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円安トレンドとは、どういう状況? 26年4月現在、強い通貨と弱い通貨から探る今後の見通し

2026/4/15 11:37

 円安傾向が続き、クロス円はトルコリラを除き全般的にプラス収益です。特に豪ドルやメキシコペソなど、金利差を活かした運用が好調でした。今後の動向は「日米の金利差」や「資源価格」が鍵となります。もし日銀の利上げや米国の利下げなど前提が崩れれば、現在は好調な豪ドル円などが一転して急落するリスクもあるため注意が必要です。

目次
  1. 円安トレンド継続の正体
  2. 円安トレンドの転換点は発生するのか?

円安トレンド継続の正体

 2026年1月から4月前半までのFX市場は、円安トレンドが続く中で、強い通貨と弱い通貨の差がそのままクロス円のパフォーマンスに表れるという構図になっています。

 下の表は、変化率を基準にして強い順から弱い順に整理したクロス円「勝ち組、負け組ランキング」です。具体的には、今年の1月2日に、始値でドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、NZD/円、スイス/円、カナダ/円、南アランド/円、メキシコペソ/円、トルコリラ/円の10種類のクロス円のロングポジション(買い持ち)をつくり、それらのポジションの4月10日の終値時点の損益を大きい順番に並べたものです。

 円は3月にはドルに対して1年8カ月ぶりとなる160円台まで円安が進みました。円安が続くなかで、クロス円ポジションは、ほぼ全てがプラス収益となっています。唯一の例外が、トルコリラ円でした。円安以上にトルコリラ安が進んでいることが理由です。金利が高くても弱くなる通貨の典型がトルコリラです。またこの期間、豪ドル/円のパフォーマンスは+7.4%と圧倒的でしたが、ユーロ円は+0.95%と、円安環境でも組み合わせ通貨の選択によって収益に大きな違いが出ています。

クロス円「「勝ち組、負け組ランキング」(01/02 ~ 04/10)

出所:筆者作成

変化率の計算式:

通貨ペアの強弱は、以下の3つの組み合わせで、ほぼ説明することができます。

  1. 金利差
  2. 景気と資源リスク
  3. 政治

ここからは、通貨ペア別に、強弱の差が出た背景を探っていきます。

1位 豪ドル/円(+7.4%)

金利差:

 豪州ではインフレの高止まり傾向が強く、RBA(豪準備銀行)は1月と3月に利上げを実施して政策金利は4.10%まで引き上げられました。主要中央銀行の多くが、政策金利を据え置き、あるいは利下げするなかでRBAのタカ派(引締め)スタンスが際立ちました。

景気と資源リスク:

 豪州と貿易の結びつきが強い中国の経済が比較的堅調であることは豪経済の安心材料であり、利上げをしやすい環境になっています。また豪ドルは「資源通貨」として位置づけで、資源価格の上昇が豪ドル支援材料となっています。このような理由で「高金利通貨 × 円の低金利」はキャリートレードに最適な通貨ペアとなりました。

2位:メキシコペソ/円(+5.0%)

金利差:

 メキシコ中央銀行は3月に利下げしましたが、政策金利はまだ6.75%と高く、高金利通貨としてキャリートレード人気の高さは相変わらずとなっています。

景気と資源リスク:

 トランプ関税の影響よるメキシコ景気悪化の過度の懸念が後退しています。

政治:

 新興国通貨のなかでは政治・財政が比較的安定しているため、南アランドやトルコリラよりランキングは上位です。

3位:NZドル/円(+2.94%)

金利差:

 NZドル(NZD)の政策金利は2.25%で豪ドル(4.1%)より低いです。RBNZ(NZ準備銀行)はインフレ警戒で利上げの可能性を示唆しています。

景気と資源リスク:

 NZドルは、豪ドルと同じく資源国通貨としての位置づけです。原油や鉱物などの資源は産出しませんが、酪農業が主要な輸出産業となっています。

4位:南アランド/円(+2.00%)

金利:

 南アランドの政策金利は6.75%でメキシコペソ(6.75%)と同水準です。

景気と資源リスク:

 南アランドも資源通貨の位置づけで、資源価格の上昇は通貨高になります。その一方でインフラ問題や失業率の多さなど、長期的な成長ストーリーが描きにくい問題も抱えています。

政治:

 新興国通貨のなかでは、安定性はメキシコペソよりも劣ります。南ア政府とトランプ政権の関係悪化が通貨に圧力となっています。

 ここからは「円に対してほぼ中立」だったクロス円たちです。

5位:スイス/円(+1.65%)

金利差:

 スイスフランの政策金利0.00%で、円(0.75%)より低いです。

景気と資源リスク:

 スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は、スイス高防止のために低金利政策や介入姿勢を明確にしているため、リスクオフの環境でも極端なスイス高に動くことはありません。

政治:

