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SaaSは死なず?マネーフォワード、Salesforce…明暗分けるポイントは(茂木春輝)

2026/4/11 8:00

「SaaSの死」は本当か。本記事では、今逆風にさらされているソフトウエア株の真の姿に迫ります。マクロ経済の変化と生成AIの台頭がもたらす「淘汰と進化」の波を乗り越え、次なる成長をつかむ企業の戦略とは。具体的な企業事例を交えながら解説します。

目次
  1. 「SaaSの死」が意味する現在の市場環境
  2. 「SaaSの死」ではなく「淘汰と進化」
  3. 日米ソフトウエア主力企業、明暗分けるポイントは?
  4. 米国で成長するSaaS企業

 近年、米国市場を中心に「SaaSの死(Death of SaaS)」というショッキングな言葉がささやかれるようになりました。これまで株式市場の優等生であったソフトウエア株、特にSaaS(Software as a Service)企業が逆風にさらされています。今回は現在の市場環境と今後の展望を整理し、実際の企業事例を通じて、ソフトウエア株への投資ポイントをお届けします。

「SaaSの死」が意味する現在の市場環境

 ソフトウエア企業が直面している逆風は、主に二つの構造的な変化に分解できます。

 第一に、生成AIの台頭です。これまで人間が手入力で行っていた業務をAIエージェントが自律的に処理するようになると、人間が操作するためのSaaS画面(ユーザーインターフェース)自体の価値が低下し、ライセンス数(課金アカウント数)が減少するのではないかという懸念が生まれています。これが「SaaSの死」という言葉の根底にある本質的な脅威です。

 また、「Claude Code」などの生成AIを活用したプログラミング支援の高度化によって、自社でスピーディーにソフトウエア開発が行えるようになっていることもこの議論を加速させる原因となっています。

 第二に、マクロ経済環境の変化です。かつて市場は「赤字を掘ってでも売上成長を伸ばす」企業を高く評価する傾向にありました。しかし、金利上昇に伴ってバリュエーションの低下が起き、市場の目線は「成長性」から「収益性とフリーキャッシュフロー」へと急激にシフトしました。

「SaaSの死」ではなく「淘汰と進化」

 結論から申し上げると、ソフトウエアやSaaSというビジネスモデル自体が直ちに消滅するわけではありません。今後市場で起こるのは、厳しい「淘汰(とうた)」とAIを取り込んだ「進化」です。

 身近な具体例から説明します。

  1. まず、あなたの手元で使える生成AIを用意します。(生成AIのアプリを普段使っていない方はGoogle検索などのAIモードでも良いです)
  2. あなたが欲しいアプリケーションを生成依頼します。(例:関数計算ができる電卓アプリを作成して)
  3. すぐに使えるアプリケーションが生成されます。(ブラウザで動くなどの指定もできます)

 プログラミングを全くやったことがない方でも一瞬でコードを生成できる時代であることはご認識いただけるかと思います。私が過去にコンピューターの教育支援の活動をしていた際は、初心者では基本である「Hello, World!」という文字を表示させたり、電卓を作成させたりするだけで初回の講義が終わることもありました。そこからの進化は素晴らしいものだと思います。

 しかし、現在の社会で私たちが電卓アプリを量産できたからといって大勢の方が助かるということもないでしょう。

 実際に社会で使われるソフトウエアではリアルタイムのニュースや保有するデータをつなげて初めて実用に足るものとなります。この基盤や信頼性を提供する企業には、生成AIが進化してもニーズは残っています。またそのソフトウエア機能としてAIが組み込まれていることも多くなっています。

 このように、進化した生成AIは、従来のSaaSが採用してきた「利用した人数と期間」に基づく課金(シート課金)から、「どれだけ生産性を高めたか」という成果に対する課金へと、価値の基準を変えつつあります。

 これまでは、ニッチな課題を解決する単機能のSaaSであっても、容易に資金調達と成長が可能でした。しかし今後は、複数の機能を統合し、企業のインフラとして深く根を張るプラットフォーマーに投資資金が集中する勝者総取りの傾向が強まります。

 また、自社のソフトウエアに独自のAI機能を深く組み込み、顧客の生産性を継続的に向上させ、単価引き上げに成功する企業が次の相場をけん引していくでしょう。

<SaaSの死で論じられる課金モデル>

<SaaSの死で論じられる課金モデル>
出所:筆者作成

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