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ビットコインは脱最悪期?それとも2番底?5月相場見通し

2026/4/30 15:00

 BTCは昨年10月のピークから5割以上下落し、「冬の時代」を迎えたが、2月のボトムから3割反発している。もう「最悪期」は過ぎたのか、この先まだ「2番底」があるのか、5月の相場を楽天ウォレット・シニアアナリスト:松田康生、通称MATT(マット)が、今後の方向性を分析する。

目次
  1. 4月のビットコイン相場
  2. 5月の見通し:BTCはようやく底打ちしたのか?
  3. 5月見通し

4月のビットコイン相場

4月のビットコイン相場 画像
出典:TradingViewより楽天ウォレット作成

イラン情勢

 4月のビットコイン相場は底堅い展開となった。

 ホルムズ海峡封鎖は長期化、米イランの和平協議も迷走。市場は原油価格の乱高下に翻弄(ほんろう)されたが、終わってみれば米株は連日の史上最高値、日経平均株価は6万円乗せ、BTCは8万ドルに迫っている。これは何が起こっているのだろうか。

 まず2月末に始まったイラン問題だが、4月に入って事態は好転している。

 トランプ米大統領はイランのインフラを攻撃する期限とした7日の直前に2週間の停戦を宣言し、21日に無期限で延長した。停戦と言いながらも、イランは実質的なホルムズ海峡の封鎖を継続し、米国はイランに入出港する船を海上封鎖した。

 元々、米イラン間には圧倒的な兵力差があり、イランから直接米軍ないし米国本土への攻撃はほとんど見られなかった中、「停戦」とは言っても米国が空爆を控えているというのが実態だ。その結果、この1カ月間はほとんど戦闘は見られていない。

 次に海峡封鎖が2カ月近く続いているが、開戦当初などにささやかれていたほどの混乱は生じていないことも挙げられる。

 開戦当初、英 フィナンシャル・タイムズ紙はカタールの原油価格が150ドルに達すると予想していると報じ、3月末にブルームバーグは、「この状況が6~8週間続けば200ドルに達する」との予想を紹介したが、それから4週間経過してもそうした状況には至っていない。

 一部の国でジェット燃料不足などが発生しているもようだが、ナフサ不足で医療器具が枯渇するといった状況には至っていない。メディアと対照的に市場は冷静だ。

 これは多分に米国が原油価格の上昇に気を遣っていることも影響しているのかもしれない。トランプ米大統領は高い球を投げて相手を交渉のテーブルに着かせる交渉スタイルを続けてきたが、一方で市場の影響が大きくなると態度を緩める場面がいくつか見られた。

 メディアはTACO(Trump Always Chickens Out:トランプ大統領は常に腰が引ける)とやゆするが、市場参加者は「トランプ・プット:市場が下がれば助け舟を出してくれる」とリスクオン方向にベットしているのかもしれない。

 また、この交渉は、売り手がとんでもない価格を提示し、買い手が立ち去るところから交渉が始まるスーク(市場)の買い物に似ていて、当初バンス米副大統領が「決裂」と言ってパキスタンから帰国した際には市場は驚いたが、だんだんとこの交渉に慣れてきたことも指摘される。

 さらに、米国の逆封鎖が思いのほか効いているという見方もある。原油の採掘は一度止めると再開するのが大変で、イラン国内の貯蔵施設は満杯近くに達しており、切羽詰まってきているとAXIOSは報じている。また5月14、15日の訪中前に米国は一定の成果を挙げたいと考えているとの指摘もある。

 この問題の核心であるイランの核開発放棄についての立場に隔たりが大きい中、どのような決着があるのか予断を許さないが、両陣営とも落としどころを探る段階に入ってきた印象もある。

イラン情勢以外のポイント

ETFフローの回復

ETFフローとBTC/USD 表
出典:SoSo Valueより楽天ウォレット作成

 需給面では上場投資信託(ETF)フローが9営業日連続でプラスとなり、いよいよ底打ち感が増してきた。前回指摘したように、このフローの復活は多分に昨年後半の「金ETF買い」「BTCETF売り」フローの巻き戻しの側面がある。