 通貨の強弱が金利で決まるとすればG10通貨のなかで最も低金利であるスイスフランが一番安くなるでしょう。そうならないのは、スイスフランが世界屈指の「安全資産(セーフヘブン)」通貨だからです。円も数年前まではリスクオフで買われる通貨だったのですが、最近では貿易赤字や財政赤字の拡大で安全資産としての魅力は薄れています。そのため地政学リスクが高まる情勢ではスイスフランが買われやすくなります。

6位:ドル/円(+1.27%)

金利差:

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは、インフレの上昇と雇用の底堅さでしばらく見送られる公算が大きくなっています。一方で、日銀は利上げに慎重の立場を貫いています。たとえ利上げしたとしても、金融政策の正常化の入り口にようやく立ったという段階にすぎず日米金利差は依然として大きいままです。

景気と資源リスク:

 日本のエネルギーシステムの中東依存度が高く、石油価格の上昇は円売り要因となります。NISAの拡充で「オルカン」など外国株式の投資が急増していることも円安要因です。

政治:

 政府・日銀は円安を歓迎しているわけではないですが、是正する考えはないようです。

7位:ポンド/円(1.10%)

金利:

 ポンドの政策金利は現在3.75%で、ユーロ(2.15%)より高いです。ただBOE(イングランド銀行)は、ECB(欧州中央銀行)に比べるとやや利上げに慎重姿勢のため、ポンド/円とユーロ/円が近く逆転するかもしれません。

景気と資源リスク:

 財政赤字や政策運営への不安がポンド安要因になっています。イギリスはインフレが高止まりしつつ、景気は弱いという状況です。BOE内でもインフレのための据え置きか景気のための利下げかで意見が分かれています。

8位:ユーロ/円(+0.95%)

金利差:

 ユーロの政策金利は現在2.15%。今年初めはECBの利下げ期待が高まっていましたが、イラン戦争で情勢は一変し、現在では利上げ議論が盛り上がっています。ECBがBOEより先に利上げを実施するならば、ポンド/円との順位が逆転することになるでしょう。

景気:

 ユーロ圏は成長率が低く、フランスでは財政問題もくすぶっています。

9位:カナダ/円(+0.55%)

金利差:

 カナダドルの政策金利2.25%で、NZドルと同水準です。

景気と資源リスク:

 カナダは産油国であり、原油価格が上がるとカナダドルは買われやすい傾向があります。

政治:

 米国の貿易政策によるカナダ経済への悪影響の懸念があります。金利が比較的低いことに加えて、トランプ政権との関係が良好ではないことがカナダドルのパフォーマンスが低迷している理由と考えられます。

 そして「円より弱かった」通貨ペアは…

10位:トルコリラ/円(-1.96%)

金利:

 トルコリラの政策金利は37.00%。金利がいくら高くても、通貨価値の下落がそれ以上であるため、高金利でも通貨が売られる典型例となっています。

政治:

 トルコは、高インフレと政策の信認不足で通貨価値が不安定な状態が続いています。金利は大きいが意味がありません。2026年現時点までの評価は、「買ってはいけない通貨ペア」の代表ということになります。

円安トレンドの転換点は発生するのか?

 円安トレンドが、構造的に続きやすいなかで現在の通貨ペアの強弱関係はしばらく続くと考えられます。しかし転換点はいつか発生します。では何が起こればそうなるのでしょうか。

 年初から今までのFX市場は、以下の前提で動いています。したがって、この前提が崩れたときに大きな転換が発生することになります。

  •     米国・豪州の金利が高止まりするなかで、
  •     日銀の低金利継続を背景にキャリートレードが機能する
  •     資源価格は底堅い
  •     世界景気はそれほど悪くならない程度でリスクオンが継続

では、トレンド転換発生のきっかけになると考えられる状況変化は以下。

  •     日銀がタカ派的利上げに踏み切る
  •     FRBが利下げを開始する
  •     資源価格の急落
  •     世界的景気悪化

 転換点が来た場合には、これまでの高パフォーマンス通貨が、そのまま最悪パフォーマンス通貨になる可能性が高いでしょう。なかでもリスクの高い通貨ペアをあげるとすれば、

1位:豪ドル/円

 日銀利上げ、資源安、株価下落によるリスクオフ影響を最も受けるのが豪ドル/円です。最強通貨ペアが一転して「最弱」通貨に転落する可能性があります

2位:メキシコペソ/円

 新興国通貨の弱点はボラティリティが高く流動性が低いという弱点があるため、転換発生時には下落スピードが速く、損切りが間に合わないリスクもあります。

3位:ドル/円

 円安はしばらく続くという「思い込み」が最も危険で、パニック的なドル売り円買いが発生することも考えられます。ドル円だけではなく、円キャリートレードに関係する全ての通貨が影響を受けることになるでしょう。

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