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「金は下落、原油は底値確認の動き」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は下落、原油は底値確認の動き」

2017/6/12
ドル高が売り材料となった。英総選挙で保守党が過半数を割り込んだのを嫌気してポンドが急落。これを受けて、ドル指数が5月後半以来の高値を付けるなど、ドル高基調になった。
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金相場は下落。

ドル高が売り材料となった。英総選挙で保守党が過半数を割り込んだのを嫌気してポンドが急落。これを受けて、ドル指数が5月後半以来の高値を付けるなど、ドル高基調になった。また、株式市場も混乱を回避するなど、投資家のリスク回避姿勢が後退したことも、金売りにつながったといえる。

一方で、米国の政治リスクは残っており、これが心理的に金相場を支える可能性がある。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、2日の851トンから9日には867トンに増加している。金相場は下落したが、一方で政治不安などを背景に投資家は金投資を拡大させていることが確認できる。COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、6月6日時点で20万4,465枚の買い越しとなり、前週から3万7,375枚増加した。買いポジションが6万1,698枚の増加、売りポジションが2万4,323枚の増加となり、ネットの買い越しポジションが増加した。

金相場の底打ちから上昇への転換や、欧米の政治不安などを背景に、投機筋はここにきて大幅に金を買い越している。一方で、売りポジションも大きく増えており、割高と判断している向きが居ることも確認できる。ただし、6日に高値を付けた後に下落していることから、週末に掛けて買いポジションが大きく減少している可能性があり、今週末に発表されるデータで確認したいところである。

金相場は1,300ドルを超えることができなかったことから、ダブルトップを形成した格好となっており、目先は上値が重くなりやすいのではないだろうか。

一方、トランプ大統領はコミー氏の証言に対して反論しており、この問題は長期化する可能性が高まっている。また、英国総選挙の結果を受けて、保守党が過半数を確保できなかったことから、メイ首相の求心力が低下し、EU離脱交渉に支障が出ることで、政治不安につながる可能性もある。これらの要因は、金相場の心理的なサポート要因として機能することになろう。

市場の関心は、6月13日、14日のFOMCに集まろう。FRBは0.25%の利上げを行う見通しだが、それ以降の年内の利上げが実施されるかは不透明な状況にある。原油安が続いており、インフレ率が高まっておらず、積極的な利上げ継続は困難になるのではないどろうか。

また、FRBは利上げよりも保有する資産圧縮を優先させる方針と考えられ、その場合には利上げはいったん棚上げされる可能性が高い。これがドルの上値を抑え、金相場にはポジティブな要因となろう。1,260ドル、1,250ドル前後には重要なサポートがあり、これらを維持できれば、FOMC後に再び上向く可能性がある。年末までに1,375ドルまで上昇するとの見方は変わらないと考える。

非鉄相場は底堅い展開。

アルミは1,900ドルをかろうじて維持しながら徐々に下値を切り上げており、底堅い展開といえる。銅は急伸。5,800ドルを上回り、基調は明らかに上昇に転じている。チリでの減産観測が材料視されており、目先の高値を抜けたことで、6,000ドルを目指す展開になっている。ニッケルも急伸し、安値から大幅に回復している。底打ちの可能性が高まっており、9,075ドルを超えると基調は明らかに上向きになるだろう。亜鉛も急伸。2,400ドルのサポートを維持し、急反発しており、2,570ドルを超えると基調は再び上向くことになろう。鉛も同様に急伸しており、2,100ドルを維持できれば、2,200ドルを試す可能性が高まろう。

このように、非鉄相場は目先の下値を確認した格好となっている。このまま上昇基調が続けば、大きな展開につながる可能性があると考える。FOMC後のそのような動きになるか、今週は重要な週になりそうである。中国の経済指標の動向にも注目しておきたい。

原油は小幅上昇。

ナイジェリアでのパイプラインの停止が支援材料だった。ただし、世界的な供給過剰に対する根強い懸念を背景に上値は重い。米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比8期増の741基となり、15年4月以来の高水準に達している。米国内の原油在庫が予想外に330万バレル増加し、ガソリンも増加するなど、市場を弱気にさせる材料が依然として多い。

今の原油相場は、米国のシェールオイルの生産量が今後も増加することから、需給バランスが悪化して原油価格が下がるというロジックで動いていると考えている。また先物市場では、下がるから売る、売るから下がるといった売り圧力があるのではないどろうか。さらに、ファンダメンタルズを考慮していないかのような売りも出ている。このように、先物市場での投機筋の売りが原油相場を押し下げているといえるのではないだろうか。

しかし、このようなファンダメンタルズを無視した売りは最終的には報われないだろう。それは、08年の原油相場の動き振り返るとわかるだろう。当時はWTI原油が147ドルというとてつもない水準に上昇した。この上昇自体は、いまとなっては異常値であり、やはりその後は大きく下げた。その下げはすさまじく、32ドルまで下落した。しかし、これも下げすぎだった。また、16年初めの26ドルまでの下げも異常だったといえるだろう。

このように、相場は行き過ぎるのだが、このような下げは、最終的には調整され、正しいバリューに戻っていく。いまの40ドル台後半の水準は、いまのファンダメンタルズから見ると、前述のような32ドルや26ドルの水準に相当するのではないかと考えられる。

つまり、のちに振り返ると、「あのような安値があったのか」という水準ではないかと考えられる。OPEC加盟・非加盟国の減産と世界の石油需要の増加で、今年の需給バランスは前年比で日量300万バレルは改善するのではないだろうか。

一方、米国のシェールオイル生産はせいぜい60万バレル程度の増加である。それで、なぜ今の方が原油価格は安いのか。これは非常に興味深い事実であろう。まして、いまは米国のガソリン需要期である。この時期に原油相場が下落することは過去にはないと考える。ここまで見通しておけば、いまの原油相場への対処も決まってくるだろう。

一方、サウジの単年度の財政収支均衡のために必要な原油価格の水準は80ドルを超えている。ちなみに、ほとんどの中東産油国が60ドル以上である。つまり、現状の原油価格の水準が続けば、どの国も大変な事態になるのではないだろうか。したがって、是が非でも原油価格の水準を引き上げる必要があると考える。

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