 また、4年サイクルでまだ底打ちは早いとの見方が根強い一方で、従来より想定外の最悪の事態が底打ちのきっかけとなってきた。

 2015年1月のBitstampのハッキング、2018年12月のハッシュウォー、2022年11月のFTXの破綻は記憶に新しい。今回のホルムズ海峡封鎖とドバイ空港などへの攻撃はそのブラックスワンに該当する可能性があるとして、底値を拾う動きが出始めている。

4年サイクルのボトムアウト時のBTC相場

4年サイクルのボトムアウト時のBTC相場 画像
出典:TradingViewより楽天ウォレット作成

 また、今回の市況の回復は法定通貨の減価という側面も強い。こういうと昨年10月以降の下落でBTCのインフレヘッジ的な性質は否定されたという見方をする声も耳にするが、それはやや近視眼的だと考える。

 こういったマクロな動きはもう少し長い目で見るべきで、例えば金融引き締めや財政緊縮、すなわちコロナ下での緊急対策からの「正常化」が先進各国で否定された選挙イヤーの2024年1月をスタート地点とすると、金は132%、S&P500種指数は47%、BTCは96%上昇している。

 BTCは先に走りすぎた分、深い調整をした格好で、足元では先行した金が調整気味で、出遅れていた米株が猛追している格好だ。これを2023年からスタートするとBTCの上昇率はさらに大きくなる。

2024年対比騰落率 BTC(赤)SP500(青)金(緑)

2024年対比騰落率 BTC(赤)SP500(青)金(緑) 画像
出典:TradingViewより楽天ウォレット作成

 金融政策に関してはイラン情勢、言い換えると原油価格次第だが、ここに来て動きが見られた。米当局が米連邦準備制度理事会(FRB)本部建て替えに関するパウエルFRB議長の捜査を打ち切った。実は、現段階では、この捜査が後任候補のウォーシュ氏の上院承認に関する障害になっており、まだ承認されたわけではないが米金利は急低下した(4月29日時点で米上院銀行委員会がウォーシュ氏のFRB議長指名を承認し本会議採決へ進んだ)。

 また、上院銀行委員会は本件をClarity法案審議に優先させており、順調に手続きが進めば、いよいよ同法の審議・採決が進む可能性がある。

 昨年7月に下院を通過している同法だが、ステーブルコインの付利を巡って銀行ロビーの強硬な反対に遭い頓挫しているが、5月中に上院委員会を通過しなければ中間選挙前の成立が難しくなるとされている。予断を許さないが、半歩前進した印象だ。

量子脅威

 3月のGoogleの論文を機に量子脅威が話題となっている。まだ市場への影響は限定的だが、BTCでもBIP-361として耐量子暗号(PQC)実装だけでなく、サトシ時代の脆弱(ぜいじゃく)なBTCを一時凍結する提案も出てきた。

 また、対策に消極的とされた開発の中心人物アダム・バック氏も凍結には反対するものの、今のうちに対策を始めることには前向きとなったもようだ。

 実際のところ、現時点で富士通と理化学研究所が製造した世界最高峰の量子チップが256量子ビット、GoogleがBTCの秘密鍵解読に必要とする50万量子ビットには遠く及ばず、3年でその水準に到達すると考える技術者もまれなもようだ。

 ただし、天才が現れて実現すると困るから早いうちに対応を進めようという声も多く、Googleも社内の対応めどとして2029年を掲げているに過ぎない。

 一方で、15ビットの楕円曲線暗号が量子コンピューターに解読されたとしてBTCの秘密鍵解読が近いといった声も聞かれた。しかし15ビットと256ビットとの暗号解読に必要な計算量は2の241乗、3.5×10の72乗という天文学的な差が存在する。

 要はこの問題は基礎知識を仕入れて正しく恐れる必要がある。主なポイントを別稿にまとめたので参考にしてほしい。

富士通製256量子ビットチップと同社ロードマップ

量子コンピューティングEXPOにて筆者が撮影したチップの写真
量子コンピューティングEXPOにて筆者撮影
量子コンピューティングEXPOにて筆者が撮影した富士通量子コンピュータのロードマップを示したパネルの写真
量子コンピューティングEXPOにて筆者撮影

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