AI投資については気になる動きも

 その一方、AI投資については、今週に入って気掛かりな動きも出てきています。

<図3>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2026年4月29日時点)

<図3>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2026年4月29日時点)
出所:MARKETSPEED IIおよびBloombergデータを基に作成

 図3は米主要株価指数のパフォーマンスを比較したものです。

 相変わらずSOX指数の強さが際立っていますが、28日(火)の取引でやや大きめの下落を見せている場面がありました。

 この日のSOX指数は前日比で約3.6%下落したのですが、そのきっかけとなったのは、二つの材料が報じられたことです。

 一つ目は、AI開発企業のオープンAI社の成長懸念です。27日(月)付の米ウォール・ストリート・ジャーナルが、利用者数や売上高において同社が設定した目標を達成できていないと報じました。報道を受けた28日(火)の取引では、エヌビディア(NVDA)オラクル(ORCL)ブロードコム(AVGO)など、オープンAI社と契約を結んでいる銘柄の一部が売られる展開となりました。

 オープンAI社は多方面から多くの出資を受けており、将来的に売り上げが伸びない状況が続いてしまうと、資金を返済できなくなってしまうほか、追加の出資を受けるのが困難になってしまったり、株式の新規公開(IPO)にも影響が出てくる可能性もあります。

 先ほどのハイパースケーラー決算でも見てきたように、巨額のAI投資に対しては、収益性や財務リスク、競争力といった視点による選別が進み始めています。

 確かに、AIの将来性や可能性は高く、巨額の投資は「さらなる成長のため」に行われている大義名分はあるものの、その一方で、「(同業他社や中国などの)ライバルに負けないため」に、スピードと規模を優先するあまり、競争が過熱している面も否めません。

 そのため、今回のオープンAI社の報道は後々にまで影響が出てくるかもしれません。

 そして、28日(火)付のロイターが、「米商務省が先週、アプライド・マテリアルズやラム・リサーチ、KLAなどに対して、中国の半導体製造委託企業の華虹半導体に一部製品の販売禁止を求めた」と報じたことも、この日の半導体製造装置株の下落につながりました。

 再び米中対立を意識させる報道ではありますが、こちらについては、5月半ばに予定されている、トランプ米大統領の訪中を前にした、パフォーマンスもしくは政治的な駆け引きの面も考慮する必要があるため、現時点ではまだ様子を探る段階かと思われます。

 いずれにしても、来週の米国株市場も、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)や、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、英アーム・ホールディングス(ARM)ルメンタム・ホールディングス(LITE)などの注目企業の決算発表が予定されていますが、AI・半導体相場は今週のGAFAM決算でいったん「ヤマ場」を通過することになります。

 次のヤマ場は5月21日に予定されているエヌビディアの決算となりますが、それまでの相場の視点は、「中東情勢の行方」をはじめ、「中東情勢の影響(インフレやコスト増、供給網リスク)」「トランプ米大統領の訪中を控えた米中関係」「新米連邦準備制度理事会(FRB)議長体制で迎える6月のFOMCに向けた思惑」などに向かうことになり、直近まで相場のけん引役のウラで鳴りを潜めていた銘柄群の株価が浮上し、相場全体の底上げができるかが焦点になってきそうです。