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「金は続落、原油は上値の重い展開」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は続落、原油は上値の重い展開」

2017/6/9
米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官による上院公聴会での証言内容にサプライズはなかったことからドルが買われたことが材料視された。
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金相場は続落。

米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官による上院公聴会での証言内容にサプライズはなかったことからドルが買われたことが材料視された。米長期金利が上昇し、米国株も上げていることから、安全資産である金は買われにくい状況にある。

英総選挙の投票結果を待つ状況だが、与党・保守党が議会の過半を取れない見通しとなっており、これが波乱となるかに注目が集まろう。一方、ECBは理事会を開催し、政策に関しては現状維持を決めたものの、インフレ見通しを引き下げる一方、量的緩和縮小については当局者で議論されなかったと発表したことで、ユーロは一時下落した。

この結果、ユーロ圏の投資家の金買い意欲は後退した可能性がある。コミー前長官の議会証言やECB理事会、英総選挙を消化し、今後はFOMCに注目が集まることになる。

FOMCでは利上げは確定的だが、資産圧縮に傾斜することで利上げが見送られる方向になり、これがドルの上値を抑え、金にはポジティブに作用することになりそうである。

また、世界的なテロの頻発や中東情勢の不透明感など地政学的リスクもあり、金に積極的な売りが出にくい状況は今後も続くだろう。

非鉄相場は底堅い展開。

アルミは1,900ドルでサポートされているが、上も1,925ドルが重い。これを超えると大きく水準を切り上げることができる。銅は急伸。5,600ドルをサポートしたうえで上昇しており、5,800ドルを明確に超えると基調が大きく転換する。

この日の上昇は、アントファガスタの高度にある砂漠地帯を襲った豪雨の影響により、チリ北部の主要な鉱山が操業を停止していることが材料視されたもよう。BHPビリトンは、世界最大の銅鉱山であるエスコンディーダ鉱山で降雪があり、全ての操業が停止したとしている。チリ・コデルコは、チュキカマタ銅山、ラドミロ・トミッチ銅山周辺、ミニストロ・ハレス銅山での採掘活動を予防策として停止したと発表。また、アントファガスタはセンチネラとサルジバルで一時的な中断を余儀なくされているとしている。チリでは16年4月にも豪雨で河川堤防が決壊し、サンティアゴ市周辺の鉱山で操業停止となった。また、15年にはチリ北部のアタカマ地域で雨により道路が封鎖され、多くの鉱山で生産停止に追い込まれている。

一方、中国の5月の銅精鉱と銅鉱石の輸入は、海外鉱山での生産障害を反映して前年同月比20%減となり、15年10月以来の低水準となる115万トンとなった。前月比では15.4%減だった。ただし、製品などを含む銅輸入は39万トンで、前月比30%増だった。前年同月比では9%減だった。精錬銅の輸入は銅精鉱の輸入が減少したときに増加する傾向がある。

銅精鉱の供給減少は、チリ鉱山でのストやフリーポートのインドネシア鉱山での輸出停止の影響が長期化している可能性が指摘できる。一方、ニッケルは辛うじて下げ止まっているが、8,900ドルを割り込んでいる。鉛・亜鉛は底割れ目前で反発しており、目先の底値を確認した可能性がある。

このように、非鉄相場は反発の可能性が高まりつつあるといえる。中国の5月の輸出はドル建てで前年比8.7%増となり、4月の8.0%から加速した。輸入は同14.8%増で、4月の11.9%を上回った。

金利が上昇し、不動産市場が鎮静化しつつある中でも、中国経済が想定より堅調に推移している可能性を示唆したといえる。中国政府は住宅市場の鎮静化策を取っていることから、最終的には不動産投資は抑制されるとみられている。また、高リスクの融資規制で資金調達コストは上昇している。今後、信用の伸びが鈍化した場合、経済活動の減速が徐々に波及し、現在の輸入の力強さが持続されるかは不透明である。

一方で、輸出の伸びも鈍化するとの懸念があるが、輸入ほどは鈍化しない見通しである。5月の貿易収支は408億1,000万ドルの黒字で、4月の380億5,000万ドルから拡大した。対米貿易黒字は220億ドルで、4月の213億4,000万ドルから小幅に拡大した。

原油は続落。

前日の米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油在庫統計で、原油在庫が市場予想と逆に増えたことが嫌気されており、上値は重い展開にある。しかし、市場の反応は明らかに過剰であり、現在の原油市場の価格の動きが機械的な取引に支配されていることが理解できる。また、OPEC加盟・非加盟の産油国による協調減産の影響を考慮しておらず、さらに米ガソリン需要期入りも無視されている。

サウジアラビアが経常収支均衡に必要な原油相場は80ドルを超えていると試算されている。のちに振り返った時に、現在の50ドル割れは「異常値」だったとの評価になるだろう。

一方、中国の5月の原油輸入は過去2番目の高水準となる3,720万トン(日量876万バレル)となり、米国を抜いて世界最大の輸入国となった。前年同月比では15%増で、前月比では8%増だった。1~5月の原油輸入は前年同期比13%増の1億7,630万トンだった。過去最高は3月の日量920万バレル。4月は日量840万バレルに減少していた。

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