先週の日経平均は、荒い値動きながらも最高値を更新し、6万6,000円台に乗せました。今週は、メジャーSQに向けたオプション取引のヘッジ買いが株価を一段高へ押し上げる可能性があります。一方、テクニカル上では「逆行現象」が出現しており、米主要経済指標や注目企業の決算をにらみつつ、上値追いと出遅れ買いが交錯する展開が予想されます。
先週の日経平均は最高値を更新、ただ値動きも荒くなってきた
5月相場の最終日でもあった先週末29日(金)の日経平均株価は6万6,329円で取引を終えました。
前週末終値(6万3,339円)からは2,990円高と上げ幅が大きくなったほか、株価水準も6万6,000円台に乗せて最高値を更新するなど、終わってみれば強い動きとなりました。
前回のレポートでは、「日経平均が一気に6万5,000円台や6万8,000円台まで上昇してもおかしくはない」と述べていましたが、結果的に上方向を目指す展開になった格好です。
<図1>日経平均の5分足チャート(2026年5月25日~5月29日)
あらためて、先週1週間の値動きを図1の5分足チャートで確認すると、週初の25日(月)に6万5,000円台に乗せてきた日経平均は、しばらく様子をうかがいながら6万6,000円台にトライしたものの、その後は売りに押されて6万4,000円台を下回るところまで下落しました。ただ、相場は崩れることなく、週末に再び6万6,000円台に回復するなど、かなり慌ただしいものとなりました。
先週の相場を動かした材料は、米国とイランの交渉進展期待と、旺盛な投資需要を背景とするAI関連および周辺銘柄への物色が中心でした。
材料自体は特に目新しいものではなかったですが、中東情勢への期待感の高さと、「FEMO(Fabulous Earnings Momentum:素晴らしき収益モメンタム)」というキーワードが登場してきたように、AI投資需要がまだ継続するという見方が優勢になっているなど、先行きの楽観が強まっていたことが、株価が上を目指す展開へつながったと思われます。
とはいえ、値動きが荒くなってきていることは気掛かりです。
気になる日経平均の「逆行現象」を跳ね返せるか?
では、今週の日経平均もさらに上を目指していけるのでしょうか?
結論から言ってしまうと、株価が上昇する余地はまだありそうです。その理由として挙げられるのが、前回のレポートでも言及した需給的な要因(オプション取引のコールの買い建玉)です。
30日(土)の朝に取引を終えた日経225オプション取引の夜間取引(ナイトセッション)の状況を見ると、6月限のコールの買い建玉は、権利行使価格6万5,000円で4,791枚と前週の5,188枚から減少しています。
しかし、権利行使価格6万8,000円では4,470枚、同7万円では3,238枚と、それぞれ前週の4,428枚、2,754枚から増加しており、建玉の状況からは株価の先高観が維持されている格好です。
現在の株価より少し高い位置の権利行使価格(アウト・オブ・ザ・マネー)に、多くのコールの買い建玉がある場合、株価がその価格に近づくほど、コールの売り方(マーケットメーカーなど)は損失が発生することになります。
そのため、投資家が権利を行使した時に備えて、あらかじめ現物株を少し買っておくという行動に出ます(これをデルタヘッジと呼びます)。
今週から6月相場に入り、来週末12日(金)は、株価指数先物・オプション取引のメジャーSQ(満期)となりますが、こうした動きはオプション取引の満期(SQ)が近づくにつれて、加速度的に強まる傾向があり、「ガンマ・スクイーズ」と呼ばれるヘッジ買いが増長する可能性があります。
実際に、先週の株価上昇もこうした需給的な動きが寄与した面があると考えられ、今週も状況次第では同様の流れで株価が一段高となる場面があるかもしれません。
ただ、その一方で、テクニカル分析的には上昇基調が一服するかもしれないサインも出現しています。
<図2>日経平均(日足)とRSI(14日間)の動き(2026年5月29日時点)
図2は、日経平均の日足チャートと下段に相対力指数(RSI)の推移を描いています。
RSIとは、一定期間の値動きから相場における相対的な価格変動の強弱(価格が上昇する勢いと下落する勢いのどちらが強いのか)を数値化したものです。RSIの値は0%から100%の範囲で動き、値が高くなるほど「買われ過ぎ」、低くなるほど「売られ過ぎ」となります。ちなみに、図2では14日間の値動きの勢いを示しています。
先週末29日時点のRSIは65%となっており、数値自体は「買われ過ぎ」とは言えない状況なのですが、ここで注目するのは、株価とRSIの方向感です。株価が上向きなのに対してRSIは下向きとなっており、向いている方向が異なる「逆行現象」が出現しています。
逆行現象には、「トレンド転換型」と「トレンド継続型」がありますが、足元で出現しているのは、トレンド転換型です。図2のチャートを過去に遡ると、逆行現象が形成されたタイミングで株価が調整している様子が確認できます。
また、先週の値動きを見ても、「上にも下にも値幅が出やすい」相場地合いであるため、下落する展開にも注意しておきたい状況となっています。その場合、25日移動平均線や75日移動平均線で下げ止まれるかが焦点になってきます。
【今週の日本株】上値追いと出遅れ買いで揺れ動く?チャートの「逆行現象」に警戒
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