強く、データセンター向けの大容量高速DRAM、SSDの需要好調が予想される。目標株価はマイクロン1,100ドル、キオクシア8万5,000円とする。

目次
  1. 1.DRAM、NANDの大口価格は引き続き上昇中。
  2. 2.ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)の巨額設備投資によって先端半導体の需要が増加中。
  3. 3.生成AIとメモリの関わり。生成AIが普及するにつれて、DRAMとSSDの大容量高速化が必要になる。
  4. 4.メモリ株の業績と株価。循環論か構造論か。
  5. 5.マイクロン・テクノロジーの楽天証券業績予想を上方修正し、目標株価を530ドルから1,100ドルへ引き上げる。
  6. 6.キオクシアホールディングスの2027年3月期は大幅増収増益へ。目標株価を8万5,000円とする。

毎週月曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄:マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)、キオクシアホールディングス(285A、東証プライム)

1.DRAM、NANDの大口価格は引き続き上昇中。

 今回はメモリ株を取り上げます。メモリ株はまだ買えるのか、というテーマですが、今から投資しても遅くないと思われる、というのが私の結論です。

 DRAMとSSDの国内での店頭販売価格の動きを見ると、いずれも価格が頭打ちになっている感じがします(グラフ1、2)。これはこれらの製品がいずれもパソコン向けだからです。パソコン用メモリカード、パソコン用SSDともにパソコンユーザーや小規模なパソコンメーカーが買えないところまで価格が上昇した可能性があります。

 一方で、業務用パソコン向けやサーバー向けのDRAM、NANDはまだ上昇する可能性があります。グラフ3、4はDRAMとNANDの法人向け価格の動きです。DRAMは急騰後動きが鈍っていますが、AIサーバーの需要が大きいため、再度上昇する可能性があります。NANDは法人向け価格が上がり始めたところなので、さらに上昇する可能性があります。

 また、調査会社のトレンドフォースによると、2026年4-6月期のDRAM、NANDの大口契約価格は続伸すると予想されています(表1)。DRAM、NANDともに需給はタイトです。AI半導体に不可欠なHBMでは、2026年後半に出荷開始となるエヌビディアの「Rubin」から最新型の「HBM4」を搭載します。HBM4は初期はDDR5ウェハを12枚積層し、将来は16層に発展すると思われます。

 また、AIサーバーに搭載されるメインメモリ(DRAM(DDR5))も大容量化しています。DRAM大手でありHBMメーカーでもあるSKハイニックス、サムスン電子、マイクロン・テクノロジーはNAND生産も兼業していますが、DRAM(DDR5)ウェハの生産を最優先しており、NANDの増産は難しい状況です。NANDの増産余力があるのはキオクシアだけであり、設備投資を増やしていますが、増産できるのは2027年に入ってからと思われます。

 そのため、DRAMもNAND、SSDも、需要が増加しているデータセンター向けの大容量高速製品中心に販売単価が上昇していく状況がしばらく続くと思われます。

グラフ1 パソコン用メモリの店頭価格

グラフ1 パソコン用メモリの店頭価格
CFD:W5U5600CS-16G [DDR5 PC5-44800 16GB×2枚組])(平均価格、単位:円、出所:価格ドットコムの価格推移グラフより楽天証券作成。週初価格を抽出

グラフ2 SSDの店頭価格

グラフ2 SSDの店頭価格
Sundisk:WD Blue SA510 SATA WDS100T3B0A、1TB、平均価格、単位:円、出所:価格ドットコムの価格推移グラフより楽天証券作成。週初価格を抽出

グラフ3 DRAMの市況

グラフ3 DRAMの市況
単位:ドル、国内大口需要家渡し、4ギガビット(2018年6月26日までDDR3、2018年7月3日からDDR4、2021年5月11日からDDR3)、8ギガビット(DDR4)、出所:日経新聞主要相場欄より楽天証券作成

グラフ4 NAND型フラッシュメモリの市況

グラフ4 NAND型フラッシュメモリの市況
単位:ドル、国内大口需要家渡し、TLC(注:2017年5月30日付で従来の多値品がTLCに変更された)、出所:日経新聞主要相場欄より楽天証券作成

表1 DRAM、NANDの大口契約価格上昇率

表1 DRAM、NANDの大口契約価格上昇率
単位:%
出所:Trend Forceプレスリリースより楽天証券作成

表2 DRAMのメーカー別売上高と市場シェア

表2 DRAMのメーカー別売上高と市場シェア
単位:100万ドル
出所:TRENDFORCEプレスリリースより楽天証券作成

表3 NAND型フラッシュメモリのメーカー別売上高と市場シェア

表3 NAND型フラッシュメモリのメーカー別売上高と市場シェア
単位:100万ドル
出所:TRENDFORCEプレスリリースより楽天証券作成

2.ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)の巨額設備投資によって先端半導体の需要が増加中。

 メモリ需要増大、メモリ市況上昇、メモリ各社の業績好調の根っこにあるのは、米国IT大手4社(アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ)にオラクルなどを加えたハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)の巨額の設備投資です。表4はハイパースケーラー上位4社(アマゾン、マイクロソフト、アルファベット、メタ)の設備投資予想ですが、今年は4社合計で前年比71.7%増の7,100億ドル(約110兆円)になる見込みで、2027年も増加すると予想されます。

 この巨額設備投資の原資は、ハイパースケーラー4社が毎四半期に稼ぎ出す巨額の営業キャッシュフローです。この営業キャッシュフローから設備投資などの支出を差し引いたフリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローの伸びを上回る設備投資によって今後急速に減少すると予想されます。会社によっては今年後半から来年にかけてフリーキャッシュフローが赤字になる会社が出てくる可能性もあります。

 しかし、もし2027年になって巨額の設備投資の効果がでて各社の営業キャッシュフローが今のトレンドよりも上向いてフリーキャッシュフローが再び増加することになれば、全くの私見ですが、2028年もハイパースケーラー4社の設備投資は増加する可能性があります。

 これは、今回の生成AIブームがAIエージェントのブームに転換しつつあるからです。AIエージェントは企業の情報システムを完全自動化するものです。ただし、現状は推論時にトークンが大量発生するため、その計算費用が想定外に高額なものになったり、想定外のシステム障害が起きたりすることが報告されています。

 このAIエージェントをより安く、より使いやすくするために、オープンAIやアンソロピックなどの生成AI開発会社や、ハイパースケーラー4社などが巨額の設備投資、巨額の研究開発投資を続けていると言ってよいと思われます。

 今後の注目点はAIエージェントの普及がどこまで続くかです。AIエージェントを組み込んだ自動化された情報システムは、情報システム予算を大幅に削減することができるため(今のところは必ずしもそうなっていませんが)、巨大企業から中小零細企業まで利便性が高く需要が大きいと思われます。クラウドサービス大手3社(アマゾン、マイクロソフト、アルファベット)のクラウドサービス受注残高が増加しているのは、AIエージェントに対する関心が高まっていることも大きな要因と思われます。巨額の設備投資、研究開発によってAIエージェントがより安く、使い易く、安全なものになるならば、生成AI開発会社にとってもクラウドサービス大手3社にとっても、大きな市場になると思われます。

表4 米国のハイパースケーラー設備投資額(暦年)

表4 米国のハイパースケーラー設備投資額(暦年)
単位:100万ドル
出所:各社資料より楽天証券作成
注:マイクロソフトは各年1-3月期~10-12月期の合計。2026年1-12月会社予想(前回)はマイクロソフトのみ楽天証券予想。それ以外の会社予想はレンジ平均値。

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